三島由紀夫「夏子の冒険」

夏子の冒険 (角川文庫)

夏子の冒険 (角川文庫)

退屈な男たちに愛想を尽かして修道院に入る、と言い出した夏子が、猟銃を担いだ青年に一目惚れして、北海道で一緒に熊狩りする話。夏子はいいとこのお嬢さんなんだけど、えらくアグレッシブで周り中が振り回されます。夏子の母親と祖母と伯母が、浮世離れした三婆で、夏子を心配して騒ぎを大きくします。
情熱の輝きは、満ち足りた幸福とは両立しない、というような話で、サガンとか書きそうな小説なんだけど、三島由紀夫がサービスしてラノベにしましたという感じ。軽快な文体で、語彙が昭和風なのも面白い。1951年のラブコメですね。映画にもなったらしいです。
「美しい星」が映画化されて、三島由紀夫がちょっとしたブームっぽいけれど、三島の大衆小説だったら、斜に構えたようなのより、こういうのの方が面白いと思う。
羊をめぐる冒険」がこれのパロディだ、ってのがなんか定番らしいけど、どうなんだろ。
ブラームスはお好き (新潮文庫)

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