2012-01-15
春季限定ポコ・ア・ポコ!感想 -せーしゅんしようぜ!-
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購入してプレイ期間中に年を跨いでしまいましたが、ようやくコンプリートしました。
体験版や紹介ムービーでも確認出来る、個性豊かなキャラクターが画面内を所狭しと動き回る日常パートもいいのですが中身は果たして…
糞長いので続きから。
過去のハニカム文庫作品から比べればオーソドックスなコンセプト
ALcotハニカムの知名度をここまで押し上げた上げた立役者とも言える「ハニカム文庫」シリーズ。
これまでの2作は妹モノである「リアル妹がいる大泉くんのばあい」
といちゃラブの「キッキン」
という風にターゲットをある程度絞り込んだものでしたが、今回は音楽を軸にした青春モノ。
前述の2作品に比べると私達ユーザーへ展開された間口はかなり広まってるんじゃないかなと。
そしてある意味では挑戦…すなわち純粋に読み物としてどこまでやれるか。
こういう路線はどうでしょうか?というブランド側からの意見提示でもあるように感じ取れます。
以上が私から見た観点。よって、ドタバタコメディ物としてという側面と、純粋なノベルゲーとしての両方から見ていこうかと思います。
シナリオの短さを利点と捕らえるか欠点と捕らえるか
その肝心のシナリオですが、良く言えばあっさり、コンパクト。
悪く言えば短い、物足りないとも捕らえられるのですが私の場合は前者の捉え方です。
フルプライスでシナリオを長くして問題をもっと掘り下げるのも確かに有りかとは思うのですが、あまりに長引いてしまうとそれはそれでマイナスポイントとして捉えられてしまう可能性もある為、線引きが難しい問題です。
ならばテンポ良くスパッと進められるシナリオの方が読みやすいですし、気付いたらあっという間に終わっていて「あれ、この先がもっと見たいのに…」とユーザーが飽きないところで名残惜しく思わせるくらいがいい、というのが一つの考え。ある意味では開き直った発想とも言えます。
ただしそうするには世界を広めすぎると広げた風呂敷が畳めなくなる恐れ、すなわち消化不良が出てきてしまう可能性がある訳です。
ハニカム文庫シリーズの場合、登場人物を絞りスポットライトを当てる部分を狭くする事で作品の世界をコンパクトにすることである程度クリアしています。
となると後はライターさんが鍵を握ってくるのですが、これまた上手く纏めたなぁと。日常パートにおける個性的なキャラのどたばた具合もそうですが、個別ルートに入ってからもシナリオがそこまでだれる事無く進んでいってくれたのは好印象。OP入るまでの展開を見るとここがピークであとはだれていっちゃうんじゃないか?という危惧もあったのですが杞憂に終わってくれました。
共通パートではテンポ良く進みながらも個別でのきっちりとした部分では描写が細かい辺り、ライターさんの力がしっかりしてる証拠だと思います。
しかし、上手く纏めたと書きましたが全体を通してみると共通〜個別前半のコメディパートが結構良いだけに転と結の部分が若干おざなりになっている部分が見えるのも事実。純粋なノベルゲーとして見たら後二歩といったところです。
キャラ的にはインパクト重視の藍と桜が目立つが…
かくいう自分もプレイ前までは駄妹(褒め言葉)である藍が一番のお気に入りだったのですが、プレイ後にどうなったかというと…
攻略順に個別の概略とちょこっとした感想も踏まえつつ。少しネタバレあるかも。
野々宮藍
まずは藍。意外とありそうであまり無かったシナリオだったように感じられます。隠れキャラとしてOPでもチラッと出てきた遥が出てきたり、共通部分では明かされなかった野々宮家の秘密がここで明かされることに。ただストーリーの構成上後述の2人に比べるとインパクトが薄かったかし、遥が突然出てきたということもあって感情移入するには時間が足りなかったか。駄妹シナリオというよりも野々宮家シナリオと言ったほうがしっくり来るのでせくろす無しでも良かったような気がするけどエロゲーですものね。
ちなみに一番後日談が見たいと思ったのはこのルート。遥、藍、彼方の掛け合いで何気ない日常が見てみたいですね。
しかし駄妹よ、幼い頃はあんなに純粋な子だったのにどうしてこうなった。もう一度言うがどうしてこうなった。
一桜
続いて桜。
前半は彼女の自由奔放ぶりが目立っていましたが、後半に入ってからは桜の中にある心の葛藤を上手く書いてくれたシナリオでした。
普段はひょうひょうとしている桜ですが、春花の死を受けて一番傷を負っているのはこの子なんですよね。
過去への依存から抜け出そうとしている姿勢を見せているのは○なのですが、終盤直前で少しばかり主人公に対して依存しそうな姿勢を見せたのは…個人的にはあまり好きじゃないかな。
というように個人的な好みも含めるとアレなのですが、ラストの締め方は一番好み。いい意味で青い感じな終わり方です。
悠木夏海
最後に夏海。リア妹の栞シナリオと同じようにロックが掛かっていて必然的に後手になってしまうのですが、この仕組みは正解。最初に夏海ルートやったらどうなっていたことやら…
中盤で夏海がキャラ崩壊する辺りは見ていて中々楽しいのですが、そこからは打って変わってという感じ。多少のいちゃラブもありつつ桜と同路線な感じのシナリオで一番出来が良かったです。悠木姉妹クオリティは伊達じゃない。
一番起承転結がしっかりしてたと思います。
全てのシナリオにおいて、後日談が見たいと思わせてくれる絶妙なところで切る辺り策士なんじゃないかと思わせるくらい。後味はかなりいいです。
少しネガティブ要素を描くとすれば最後の展開がほぼ一緒になっているところ…特に桜と夏海。
目標が「演奏会を成功させ、特待生資格を継続させる*1」となっている以上、最終的な収束部分が似たり寄ったりになってしまうのは仕方の無い事なのかなとは思うのですがもう一捻り欲しかったと言うのは贅沢か。でもこういう青春ちっくな友情物語、私は大好きです。
あ、サブキャラも結構いい働きをしてますよ。真奈先輩も好きだけどサブキャラで一番好感が持てたのは第一音楽部の先生かなぁ。厳しいながらも良い人ってのがまた。
後は過去作のネタも織り交ぜてあり、やった方であればニヤリとする場面も。
シナリオの全体的な出来を見ると夏海≧桜>藍かなぁ。
演出は特段目新しいものを取り入れている訳でもない
のですが、キャラクターの立ち絵がころころ変わるのは見ていて楽しいですしSD絵も効果的に使われていて手堅く周りを固めている印象。音楽が主体ということだけあって演奏パートでの演出がどうなるか気になっていたのですが特別な演出は一時審査の一回のみ。その一回も強制オートで音楽を聴かせるといった演出も無かった為、残念がってる人も結構居るんじゃないでしょうか。
恒例とも言えるオールクリア後にあるエピローグ→タイトル画面への演出は相変わらず憎いです。あまりに自然な流れでタイトル画面に戻ってから終わったと認識するまでに結構な時間が掛かりました。そして思わずニヤリ。
音周りに関して…BGMは可も無く不可も無く、こちらも無難に仕上げている印象。タイトル画面の曲が凄くお気に入りです。ボーカル曲が少し力不足だったかなぁ。
カーソルをオンさせた時の効果音などはリア妹、キッキンから継承。過去のハニカム文庫作品をやった方なら「あ、これだ」と安心出来る音なんじゃないかなと思います。
声に関しては個性派キャラである桜、藍の声が素晴らしいのなんの。特に藍役の桐谷華さんはこれからの有望株になると思われます。あの声は聴いてて癖になりますね。
システム周りに関しても触れておきますが、バックログにそのテキストのシーンまで戻れる機能があるのが非常に便利。もう一回リピートしたい時にはすごく重宝します。基本的なところは大体押さえてあるので特段不便はありません。ワイド画面化に関しては正解だと思います。あのキャラ達を動き回させるのにSVGAの解像度は狭すぎる…
総評
コンパクトな世界で繰り広げられるドタバタコメディ+αという感じ。
所々詰めが甘かったり、過去のハニカム文庫作品に比べても突出した部分は少ない。決して手放しで褒めることは出来ないですがほぼ一定のレベル以上で纏められております。しかし文中にも書きましたが、純粋なノベルゲーとしてシナリオを評価するとすれば後二歩くらい足りない印象。
マイナス面を結構書き連ねてますが、これまでのハニカム文庫ユーザーなら満足出来る出来です。値段や時間的な面から手軽に楽しめるのでこれからエロゲーをやりたいという人にもオススメ出来ると思います。
点数を付けるなら83点。期待以上というほどでも無いけど期待通りの出来に仕上がっている、そんな印象を受けた今作でした。今後もこの勢いで頑張って欲しいですね。
余談
やっぱり自分からしてみるとエロゲーでも妹とかは「家族」として見てしまうので、好きなんだけど攻略したくないという矛盾が発生してしまう…
「お兄ちゃん」になりたいだけなんだろうなぁ、きっと。
後は近いうちに今までやったゲームの再評価をやりたいですね。今となってはなんであんな点数を付けたか謎な作品もありますし、見直しが必要に感じるのもちらほら。ネタ切れで時間があったらという所でしょうか。
*1:真の目標は春花の死という傷を払拭し、新たなカルテットとして再起するという似てるようで全く別のモノなのですが。




