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2012-01-21

 あなたが、「そこにいた」という事を、写真を見る者に伝える方法を考えなければならない

ユリイカ 2012年1月臨時増刊号』総特集◎石川直樹 エベレストから路地裏までを駆ける魂
を買った。

本屋で立ち読みして、鈴木理策さんの「石川直樹さんのこと」という文章を読んで買ってしまった。
鈴木理策さんが、初めて石川直樹さんの写真を見たときの感想とそのときどんなアドバイスをしたのかが書かれている。
以下は、その文章からの引用です。

最初に見せてくれたのは、エベレストで撮影した写真だったと思います。35ミリのカラースライドで撮影した100枚近くの写真を、プロジェクター投影しながら一枚一枚解説してくれたのですが、それらの映像はどれも町の定食屋の壁にかかっているカレンダー写真の様な、撮影者不在の「イメージ」で、命の危険と隣り合わせで登山していた切迫感を感じることができず、正直、ひどく困惑してしまったことを覚えています。
 現代では、世界中のあらゆる場所が写し取られている。エベレストに行ったことの無い私でさえも、すでにその場所についてのイメージを手に入れてしまっている。こうした状況においては、情報として機能する写真は他のカメラマンに任せてよいのではないか。あなたが、「そこにいた」という事を、写真を見る者に伝える方法を考えなければならない、という様な事を伝え、スライドではなくフィルムで撮影すること、撮影機材はとしてプラウベルマキナを勧めました。それから、一枚の完成した写真を目指すな、外からやってくる事に反応してシャッターを切ることに専心しろ、そのきっかけを見逃さないために緊張を持続させることが大切だ、と話しました。自分から撮る意識を捨て、撮影はカメラに任せるのだ、旅から戻るまでどんな写真が撮れたのかは楽しみにとっておけ、とも付け加えて。

そして、私も直接鈴木理策さんから聞いたことがある、自分の見た写真を記憶の中にデータベース化してしまうということに対する注意が書かれていた。その部分も引用します。

写真を志す若い人には、過去に見た映像をデータベース化し、いつどこかで見たことがある様な写真的場面に遭遇すると、シャッターを押して、撮った気持ちになっている人が多い。それは過去に作られたイメージとの絵合わせに過ぎない、ストックするイメージの量を、上手な写真を撮るための必要条件とする奇妙な考えが常識化している様です。確かに、フォトジェニックな対象は至るところにありますから、それに誘われ、撮らされてしまうのは仕方のない事でしょう。けれど、規範ありきの撮影は「写真の為に写真を撮る」という袋小路に入り込んでしまうだけです。

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