日本 - コスタリカ

どれだけ煽っても所詮ワールドカップ直前の単なるテストマッチなのですが、両軍とも動きがキレキレで単独の試合として見ても面白かったです。見ている方は特に勝敗とかに重きを置かない試合とはいえ、出ている選手達、特にスタメン当落線上の選手達にとってはワールドカップ本番の試合以上に大事な試合かもしれないですしね。選手を試すことが許されてる試合ですからいいっちゃいいんですが、それでもサイドバックに今野を使うぐらいなら駒野を…


試合については前半は2つのことを感じました。
目指しているサッカーは日本の方が面白いし高みを見てるんだと思うけれど、得点して勝てるのはコスタリカかも。特に前線の選手のタレント性というか、少ない人数でも少ないチャンスの数でも、決めるときは決めるというナイフのキレのようなものはコスタリカの前線に軍配が上がったと思います。対する日本の前線は本田と香川はボールを持ったりドリブルしたりとやれすぎるからどんどん得点から遠ざかる感じです。その対局にいるのが大久保のイメージで、コスタリカの前線はさらに大久保をとんがらせてスピードアップした感じ。一刺しで決める、みたいな。


それとボランチの組み合わせについて。この試合はいつもの遠藤・長谷部コンビのボランチではなく山口・青山のコンビでしたが縦に早く強いパスをバシバシ配給してて、この方がザック好みなんじゃないか?と思いながら見ていました。が、いかんせん日本の前線は良くも悪くも手数の多いのが特徴ですから、いい縦パスが通ってもコスタリカのように少ない選手の少ない手数では決められない。結局のところ後半の遠藤が入ってからの手数もパスの本数もかかるけど、その分前線に日本の選手が多く上がって攻撃に絡みゴチャゴチャした中で誰かが決める、という方に美味しい所を持ってかれたようにも思います。


後半については、まあ、ね。6人も選手を代えられる試合で、後半から出てくる選手にいつもの鉄板メンバーが多いので選手同士のコンビネーションは完成に近い。対するコスタリカは選手交代を少なめにして、時間とともに動きが落ちてくる。逆転勝ちも必然かなと感じました。


ザッケローニ監督の心の中は分かりませんが今日の試合の位置付けとしては、
1.シーズン中に怪我や出場時間の少なかった選手をスタメンで使いどれだけやれるか見る。
2.怪我を抱えている選手が本番でファーストチョイスとして使えなかった場合のセカンドチョイスを試す。
というのが前半で、後半は
3.監督が考える最良の組み合わせの確認をする。
的なものだったのかなと。それを考えれば勝ち負けは負けるよりは良かったね程度で、これ以上怪我人が増えずセカンドチョイスもそこそこ目処が立ち、まあ良かったテストマッチだったのかな。ただ、左SBに今野を使うぐらいなら駒野を…

日本 - キプロス

内容をどうこう言う試合じゃありませんが、壮行試合としては最高の代表戦でした。
だって2010年のこの時期は思い出したくもないような試合でしたし、その前の2006年もまあ、ね。それに比べたら天と地です。もちろん天の方。そうはいっても収穫と課題と両方ありましたけど、まずは収穫から。


・試合の中で怪我人が出なかった
・欧州のシーズン中に怪我人だった選手が試合に出られるぐらいに回復していた
・最後に日本代表に滑り込んだ大久保選手がキレキレだった


課題としては、


・欧州シーズン中に思うように試合に出られなかった選手が相変わらず今一
・交代選手が出てもチームの特徴が変わらない


こんな感じを受けました。


収穫については、対戦相手の選び方の成功もあると思いますが、激しいけれど汚くはない相手でちょうど良かった。キプロスのFIFAランキングは日本よりも相当低いですが、ワールドカップ予選やユーロの予選等で常に強豪国と戦っているだけあって押し込まれて守る時間が長くなっても切れたりせず最後までフェアに激しく戦ってくれたので、日本の選手も変に痛むことがなく、この時期のマッチメイクとしてはいい相手だったと思います。仮想○○とかテレビ局など言いがちですが、逆の立場に立って考えると日本と同組の対戦相手国が仮想日本として仮に韓国とマッチメイクしたとしても何の参考にもならないことは明らかですしね。この時期フェアにやってくれる相手が一番です。
そして内田、長谷部選手など、怪我明けの選手が普通に試合を出来ていたことも安心しました。ザッケローニ監督が23人に選んでいる時点で大きく心配することではないかも知れませんが、それでも実際にプレーしているところを見られるのは安心です。これから初戦までまだ2週間強ありますので、もう一段階コンディションは上がるでしょうし。
そして大久保選手の思い切りのいいプレーやミドルシュートなどは今までのザッケローニ監督の鉄板メンバーに新しい風を吹き込んでくれそうな予感を感じられました。短いパスをつないでDFの裏を取って最後はGKまでを交わしてシュートをしがちな日本サッカーですが、引いた相手に対し少しでもコースが見えたら足を振りぬく大久保選手の存在は心強い。


課題については、本田選手が心配ですね。同じく試合に思うように出られなかった香川選手は自分の2m範囲内の仕事はきちんとこなしていたように見えましたが、本田選手は特徴であるタメと思い切りのうちのタメのほうは出来てましたが思い切りについてちょっと物足りなかったように感じます。プレーにキレがないというよりも判断にキレがないように感じてしまいました。
また岡崎選手と交代で出た清武選手ですが、これは清武選手の問題ではなくザッケローニ監督の23人の選び方の問題なのですが、それでも変化がない。もともと23人を選んだ段階で守備的にはいかないよとか空中戦はやらないよというメッセージが含まれている選手選考ではありましたが、それにしても交代で変化がつかない感は否めません。味付けは変わらず風味が変わったぐらい、味噌味から醤油味や塩味への選手交代ではなく、味噌の中の白味噌からあわせ味噌に変わったぐらいの変化というか、ちょっとゴマを振った感じというか。それも分かっていて日本らしい戦い方をするつもりだとは思っていますが、それでもちょっと心配です。


恐らくこれがザッケローニ監督が日本国内で日本代表を指揮する最後の試合になるのだと思いますが、この4年弱は面白かった。外野に何を言われてもほとんどぶれない本物のプロコーチって感じでした。あれだけJの試合も見てる人が選んだ日本代表なら、例え3連敗に終わろうとも納得ができそうな気がしています。少なくと3試合終わってからフィジカルの強さがなかったとかの言い訳をするとは思えないし、どんな結果になっても胸を張って責任を受け止めてくれそうな監督です。そんなザッケローニ監督がブラジルでどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみでしょうがない。願わくば準備期間のコンディション作りに失敗することなく、チームの雰囲気作りに失敗することなく、グループリーグ初戦を迎えて欲しいものです。日本のキャンプ地のホテル、間に合うのかな。

WCブラジル大会日本代表選手23人の選出に寄せて

もう前ほどは日本代表にどっぷりと浸かってないし、今日も選出のラジオ中継を聞くまではワクワクドキドキではなく結構平常心だったのですが、やはり実際に23名のメンバーが決まって顔ぶれを見てみるといくつか思うことがあったので書いておきたいと思います。個々の選手に関しての感想はほとんどないので悪しからず。


他の出場国の選手の発表があったりして、「ああ、本大会が近づいてきたんだな…」と思うことはあっても、なぜかそんなにドキドキとかワクワクはしてなかったのです、本当に。それはヴェルディから選手が選ばれる可能性は限りなくゼロだし、三浦カズが選ばれるわけもなし。でも、決して興味がなかったとかそういうことではなく、ザッケローニ監督の4年間を見ていれば、監督がどのようなサッカーを志向しているのかも分かるし、今までの召集選手を見ても大きなサプライズは有り得ない。ザッケローニ監督のやり方に好き嫌いはあるにしろ、チームの骨格で言う背骨のようなものや芯のようなものは4年間ほとんどぶれなかった。それを考えれば、怪我の選手をどう考慮するのか、直近で好調の選手をどう評価するのか、それぐらいしか目新しい部分はないだろうと思っていたからです。日本代表候補に名前が挙がっている選手の誰が選ばれたとしても、今のヴェルディより数千倍マシなチームになるのは間違いないし。(念のためですけど、今のヴェルディの選手と代表選手を比べてるわけではなく、それぞれの監督のチーム作りの経験や哲学を比べてるだけですよ。)まあ、ヴェルディ絡みで言えばフッキがブラジル代表に選ばれた時点で満足してたけど。


ザッケローニ監督と言う人は、自分の志向するサッカーと現有戦力を見渡したときに大外しする監督とは思えない。プロ監督として自分のサッカー哲学と選手のすり合わせを現実的に最大限の結果で導き出せる本当の監督だと思っています。だからこそ、今回の23人の選出で誰が選ばれても誰が選ばれなくても、チームを信じて見守っていける、自分達は試合内容と結果だけを楽しみにしてればいい、そんな信頼がおける監督だとこの4年間で確信したから。もちろん何度も言いますが、ザッケローニ監督のやり方に好き嫌いはあると思います。でも、それは4年前にザックをサッカー協会が選んだ時点で決まってしまっていることだし、どこかのセルジオさんみたいに今さらそれを言ってもね、という話。もちろん解任を考えなければならないような失策もなかったし。


改めて23人を見てみれば、後ろは鉄板。中盤から前はややサプライズあり。ずっと日本代表でやってた人の名前がなかったり、最後に大久保選手が試合終了間際のゴール前ニアサイドに突っ込んできたみたいなことはありますが、順当な選出だと思っています。前線に高さと強さが足りない気もするけど、それは日本のストロングポイントである足元の技術とすばしっこさで戦う道を選んだと言うことなのでしょう。試合終盤のパワープレイはやらないよということには賛同しますが、CKからの得点はあまり期待できなさそうかな。まあ、日本の中盤前目の技術があってすばしっこい攻撃的な選手は使いたくなるかなとは思います。だって、相手の守備陣を撹乱してキリキリ舞いさせたら痛快そうだもの。ギリシャの守備陣が右往左往している間を切り裂いたら気持ちいいだろうな。ザッケローニ監督がそんな単純なことを考えているとは思いませんが、私はそんな場面が見てみたいです。


どちらにしろ、あとは本番本大会のみ。この4年間のザッケローニ監督と仲間達の冒険が本大会の3試合で終わるのか7試合あるのかは分かりませんが、本番までに良い準備をして良い戦いを見せて欲しいもの。1-0の試合よりは4-3を選んだような気もしていますが、それがザッケローニ監督が4年間日本サッカーを見てきての結論であるなら、負けることでさえ楽しみになるような気がしています。敏捷性、規律性、そして得点に至るまでの創造性を本大会で見せ付けて欲しい。あれ、結構今回の日本代表に期待してるぞ、自分。

セルビア戦・ベラルーシ戦を終えて

欧州遠征の第一弾である中堅国2連戦を2連敗で終えた日本代表に対し、ザッケローニ解任と言う声が一部で上がっているようですが、なんとまあ、アホかと。
特にセルジオさんなんかは日本ホームで行うぬるい親善試合なんて集金にはなっても強化につながらないのだからどんどんアウェイに出かけて厳しい環境で試合をしろと言ってたんじゃなかったでしたっけ? アウェイに行っていろいろ試して勝てば良いけど勝てなくても狙いが分かる敗戦ならしょうがない、そんな風に思ってますのでこの2試合や直近の流れをもって監督解任なんてまったく思えないのですけどね。


ということで私が感じた狙いなんですが、日本はアジアにいる以上ワールドカップのアジア予選は力の差がある相手と戦うことが多くなるわけで、必然的に自らがボールを持って引いた相手を崩す形が多くなるのはしょうがない。今まではそれで予選を突破しても本大会では同じ形が通用しなくて、特に南アフリカ大会直前にはチームの戦い方を大きく守備重視に振って戦いある程度の結果を収めたが、決勝トーナメント初戦のパラグアイには通用せずに(通用して守りきったけど少ない攻撃機会では攻め切れなかった)敗退した。ここが全てのスタート地点になっている。
で、次のブラジル大会も出場権を得る予選までの道のりは似たようなもので、予選の最中に日本が引いて守ることを選択するべき相手はいない。でも、来年の本大会に向けて引いて守るのか? というのが問われているのが現在地点。


それはコンフェデのブラジル大会からテストは始まっていて、その試合に勝つ、その大会に結果を残すことが目的なら違う戦い方をしたかもしれないけれど、日本はアジア予選と同じ戦い方で臨んで負けた。ブラジルに対し通用しない部分、ちょっとグダグダなイタリアに対し通用する部分としない部分、メキシコに対し通用しない部分ははっきりと分かった。でも、そこでまた自分達のスタイルを変えて大きく修正すると言う考え方は現在の日本代表にはないのだと思っています。とにかく今の戦い方でどこまでいけるのかを試す。そう、試している真っ最中です。


試すと言えば一部の方からは同じスタメンばかりでなぜ新しい選手を試さないのかと言う批判もありますが、試し方は監督の自由。新しい選手を使ってチームの幅を広げる方に試合を使うのか、負けても負けても同じメンバーを使ってチームの進化がどこまでいくのか深さを求める方に試合を使うのか。日本代表の限られたマッチスケジュールの中でザッケローニ監督はチームの深さをチャレンジすることにした、ただそれだけです。幅を広げてもチームは強くなるでしょうが、深さを選んでもチームが進化して強くなるかもしれない。正解のない選択肢で監督の監督たる所以である部分の仕事なので、それを持って批判するのはお門違いも甚だしいと感じます。


で今回の2連敗ですが、確かにセルビアベラルーシも欧州の中堅国以下でしょうから負けるのは心配になります。でも、このような国はワールドカップ予選やユーロの予選のグループリーグで常に欧州強豪国2カ国ぐらいが同じグループに入っていて、守ってカウンターなど練習しなくたってやれるほど慣れているはず。そのようなチームを相手に今の日本代表のスタイルがどこまで通用してどこが通用しないかを試すことができた収穫のある2試合だったと思ってます。
確かに香川選手や吉田選手などクラブで試合に出ていないが故のコンディションの問題などは抱えていたかもしれない。でも、今この2試合に勝利し結果を出すことよりも、半年先のワールドカップ本大会を日本が自分達のスタイルで戦えるようにチームの深さの幅をとることを8割ぐらい優先しただけの2試合だったんじゃないか、と思ってます。残りの2割は柿谷選手を使ったこと。新しい選手だって試してるじゃん。


次の欧州遠征がオランダとベルギーの2試合になるのなら、コンフェデのブラジル戦のように好むと好まざるとに関わらず日本はアジアの戦いとは違って押し込まれた状態が多くなった中で必然的に戦うことになります。これは意識してテストしなくたって相手によってはそうなるし、本大会でも第一シードの国と戦う1試合はそうなるでしょう。でも、残りの2試合はセルビアベラルーシよりももう少し強い国とやるし、決勝トーナメントに進んだらそのような相手から得点しないと先に進めない。本田△のように優勝はまあ、まあ難しいかもだけど、私もグループリーグやトーナメントで引いて守る日本は見たくない。ただ今はコンディションや意思統一の部分でチームのダイナミズムやオートマティズム(このチームのザック戦法にあるのなら…)が失われていて、ザックさんが微修正してそれをどう取り戻すかが問題だと思っています。縦に早くパスをつけるとか、ボールを追い越して走り抜けるとか、そんなことがふとしたキッカケで思い出せれば問題ないし、オランダやベルギーはそれを思い出しやすい相手でもあります。


ザックさんも経験のあるプロ監督ですから本当の意味でのチーム作りは最後の合宿期間でもできるでしょうから、今はとにかく試せることを試す時期でもあり、それができるようなマッチメイクを日本サッカー協会がうまく作れているのだから、もっと一喜一憂して(一憂二憂って感じだけど…)楽しんでればいいと思ってます。本大会をリーグ開幕だと考えるなら、今はまだ一次キャンプをどこかの南国でやってるようなもんだから。

日本 - ウルグアイ

宮城スタジアムに行ってきました。
試合は最高に面白かった。日本代表にとっては厳しい結果だったけど、特に勝たなきゃいけない試合でもないし、強化試合としては最高の相手でした。お互いにある程度綺麗なサッカーでテクニックもあるし、どこかの国とやる時のように怪我させられるのを心配することもない。まあ、怪我しちゃうこともあるかもしれないけど、壊しにきてるわけじゃないから安心して見ていられます。とにかくウルグアイ上手いなと思いながら見てました。


日本代表だってうまいんだけど、日本が上手いのはピッチの中央付近だけ。前後左右の相手ゴール前でも自陣ゴール前でもなく、両サイドでもない。ただ、ピッチの中央付近では日本も上手い。でも、相手ゴール前の上手さや怖さはウルグアイの圧勝でした。結局のところ試合運びとしては一流のウルグアイとまだ一流半の日本という差がスコアの差になってると感じました。力を入れるところと抜くところがピッチの場所でも時間帯でもウルグアイの方が一枚も二枚も上手でした。


でも、日本が一流半まで上がってきたからこそ、対戦相手も来日する選手の顔ぶれも一流が来てくれて本気でプレーしてくれるようになった訳だし、一流半だからと言って悲観することは全くないと思います。20年ぐらい前の日本がワールドカップに出られなくてサッカーにおける二流や三流国だった時代は対戦相手を見つけるだけで大変だったし、最初のメンバーには有名どころの選手がいても実際に来るのは無名の若手選手ばかりという時代もありましたしね。相手が見つからなくてサウジアラビアとかアジアの国とばかりやってた頃に比べたら、そこそこ本気のウルグアイにチンチンにされるのも悪くないと思います。日本の弱いところ、足りないところをウルグアイが浮かび上がらせてくれた最高の強化試合でした。


ただ、試合は最高だったけど、スタジアムのアクセスは相変わらず最低クラスでした。場所的にアクセスが悪いのは建設時からの問題だからしょうがない部分もあるけど、バスへの誘導方法だったり交通規制だったり、場所的なアクセスが悪いからこそ工夫する余地はあると思いました。並ばせ方ひとつとっても細く長く並ばせてしまうので、とても長距離を歩かされるし、誘導も少なくてとても分かりにくい。誘導をビシッと大きな声で適切な人員配置にしてバスの乗車を複数台同時にするだけでももっと流れるのにと思ってしまう。場所の広さは充分あるのだから、後はノウハウを学ぶ気があるかどうかだと思うのだけれど。やる気ないんだろうね。


まあ、運営の酷さを差し引いても、とても面白い試合でした。シュートやパスのスピードや威力がまったく違ったし、ウルグアイと同じレベルのプレーができそうな可能性があるのは本田と香川と岡崎選手ぐらいしかいないこともはっきりしたし。後は残り一年どこかのセルジオ越後さんのように無い物ねだりしていてもしょうがないので、あるもので形にしていくしかない。Jリーグのパススピードやシュートのタイミングでは通用しないことにいかに多くの選手が気がつくか、それに気がつける相手と対戦カードを組めるかだと思います。アジア相手の時ほど攻撃の手数をかけていたら崩しきれないし、崩す前に反撃を喰らって失点につながってしまう。


なんだろう、やられてワクワクする感覚は久しぶりでした。だって、日本がまだまだ向上する余地があることをはっきり教えられたのだから。本気のブラジルだと違いすぎてわかりにくいけど、本気のウルグアイだと差がとても分かりやすかった。FWの裏の取り方やサイドバックのオーバーラップのタイミングやスピード、そしてボールをもらう位置がスピードの上がるスペースであることなど、学ぶべきところがたくさんあって、最高の対戦相手でした。

日本代表の東アジア杯を終えて

昨夜眠りにつけぬ時にいくつか考えていたサッカーのこと。
日本はワールドカップに出場するために頑張ってJリーグを立ち上げた。それから20年が経過して、最早出ることは当たり前になっていかに勝つかを考える時代となり多くの選手が海外のクラブに所属している。

日本代表の強弱に直結するのは海外組の出場の状況で、Jリーグは海外組になるための経験を積むための場所になってしまうのか、という寂しさもあった。でも、今回の東アジア杯でのJリーグ選抜日本代表の頑張りで日本サッカー界が裾野を広げる活動をしてきたことの成果が出たような気がしてる。

J2を作った当時はJ2から日本代表の道筋がJ2→J1→日本代表しかイメージできなかったけれど、今では普通にJ1→J2→J1→日本代表とか、J2→海外クラブ→日本代表なんてルートが簡単に想像できる。

クラブ数を増やすことで各クラブの経営は大変になっていると思うけど、選手が発掘されるチャンスは10チームの時よりも圧倒的に増えた。もちろん各クラブの下部育成組織の充実もそれに一役買っているのだと思う。

翻って東アジア杯の韓国代表を考えるときに、果たしてKリーグはその辺りがうまくいっているのかなと思ってしまう。国の規模が違うから同じように比較はできないけど、Jリーグ創設以前は韓国は日本にとって超えるべき相手だったけど、今はもう特別な感慨を抱くような相手ではなくただのアジアの一国。

反日ドーピングが効き過ぎて、勝っても負けても後味が悪いだけの国になってしまったのは非常に残念。韓国の人に冷静になれと言っても難しいかもだけど、この20年間日本がしてきた下部リーグや下部組織の充実とか地道な努力に目を向けて本当の意味でのライバルになって欲しいもの。

その意味では中国はサッカーに関してだけは冷静だからちょっと怖い。20年後には国内リーグを充実させてアジアの強豪になっているかも。もともと分母は大きいのだから、一度システムが出来上がれば選手の供給能力は高いはず。でも、地味な下部リーグを中国人がまともに運営できるかどうかだけど。

Jリーグにプレミア構想があると聞いた。常に停滞せず改革を考えるのは悪いことじゃないけど、今の日本サッカーの発展をJ2などがどれだけ地道に下から支えてきたかを忘れてるんじゃないかとちょっと心配な話。5万人入るクラブを10個作るのではなく、1万人入るクラブを50個作るべきでは。

理想論だと分かっちゃいるけど、東アジア杯の結果とプレミアリーグ構想のことを聞いたときに頭に浮かんだ事。議論するのは大切だけど、どうも秋春制の話といいプレミアリーグの話といい、日本サッカーを支えているのが誰かを忘れているようにしか思えない。そこが残念であり違和感を感じるところ。

日本代表のコンフェデ杯を終えて

3連敗を肯定してるわけじゃないけど、ザックに課せられたミッションをまず考えなければいけないと思う。
まずはアジアカップで結果を出す⇒優勝
WC予選を突破する⇒ぶっちぎりの1位通過
で、WC予選の最終戦(日本は日程を優遇されたけど)とダブってる日程のコンフェデ杯に協会はミッションを課したのか、課せるのか?

コンフェデ出場はアジアカップを自ら優勝したザックに対するボーナスでもあるわけで、それをどう使うかは協会が口を出すというよりはザックの専権事項のような気がする。
本来なら出場した南米選手権で終了していたかもしれない対強豪のテストマッチを止めさせたのも協会なので、ますます言えない。

現有戦力で本大会強豪国とどれくらい戦えるのかを見極める大会としてコンフェデを位置づけたときに、今回のザックの采配に何か問題あるかな。私はほとんどが納得のいく采配に思える。微妙な選手交代は結果論なので3敗という結果では全て失敗に見えるけど、一つ一つの交代の意味は汲み取れる範囲。

このような思考過程で振り返ったときに、ザックの3年弱の期間に文句をつけるような瑕疵は一つも見当たらないと思う。今のザックに文句を言う人たちは、日本代表が試合をする限り全勝を求めるぐらい、ザックに課しているミッションの要求レベルが高いのだろうか。

ましてや監督交代を唱える人に至っては、今から彼以上の監督を連れてこられる可能性をどれだけ高く考えているのだろう。もちろん可能性はゼロではないが、今まで積み上げてきたチームの経験値の放棄も意味しているわけで、とても現実的な思考とは思えない。

日本の現在位置はFIFAランク30位前後。常に努力をしていてこそこの順位も維持できるわけで、向上の気持ちを失った韓国の現状を見れば日本だって安泰ではない。ザックの采配は積極的戦闘的な分かりやすい采配じゃないから余計に文句が言いやすいけど、いつから日本はそこまで偉くなったのか。

サッカーに対する見方は自由だから肯定する人もいれば否定する人もいる。思想信条の自由は保障されているから、解任しろと言うのも自由。でも、時々は自国の立ち居地を振り返って確認しないと現実離れした論になる危険性があると思うし、本大会出場決定以降の日本はちょっと浮かれすぎかも。


ツイッターでつぶやいたことをまとめてみました。
確かにここ最近の日本代表の成績は芳しくない。でも、監督の交代や解任を考えなければいけないほど、今の日本代表は危機的状況なのだろうか。監督交代は最後の劇薬で、うまくいく時もあるけど、失敗することも多い。それでもなお、現状の日本代表はそこまでハイリスクな選択をしなければいけないほど追い込まれているのか。


アウェイヨルダン戦の負け以降、確かに流れはちょっと悪いです。でも、それは監督の責任と言わなければいけない内容とは思えない。PKの失敗は監督の責任でしょうか。選手の怪我やコンディション不良は? もちろんその選手を起用した責任やサブを育ててこなかった責任はあると思うけど、今の日本サッカー界には将来有望な選手は多いけど、今現在において世界のトップリーグで活躍している選手はごく一握りしかいないのが現実。仮定の話だけど今回のコンフェデでスタメン出場した選手が一斉に怪我人となってそれ以外の選手でチームを構成しなければいけない状況になったとしたら、まだまだ日本は強豪国どころか中堅国ですらなくなると思う。代表に呼ばれていないけれど将来有望な選手はいるけれど、強豪国との真剣勝負で戦力として計算できるかどうかはまったくの別問題です。それらを掬い上げるのがこれからの東アジア選手権の試合でもあるので、ザックは日本代表の扉を閉ざしているわけではない。アジアカップ優勝までを第一期ザックの日本代表とするなら、本大会出場決定までの第二期がちょうど終わった所。ここから先が監督の腕の見せ所であり、今までの鉄板営業を離れて冒険が少しだけできる第三期です。起承転結で言えば一番面白い転の部分なのに、そこを見ずして何を楽しみにするのだろうって感じです。
もちろん結は本大会の結果で、ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのかは分かりませんけどね。