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2014-03-27 (木)

[]Let It Go (「アナと雪の女王」)(承前)

英語版と日本語版の違いについて、もう少し書く。前回はid:herecy8:20140324

英語版では、パニックになって逃げ出して来たあとの後悔がまずあって、それから怒りがわき上がり、開き直って自己の肯定に至る。その最初のパニックから冷静になっていくあたりが

The wind is howling like this swirling storm inside

Couldn't keep it in, heaven knows I tried

自分の中で渦巻いている嵐、というのは魔法の冷気となって迸る激情である。抑えようとしたけれど抑えきれなかった、でもわざとじゃないよ、と。

Don't let them in, don't let them see

Be the good girl you always have to be

Conceal, don't feel

Don't let them know

Well now they know

それから父王との約束が羅列される。それは自身の内なる恐怖から身を守るすべでもあったけれど、自分を閉じ込める檻でもあった。ここで、彼女は自分の中の怒りに気づく。枷に囚われ、閉じ込められていたことへの怒り。しかし檻は壊れた。約束はもはや無意味になった。努力したけれど、守りきれなかった。全てが破れた、と思ったところで、彼女はその後に残されたもの、すなわち自分自身を発見する。

これが日本語版だと

風が心に囁くの このままじゃだめなんだと

とまどい傷つき 誰にも打ち明けずに

悩んでいた それももうやめよう

皆の目の前で魔法を暴走させて、なにもかも放り出して逃げてきた経緯がきれいに消えている。英語版では「風」は制御できない感情の比喩ですが、日本語版ではむしろ理性の声だ。英語版では"Don't let them know"と父王の言葉で示されるが、日本語版ではただ一人で悩んでたと言うだけだ。英語版では、もうバレちゃってみんな知ってるんだから、今更隠せないよという開き直りがあって、その次の「もう嫌なことは忘れよう」"Let it go"につながるが、日本語版にはそうした心理は見えてこない。思春期の悩み、といった一般化がなされている。

日本語版は、物語の文脈とは別に、「ありのままで、自分らしく」というJ-POP的なパターンで歌詞を作っているように感じた。

あと、決め台詞の

The cold never bothered me anyway

日本語版だと

すこしも寒くないわ

字幕も「寒さなど平気よ」と同様。でも、原文は"bothered"過去型なのだ。単に寒いのは気にならない、というんなら現在形になるんじゃないだろうか。過去型なんだから、今現在やこれからのこととは違う話をしてるんだと思うんだが、過去というと凍った部屋の中で一人座ってたときのことなんだろうか。冷気の魔法のせいで苦労してきて、悩まされたことがない、というのも不思議な話だが、これは寂しくはあったけれど、凍り付いた部屋の中でも寒かったわけではないということか。一人でいるのも寒いのも、もう慣れた、という意味なのか。そもそも例えば、そんな薄着で寒くないのかとか聞かれたときに、"The cold

doesn't bothere me"とか言うのかどうかもよくわからない。なんだかひねった言い回しのような気がするけれど、案外普通なのかもしれない。

youtubeでいっぱい見れるカバーで、これが言いたくて歌ってみたんだといった感じで嬉しそうに歌ってたりするんで、なんかツボに入るような言い回しなんじゃないかと思うんだけれど。

2014-03-24 (月)

[]Let It Go (「アナと雪の女王」)

D

自分の内に抱え込んだ「魔法」という秘密をもてあまし、引きこもっていた少女が、誰もいない雪山の頂上で初めて自由になれたと喜び、壮麗な氷の宮殿を建てて行くさまは、痛ましくてなにやら胸に迫るものがある。リンクしたムービーは映画本編で使われているシーンで、ディズニーチャンネルで配信しているもの。日本語字幕付き。Let It Go のクリップはいくつかバージョンがあって、同じイディナ・メンゼル版で英語歌詞の字幕がついてるsing-alongもある。*1それと松たか子の日本語版。*2デミ・ロバートが歌うPV。*3さらに25カ国語版だとか、いろいろ。

デミ・ロバート版は、イディナ・メンゼル版といろいろと違っている。イディナ版はミュージカルナンバーということで、宮殿を建てるシーンに合わせてお話を進めていかなければならない都合からサビの繰り返しとかも最小限になっている。対してデミ版はポップスとして独立したつくりで、オリジナルのエッセンスを凝縮したサビのフレーズが繰り返される。イディナ版を一応オリジナル、とすると、オリジナルはアニメの映像と不可分で曲を聴けば映像がたちまち浮かんでくるのに対し、デミ版は曲がメインで、モンタージュされたアニメの映像が繰り返し浮かんでくる感じ。歌詞も魔法に関連した表現が消え、もっと一般的な表現になっている。オリジナルの2番も歌詞の前半部分、映画のシーンで言うと、エルサが氷の橋を作りに駆け出して行く前まで同じで、そこから先はほぼカットされたような内容で、歌詞だけ読むとかなり暗い。でもデミ・ロバートの歌で聞くとえらくポジティブな印象になるところがすごい。

日本語版の歌詞はかなりニュアンスが変わっている印象で、すっかり日本の歌謡曲になっている。歌詞を比べるとずいぶん思い切った意訳なんだが、映像に合わせるとなんの違和感もなくぴったり合うのはすごい。

少し訳文を比べてみる。まずタイトルで、かつ歌の中でもサビでなんども繰り返されるキーワードである「Let it go」。辞書を引くと、意味は「忘れる」とか「諦める」とか書いてある。「もうその件は忘れて」とか、そんな感じで使う言葉らしい。字幕の訳では「もういいの、かまわない」。でも日本語版は「ありのままで」だ。それは「Let it be」だと思うんだが、まあこれまで隠してきた秘密がバレてしまったことに対して「これで構わない」と言ってるので、意味内容としてはそう違いはない。

Let it go, let it go

Can't hold it back any more

Let it go, let it go

Turn away and slam the door

ありのままの姿見せるのよ

ありのままの自分になるの

となっている。原文は、もう忘れよう、これまでのことは全部捨てよう、と自分に言い聞かせている感じがあるけれど、日本語の方はもっと前を見ている感じ。

氷の橋を駆け上がって、いよいよ氷の宮殿を立ち上げようとする直前、曲が盛り上がる聞かせどころ

Let it go, let it go

You'll never see me cry

Here I stand and here I'll stay

Let the storm rage on

字幕だと

これでいいの かまわない

二度と涙は流さない

自分の道を行く ここは私の王国

嵐よ吹き荒れるがいい

これは名訳だと思う。力強く踏みしめた足から広がる氷の魔法陣にかぶさって「Here I stand and here I'll stay」と歌うとこrは屈指の名場面だと思うのだけれど、この絵にはまる訳文はなかなか出せない。ここが日本語版だと

ありのままで飛び出してみるの

二度と涙は流さないわ

となっている。原文の直前のフレーズ「I am one with the wind and sky」を引っ張って、Here I stand 以下は訳出されていない。決意の表明として、充分意味は通じるんですよね。ただここは曲全体の中心となるキメのキーワードだと思うので、消えてしまっているのが悲しい。原詞では、前半ずっと過去への未練を断ち切ろうとして引っ張ってきたものが、ここでここが自分の居場所だと宣言して自己肯定を歌い上げるキーワードになっている。デミ版だとサビのフレーズとして何度も繰り返されているが、やはり曲全体をポジティブにするためのキーワードだからだろう。日本語版は自己否定から自己肯定に向かうダイナミズムがないので、転換点となるキーワードもいらないのだろう。

映画本編の感想id:herecy8:20140315

2014-03-15 (土)

[]アナと雪の女王

予告編で見た「Let It Go」のミュージカルシーンが素晴らしくて、封切り日に本編を見に行った。イディナ・メンゼルが熱唱する名曲と、ミュージカルアニメの王者ディズニーが総力を挙げて作り上げた画像の見事なコラボレーションで、この凝縮された4分間に100分の本編に匹敵するドラマがある。youtubeで繰り返し見て、魔力を持つエルサの孤独とか抑圧とか、自分を疎外した社会への未練とか抑圧からの解放の喜びとか、まあそういったものにたっぷり思い入れして、見に行った。そしてびっくりした。こういう映画とは思わなかった。……一応ネタバレなので空行はさみます。



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