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林田力 二子玉川ライズ反対運動

2017-09-16

異世界コンサル株式会社

ダイスケ『異世界コンサル株式会社』はRPGのようなファンタジー世界に転生した冒険者がビジネス知識を活かして冒険者向けのコンサルや事業を始めるライトノベルビジネス書である。基本は小説であるが、各章の終わりにビジネス知識のまとめがあるため、ビジネス書にもなっている。

ファンタジー世界は、実際はブラックな世界である。冒険者は使い捨て存在である。ドラゴンクエストの第一作で王様がレベル1の人間に僅かのゴールドを持たせて竜王討伐に旅立たせているが、あれも戦略性に欠ける非効率人的資源の浪費である。

加えて本書の世界はモンスターにボコボコにされると負傷する上に鎧もボロボロになり、修繕という物入りになる。治らない怪我によって冒険者引退を余儀なくされる人も多い。宿屋で一泊すればHP1からベストコンディションに回復するという訳にはいかない。RPGよりもシビアな世界である。

一方で本書の異世界は、RPGなどのファンタジー世界との差異がある。本書には魔王のような人類を滅ぼしかねない強敵は存在しない。そのために人間社会の問題が大きく目に付く。人間側の戦いも剣牙の兵団のような装備を整えた集団戦で効果をあげている。

このような世界では一人の勇者活躍する余地は小さいだろう。意外と容易に文明社会にステップアップできそうである。主人公がビジネス知識で活躍するためには、レベルを上げたら一人で何でもできてしまう世界よりも、集団戦が通用する現実に近い世界の必要があるだろう。

本書の異世界は格差社会であるが、高級住宅地(1等街区)になると建物の背が低くなるという設定は興味深い(340頁)。エレベータがないから高層階は不便という実際問題はあるが、エレベータがあるとしても垂直移動の手間と時間がある。エレベータという狭い籠に他人と一緒に乗ることは、ハイソな人々にとって快適な生活ではなく、ストレスな筈である。超高層マンションが高級住宅になる現代日本の異常性を再確認した。

本書のビジネス観は真っ当である。以下のように言い切っている。「「優れた技術で世界を変える」や「世界一サービスを開発する」などというのは絵空事に過ぎません。「明日のご飯代」を稼ぐ現実から企業は始まります」(20頁)。異世界でコンサルという設定は奇抜であるが、コンサル稼業必然性は存在する。

ビジネス的視点に対してはビジネスの現場に立たない人からは誤解されがちであるが、昭和的な金儲けしか考えないエコノミックアニマルではない。本書は企業倫理にも言及する。企業倫理のハードルがあがり、反社会的商売に対する世間の目も厳しくなっている。「事業を始めた当初は世間で許されていたことも、気がつけば許容されなくなる」(147頁)。

本書の規則に対する逆説的な指摘も重要である。杓子定規な規則に不満を持つ人は少なくない。しかし、「お役所的ではない人情味ある運用とは、地位権力がモノを言うこの世界では強い者のやりたい放題を意味する」(316頁)。ルールがなければ、既得権を持った人や声の大きい人の意見が通り、リストラが行われずに不採算部門への投資が続けられるという不経済が続く。これは最近の日本の製造業の低迷にもつながる。
http://www.hayariki.net/young.html

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