2009-11-01
よくわかる仏像のすべて
お寺行くのが好きですが、知識が少ないものだから縁起や仏像などの解説を見てもどうも理解不十分で終わってしまったり、あとからよく思い出せなかったりします。実地で「うわー」と驚嘆するだけで終わってしまうのです。
これでは悔しいので、何かしら基礎の基礎から学べる本はないかと思っていたのですが、この手の書物というのはだいたい専門性が高い。新書であっても「〜様式の歴史的変遷」といった具合で、さらに文字だけだから別に図表など用意しないととてもイメージがわかない。そんなわけで片手間でも読めそうなものを探していたところ、生協書籍部にこんな本が平積みにされていました。
- 作者: 清水眞澄,向坂卓也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/10/20
- メディア: 単行本
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表紙からしてわかりやすそう。中身をパラパラと見てみても、フルカラーの写真がたくさんあって実に楽しいので買ってみました。1800円也。
わかりやすいというのは大事な要件ですが、こうやって写真がたくさん使ってある本というのは、往々にして観光名所紹介に堕しているというか、個別具体的な作品やエピソードだけが載っていて体系性がまるでなかったりします。今回も覚悟の上で買ったのですが、予想に反してきちんとしていて驚き。
全体を通じて「実際の仏像に出会った時にそれが何を描いたものかわかるように」という視点から述べられ、とりあえずこれ一冊あれば教科書に出てくるような「〜像」という名称の意味がつかめるようになる、という寸法です。そのために最初は仏の分類から始まり、髪や冠や装身具、衣服の特徴は何かといった解説に入っていきます。ただし、そういった外見からの観察が中心となるため、理論や歴史的背景などの解説は弱いようにも思います。もっとも、いきなり理論的説明をされても初学者にはわからないので、これくらいで丁度いいのですが。
後半は「釈迦如来像」「普賢菩薩像」「毘沙門天像」といった具合に個々の仏像について見て、こちらはそれぞれの仏の役割や、仏像の時代別作例についても言及していきます。前半で一通り整理した後なので、読んでいてもきちんと頭に入ってきます。
しかし、受験の時日本史の文化史で苦労したのは一体なんだったんでしょう・・・この本一冊読めばかなり上手く整理できる・・・受験生の方の気晴らしにもおすすめします。流し読みすればすぐ読み終わるので。
読んでいて感じたのは、京都、奈良、鎌倉といった各時代の仏教の中心地以外にも、日本全国に様々な仏像が現存しているのだなあということです。日本史的には中央文化の地方の受容が強かったとか、作成できるだけの有力者が地方に存在していた証拠だということになるのでしょう。自分の視線からすると、国内観光といえば京都奈良といわれるがそれだけじゃないのだと主張したいところです。色々な地方に行ってみた時に面白い仏像に出会えたらうれしいものだと思います。
旅のお供にグリコのポッキーと「よくわかる仏像のすべて」。あるいは旅に行かずとも、画を見ているだけでも楽しいもの。おすすめです。こういう感じの入門本が増えればいいのにね。
