3月のライオン

1週あけて、ニャー将棋の続きから。原作でも1話使った将棋解説は異色回だったけど、さすがにアニメで一回にまとめるとほとんど将棋解説回で本編がちょっぴり入るとか中途半端になっちゃうから、前半後半に分けて、一回の放送時間の中で偏らないように配分したってことかしら。でも、間に1週休み入ったら将棋のルール初めて聞いたって人は前半の解説とか忘れちゃうんじゃ。だから、録画して繰り返し見ろと二階堂が力説してるのか。
八回目で原作コミック2巻17話まで。原作準拠な「ドリフターズ」が九回目で原作コミック3巻の32話の半分までいってるのに比べると、消化スピードが倍くらい違う。「ドリフターズ」とか、アクションマンガでは一連の動作を細かくコマに割って、畳み掛けるテンポを出してって、アニメ化するとカットがまとめられてスピーディな描写になるから、どうしても消化率が上がるんだろう。それに対して、「3月のライオン」は1コマの中に時間を凝縮してる、あるいは重層化させてて、アニメ化でそれを全部解きほぐしてリニアな時間軸で並べてるから、コマあたりの時間はえらく長くなる。それもコマの片隅のくすぐりとかギャグまで解きほぐしてたりもするから、ここまで丁寧なアニメ化はちょっと見たことないレベル。
今回は、零の義理の姉である香子が、回想シーン以外での初登場となる。正確には師匠の娘、なのかな。「養子でもないのに」ってセリフあったけど、そのあと正式な養子縁組したのかしら。閑話休題。その香子が、深夜突然零のマンションを訪ねてくる。零と香子の関係はえらく複雑で、描かれた具体的なエピソードは、回想シーンでは目障りな弟にムキになって突っかかってくる意地悪な姉ちゃんだし、強引にマンションに上がり込んできては順位戦前の零をあからさまに動揺させるようなことを言うヤな女だ。
零が香子を表現する言葉は「嵐のような美しさ」であり、激しい嵐をもたらす前の「遠雷の輝き」だ。雷雨の只中で迸る稲妻ではない。青空の中で光る儚げな輝きへの、危険な憧れを思わせる。一見、零は香子の迫害から逃げようとして家を出たようにも見えるが、香子に惹かれていく自分が怖くて逃げ出したのではないかとも思わせる。香子が、暴力的な後藤に殴られたら刺してやると言うとき、零はそれが彼女の最大級の愛情表現であることを理解している。そんな歪んだ感情を「理解」しちゃったら、そりゃそーとーヤバいっしょ。香子も、零の羽布団に包まって「アンタの匂いがしない」とか爛れたこと言うし。NHKで流していいの、ってくらい刺激的なセリフだよね。原作ではあかり姉ちゃんが気づくのが38話とかだったから、アニメになるとしたら来年3月以降かな。