「産業アイドル」のおさらい(その4)

続き
その1
その2
その3

そろそろ飽きてきた(笑)。

id:JuliusCaesarさん(コメント)

バラドルは「3」ではないかと思います。(お笑いは女の少ない、かつアイドル性が必要とされないジャンルです)

バラドルは本来は「1」である筈です。(民放の)バラエティの元祖は「ザ・ヒットパレード」や「シャボン玉ホリデー」だと思いますが、歌って踊れてついでに演技も出来るバラエティーアイドル的な存在としてはザ・ピーナッツがパイオニアです。「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」のキャンディーズも似た存在です。というか本来音楽と笑いというのは切っても切れない縁なんだけどなあ(笑)。

それと、本文にも書きましたが、「アイドル」キーワードの説明はユニークな(=重複しない)分類ではありません。例えば浅田真央ちゃんは見る人の立場によって「1」にも「2」にも「3」にも「4」にもなるんです。
今だと早稲田実業の投手も「1」。でも野球少年から見たら「2」だな。

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そんなことよりも、問題はこれ。

それから、「アイドルと呼ばれたくない」理由としては「実力が伴わないと思われたくない」のが大きいと思います。

つーか、俺そんなこと書いたっけ?
客観的な意見にみえて、実はJuliusCaesarさんの生理的な主観に感じますが?

例えば、ハロプロメンバーにそういうことを考えている人はいましたっけ?
誇りを持って仕事に取り組んでいるからこそ、これだけの事が出来ると思いますが、いかがでしょう?

「アイドル」のイメージは世代ごとに変わってきますが、「アイドルは実力の無いもの」とか「アイドルは恥ずべきもの」っていうのはある意味、ある特定の世代の日本人がそう思っているような気がしてならないんだよな。少なくとも40歳代以上でそんなことを考えている人は少数派かと。それは美空ひばり吉永小百合山口百恵松田聖子中森明菜を否定する事かと。

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id:umeda-tetsuyaさん(コメント)。

おっしゃる通り「6」しか産業アイドルの定義に合致するものはありません。

ありがとうございます。

基本的に、私のアイドル観は境真良の「アイドル産業」という論文に立脚したものなので、「6」しかアイドルとして認められません。

なんだそりゃ(苦笑)。
これか
膨大な量なので評価は後回しにしますが、第一印象としては言葉遊び的な要素もあり危険な匂いもしますが、言わんとしているとことは理解できます。ただ100%正しいとは今の段階では言えません。
とりあえず気になったのは「綺麗」と「かわいい」かな。カリスマもアイドルも日本語でイコールこれ!という定義抜きで進行している言葉ですから、ジュニアファッション誌のカリスマモデルは「かわいい」ですし、美少女アイドルは「綺麗」です。ただこの手のことを問題視しても意味ないですね。
(「カリスマ」も、まだ国内では余り馴染みのないインパクトを持つ言葉を引っ張り出してきただけですから、「アイドル」と比較されても困ります(笑)。)

でも、これ読んでも「6」=アイドルだなんて思えないんだけどなあ...

「1」は、論理学的に後件肯定の誤謬のようなものだと思われるので無視します。「2」は、アイドルではなくスターなので誤用です。「3」は、アイドルと言わずマドンナやプリンセスといっていれば事足りるので除外されます。「4」も新人タレントと呼べばいいだけです。問題は「5」なんです。

うーむ。
失礼ですが、難しそうな言葉は使わないで下さいね。このブログは海外の方も翻訳して読んでいる可能性があるので。
面倒だけどきちんと説明した方がよさそうだな。

「1」について。
念のためにキーワードの引用も付記します。

人気者に対して与えられる称号のひとつ。
辞書に載っているアイドルそのものの意味だが、日本では(人間/動物問わず)人気者(物)の中で、特に「かわいらしい」「若々しい」「守ってあげたい」といった形容詞がつきやすい対象者(物)にのみこの表現を用いる。いわゆる「アイドル」という言葉が安売りされている現在、これらの者(物)には「国民的アイドル」「トップアイドル」「人気アイドル」「スーパーアイドル」といった表現がなされていることが多い。

私が知っている限りでは、ビートルズの映画「HELP!」の邦題「4人はアイドル」が最古のひとつかな(参考)。
いわゆる当時使われすぎてしまっていた「スター」に変わる新しいキャッチコピーなのですが、元は「スター」と同義語です。ただ当時の一般人にとってビートルズと「女の子たちがステージに向かって金切り声を出して叫びまくる」がワンセットになっていたので、同義語として定着せず、やがてファンが同じような声援、例えば郷ひろみの様な『ヤングポップス歌手』が「君たち女の子♪」と歌えば観客の女の子が「ゴーゴー!」と叫ぶシーンとオーバーラップし、それが後にアイドルと広く呼ばれるようになるんです。『若手人気○○』の代替語ですね。○○には歌手・女優が入ります。
ちなみにビートルズは海外では「FAB FOUR」と呼ばれています*1。なので「ファブ」って言葉を使えば良かったのですが、ピンときませんよね。つまりそういう事だと思います。
転じて、あらゆる人気者・物(これは人間に限らない)の中でも熱狂的に受け入れられる者・物が「アイドル」と呼ばれる様になります。その中でも日本人の特有の美意識でもある「可愛い」のエッセンスを持つ者・物が話題されがちなので、現在の意味は『かわいらしい人気者・物』となっています。
よって、本州にときたま現れるアザラシや二本足で立つレッサーパンダも「1」となりえます。これはつんく♂さんの意見でもありますが、私も同感です。彼らをモチーフにしたCDが発売されれば、これもアイドル産業といえます(世代によって異論はあろうかと思います)。

「2」について。

少年少女の憧れとなる偉人・有名人に与えられる称号のひとつ。
こちらも本来の意味であるが、日本では「ヒーロー」「スーパースター」「カリスマ」という表現が好まれる傾向にある。
用例:「ジーコは俺たちブラジルのサッカー少年にとって、永遠のアイドルなんだ。」
クエンティン・タランティーノ梶芽衣子を崇拝しているのもその好例。

誤用だなんてとんでもない。本来の意味は「2」ですよ。これは海外スポーツ選手のインタービュー記事などで今でも割と使われる表現です。
例:「サッカー アイドル マラドーナ」で検索
要は王長嶋にこの言葉を使っていれば良かったんですね。ただ「1」の用法が先行してしまったこと、「スーパースター」「ヒーロー」の方が勇ましく聴こえることで、日本では馴染みませんでした。ただ個人的にはオシャレな使い方で好きですね。

「3」について。

相対的に女性の少ないジャンル、あるいは本来女性らしさ(可愛らしさ)を求めないジャンルにおいて、若手女性が活躍した場合、その対象者に与えられる称号のひとつ。
「○○界のプリンセス」「○○界のマドンナ」「○○界の(ニュー)ヒロイン」の類似表現。
人気回復のテコ入れ策として利用されることも多い。
用例:「ゴルフ界のアイドル」「柔道界のアイドル」「囲碁将棋界のアイドル」

確かに事足りるかもしれませんが、「マドンナ」は古くなり、「プリンセス」は本来の用法の方が強くなっている現状では、アイドルの方がしっくりくるでしょうね。
例:「囲碁界のアイドル」で検索

「4」について。

主に劇団や大手事務所のジュニア部門、売出し中の新人タレントなど、いわゆるスター予備軍に対する呼称。
中学生以下は「U-15」、「ジュニア(アイドル)」、「キッズ」、「美少女」と呼ばれることが多く、高校生以上はその仕事内容から「グラビアアイドル」あるいは単に「新人タレント」と呼ばれていることが多い

現在のアイドルファンシーンを支えている世代がもつアイドル像は「4」です。但し、あくまでもファン・マニアの間だけです。
この源流は後藤久美子宮沢りえから始まった(CM)美少女ブームに始まり、安達祐実らの子役ブームや、ジュニアファッション誌のカリスマモデルなどを得て、現在のU-15ブームに至る流れです。
さらに、少年誌のグラビアが青年誌に移り、同時にグラビアアイドルの動的なプロモーションが歌手活動からDVDに移ったことで、雨後の竹の子の様にグラビアアイドルが現れ、現在に至ります。
この項では「新人タレント」と書きましたが、実はこれは送り手の言葉であり、ファン・マニアは使用してはいません。「新人タレントと呼べばいい」というのは実はumeda-tetsuyaさんはアイドルファンではないという根拠になりえます。
まず「タレント」という言葉自体が(日本では)ご都合主義的な用法しか持たないので、ファン・マニアから一番嫌われる言葉のひとつだということ。ファン・マニアは彼女達に対して何らかの評価をしたいので、女優(子役)、CMモデル、グラビアアイドル、歌手などといった言葉に必ず置き換えると思います。タレントは「才能」ですが、日本では必ずしもそうは思われないのです。
逆の立場で考えると「4」の送り手(多くは大手のプロダクションや児童劇団など)はアイドルという言葉を安易に使っていません。これは「1」の意味がまだ業界内に色濃く残っていることを意味します*2

「5」について。

いわゆるアイドルファンやマニア(オタク)向けにターゲットを絞ったタレントの呼称。活躍の場は地上波のゴールデンタイムであることは少なく、小規模会場でのライブ・マニア向けの雑誌でのモデル・撮影会・BS/CS番組・インターネット・様々な接客業などである。その範囲は成人向けコンテンツを含むこともある。

こちらも多分に現行の「アイドル産業」の大きな柱なんでしょうが、「4」は受け手(ほぼアイドルファン・マニア)が彼女達を(半ば勝手に)「アイドル」とみなすものであって、「5」は送り手が「アイドル」として売り出すものです。
「4」と「5」の見分け方は簡単です。将来性があるか?です。「5」は余程のことがない限り「1」にはなりえません。
さらに、そのほとんどが固定客である異性をターゲットとしたもので、これがエスカレートすると風俗・18禁化します。
なので「4」支持層=「5」支持層ではありません。
違和感があるのはこの部分でしょうか?

「6」について。

「アイドルは○○」のイメージに合致するタレントを「アイドル」と表現することがある。 ○○は「トイレに行かない」「下品なことは言わない」「歌が下手」「ぶりっこ(裏表がある)」といったコントの題材になりやすいステレオタイプ的なものと、「恋人を作ってはいけない」「処女でなくてはならない」「酒を飲んだりタバコを吸ってはいけない」といったスキャンダル性を含むものがある。

これはステレオタイプのアイドル像の部分だけを抽出して、それを例えばコントのネタにしたり、バッシングの材料にするもので、これも送り手視点だと思います。

以上。

「アイドル論」あるいは「アイドル産業論」を語る上で厄介なのは、世代や立場によってアイドルの持つ意味・イメージがかなり異なっていることです。なのであまり範囲を狭めることより、とりあえず全て受け入れた後で取捨選択することが大切でしょうね。

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おまけ。
「5」に関する考察をする際のヒントです。

アイドル産業は第一世代が「1」→第二世代が「5」→衰退という流れになります。
「5」はフォロワーです。多くのフォロワーは「1」の持つ表面的な魅力を抽出し、ファン層の中で一番安定性のある異性にターゲット絞る傾向があります。「1」は老若男女からの支持を得ていますが「5」は異性のみですから、徐々に市場は小さくなり。やがて衰退します。

ハロプロでもBerryz工房が「4」→「1」ではなく「4」→「5」であると危険信号です。ただ施策は「1」を目指しているように見えます。

グラビア系も「4」→「1」的なものを目指していた筈が、内容のエスカレートから「5」のままの子が増え、やがて飽きられてしまう危険性があります。

女優系は基本的に「4」→「1」以外はありえません(マイナー女優というジャンルが出来れば別ですが)ので、この状況は安泰だと言えます。

モデルは「2」→「1」です。ただ「1」となった時点ではまだ「タレント」扱いですので、その後の成行に注意が必要...といったところでしょうか。
またアイドルマニアから見たモデルは「4」です。モデルは一過性のものだという認識があるからでしょう。

*1:fab=fabulous

*2:グラビア界は曖昧になっていますが、グラビア界は「5」も含むからなあ...