移籍話

各チームとも新体制を発表したり早くも始動したりとあわただしいですが、そろそろ今年のオフの移籍話も打ち止めでしょうか。降格をしてしまったチームや昇格を果たしたチームが積極的に補強や放出など動きがあるのはしょうがないのですが、特にクラブにそのような動きがないにも関わらず生え抜きの主力が移籍してしまうのは、応援している方々には非常に寂しいものがありますよね。


今年で言えば千葉の阿部選手が浦和へ、磐田の福西選手がFC東京へと、チームの顔とでも言うべき生え抜き選手の移籍がありました。選手にとっては、無名の若手時代は雇う立場のクラブの力が圧倒的に大きく雇われる立場の選手の力は弱く、また選手生活の晩年に入ると若返りを図るチームの中で微妙に居場所がなくなったりと、選手とクラブが対等の立場に立てるのは実力を大いに発揮して脂の乗り切った一瞬の時期しかないわけで、その時期を大切に過ごして欲しいと願います。


一時のように何が何でも海外移籍というおかしな雰囲気もなくなり、日本の移籍事情も適度に落ち着いてきたのかな、とも感じています。もちろん海外のクラブに移籍し、そこで練習をし、試合に出場し、生活する。このような海外生活で得られるメリットもあるでしょう。でも、海外のクラブに移籍することだけが至高の行為ではない。日本のクラブの中で環境を変え新たなチャレンジに取り組むことが、もっと認められてもいいのではないか、そんなことも思います。


私もマイクラブを持つ身ですから、応援する側にとって不本意な形で出て行った選手に対して「裏切りやがったな…」と思う気持ちがないわけでもありません。でも、もし自分の身に置き換えたとして、今の働く環境には充分満足していたとしても、別にチャレンジする機会があったとしたらやはり転職して新たなことに挑戦するかもしれません。転職自体が終身雇用制を基本としてきた日本社会の中でポジティブに受け入れられるようになったのも最近ですから、選手が自由にクラブを代わることが普通に受け入れられるようになるまで、日本サッカー界ももう少し時間が掛かるのでしょうか。選手の移籍が当たり前と言うか普通に感じるようになった時こそ、生え抜きで生涯一クラブで頑張った選手の価値が上がるかもしれませんし。


阿部選手の抜けた千葉を応援する方々や、福西選手の抜けた磐田を応援する方々や、その他にも今オフに移籍してしまった選手に対する寂しい想いを抱えている方々がたくさんいるのだと思います。そのためにも、新しく加入してくれた選手に対しては、受け入れるクラブを応援している側としては生え抜きで頑張っている選手と同じようにそれ以上にでも応援しないといけませんね。もちろん、こんなこと言われなくても応援すると思いますけど(笑)。
ヴェルディを応援する身としては、昨シーズンオフには選手に出て行かれる辛さをたくさん味わい、今オフは新しく入ってくれる嬉しさを味わいました。本当は昨シーズンオフにも新しく入ってくれた選手はたくさんいたのですが、喪失感の方が大きく気持ちに余裕がありませんでした。でも、今年は開幕が待ち遠しい。早く公式戦が見たいぞ。



岡山一成です。 川崎F公式