ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」

日本で居場所をなくした少女が、魔法使いに買われてイギリスで魔法使いになるマンガ。日常の風景と地続きでケルト風伝承の異世界が重なる。恐ろしかったり、優しかったり、可愛かったりする、人間とは異質ななにかと、親交したり争ったり助けあったりするラブコメ風味の妖精譚。イギリスの風土が感じられる雰囲気の出し方が心地よい。人間はあんまり出てこない。ちなみに、主人公を買った魔法使いは、頭がヤギの骸骨。
同種のマンガは、日本を舞台にしたものなら、それこそ水木しげるを筆頭に、今市子百鬼夜行抄」とか、波津彬子なら「雨柳堂夢咄」をはじめとして色々あるし、緑川ゆき夏目友人帳」とか、石塚千尋ふらいんぐうぃっち」とか、篠原友紀「蟲師」とかいくらでも思いついて、きりがない。でも、イギリスとなると、そうそう思いつかない。バンパイヤ、とかなら「ポーの一族」から「ヘルシング」まで色々あるけど、そういうのとは違うし。波津彬子とか坂田靖子はイギリスものも書いてるけど、ゴーストストーリーで、またちょっと違うし。
特装版 魔法使いの嫁 6 (BLADE COMICS SP)
特装版の方は、オリジナルアニメがついてる。話途中で終わってるけど。
魔法使いの嫁 コミック 1-5巻セット
フラウ・ファウスト(3) (KCx)

フラウ・ファウスト(3) (KCx)

同作者が並行して書いてる「フラウ・ファウスト」は、大きなくくりでは同じくファンタジーだけど、趣向はガラリと違う。一応元ネタは「ファウスト」だけど、ファウスト博士を女性にしちゃった。で、ファウスト嬢が、バラバラにされた悪魔メフィストフェレスのからだを復元するために、教会と戦う、という中世ドイツが舞台のオカルトアクション。「魔法使いの嫁」が伝承と妖精譚なら、こちらは悪魔と錬金術。全然違う話なんだけど、読んでて感じるのは、ヤマザキコレのマンガは寒いヨーロッパが似合うなあと。地中海より北海。
フラウ・ファウスト(1) (ITANコミックス)
フラウ・ファウスト(2) (ITANコミックス)