巌窟王 #24 渚にて

先週の余韻を漂わせつつ、話は5年後にとぶ。ドプレーら友人たちのその後を順繰りに追い、Aパート最後にパリへ戻る途中のアルベールが登場する。王道な演出。
Bパートはフランツの墓参りに来たアルベールがユージェニと再会する話と、昔のモルセール邸に別れを告げに来たアルベールが、偶然エドモンからメルセデスにあてたラブレターを見つける話が、カットバックで交互に語られる。
油断してたとこへの不意打ちでいきなり泣いてしまいましたが、全てが始まったその時よりもさらに昔、幸福を疑わなかったエドモンからの手紙は、この言葉で結ばれていました。「待て、しかして希望せよ」伯爵がアルベールにその言葉を告げたとき、待っていた運命は復讐の成就であり死よりも恐ろしい絶望である筈でした。しかし、かつて同じ言葉が同じ口から、喜びと祝福の言葉として告げられたのです。
教会から流れるピアノに思わず走り出すアルベール。再会の場面は直接には描かれず、あるほどの薔薇投げ入れよとばかりに画面を埋めていくバラの花束が象徴的に描かれます。そこでもう一度カットバックがあって、モルセール邸を封印してパリの街へ独り歩き出すアルベールのシーンとなってFin。終わり方をこうしたかったんで、Bパートは二つのエピソードを並行に進めたんですね。
覆された幸福という過去に囚われていた人たちが解放される話、と要約しちゃうとファンタジックチルドレンとかぶるなあ。でも、斬新な表現と手堅い演出でたっぷり楽しみました。
ドプレーがボーシャンと話してた建物の壁画がなんか社会主義絵画みたいだった。エロイーズは出てこなかったけどどうしてるんだろう。伯爵の家令だった顔色の悪いタコみたいな人が無事だったから、エロイーズたちも逃げられたんだと思うんだけれど。ダングラールの奥さんとかはなんの音沙汰もないな。
アルベールが屋敷の引き渡しの書類にサインしてた名前は少なくともアルベール・モルセールでもモンデゴでもなかったな。