ねこまくら

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2017-09-30 (土)

[]スティーヴン・キング「ダークタワーII 運命の三人」

スティーヴン・キングのライフワークとも称されるダークタワー・シリーズの第2部。第1部を後回しにして本書から読んでも全然大丈夫。最初に親切なあらすじもついてるし。第1部はまるまるプロローグで、ダークタワーが面白くなるのってこっからだし。第2部は主人公ローランドが、現代のニューヨークから旅の仲間を異世界に引っ張り込む話です。

異世界の浜辺に不思議なドアが立っていて、それを開けるとそこには20世紀ニューヨークの、特定の人間の見ている光景が広がっています。ドアは3枚、それぞれ別の人間の視野と繋がっています。ドアを通り抜けると、その人間の頭の中に入っていくことになります。本書では異世界と現代世界を行ったり来たりするわけですが、現代アメリカ人が異世界で冒険したりなんかするのは次巻以降で、とりあえず異世界人のローランドが現代世界に来て、色々びっくりしたりお買い物したり、撃ち合いしたりします。

ちなみに本書は2005年の新潮文庫版を加筆修正したものだそうです。

2017-09-29 (金)

[]メイドインアビス #13 挑む者たち

最終回は1時間スペシャル。

黎明卿ボンドルドの恐るべき実験によって「成れ果て」となったナナチとミーティの事情が語られる。

アビスの呪いを二重に受けたミーティは人間性を喪失したのみならず、死ねない体になっていた。ミーティを殺せるのはレグの火葬砲だけ。囚われたミーティの魂を解放する最後のチャンスなんだ、と言うナナチに、レグはナナチがあとを追って自ら死を選ばないことを条件にして、了承した。

重たくて切ない前半が終わると、後半はほのぼのエピローグ。レグも料理は得意ではなかった。ナナチは自分の作ったものよりマズイ焼肉を食べて嬉しそう。レグは触り方がいやらしい。レグのちんちんは度し難い。横で照れてるナナチがいるおかげで、リコとレグのやりとりの甘酸っぱさが際立つ。

とにかく原作を丁寧にアニメ化し、オースの街並みもアビスの神秘的な風景も精密な美術で表現してくれた。屈指の傑作マンガである原作に負けないアニメだった。

2017-09-28 (木)

[]ビットコイン・ウォレットのCopayがビットコイン・キャッシュに対応した。

Copayってビットコイン・ウォレットのスマホアプリで、わりとと定番の一つだと思ってたんだけど、ビットコインキャッシュ(BCH/BCC)にずっと対応しなくって、どうしたもんかと思ってたら、対応版が出てた。AppStoreからバージョンアップできます。

デフォルトだと認識しないんで、設定でbitcoin cashをenableにして、bitcoin cash用のウォレットを作成する必要があります。フォーク以前のビットコインの残高があったなら、スキャンして同額のbitcoin cashの残高がウォレットに出てきます。

ここまでは説明とか見なくても、だいたいいじっててわかったんだけれど、ウォレットからbitcoin cashを送金するやり方がわからない。bitcoinしか送金できないんですよね。

結論から言うと、送金先のアドレスをbitcoin cash用に変換しないといけない。bitcoinとbitcoin cashの送金間違いを防ぐために、bitcoin cashはbitcoin cash用のアドレスにしか送金できないようになってる。

その辺のことはここsupport.bitpay.comに書いてあった。変換ツールはhttps://bitpay.github.io/address-translator/

ツールで変換したアドレスで送金先を登録すると、無事送金できました。なんか確定までめっちゃ時間かかるけど。

とりあえず自分はできたけど、環境や設定やらの違いがどう影響するのかとかは全然わからないので、リンク先の記事を確認することを強くお勧めします。残高消えた、とか言われても知らんし。検索しても日本語の情報が見当たらなかったので、とりあえず記事書いてみたけれど。しかし開発チームのブログを探さないとわからん、と言うのは困ったもんだと思う。

2017-09-27 (水)

[]民進 希望に事実上合流

民進党前原誠司代表は27日、小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」への事実上の合流を党内で提案した。次期衆院選では民進党から公認候補を出さず、希望の公認候補として擁立する。参院議員の扱いは選挙後に決める。10月10日公示―22日投開票の衆院選で野党候補を一本化し、与党に対抗する。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H59_X20C17A9MM8000/?dg=1&nf=1:title=日経新聞2017_9_27

なにそれ、意味がわからん。全員離党して小池百合子に縋るってこと?

「解散の大義」とか大仰な言葉を振りかざしといて、このなりふり構わなさってどうなのよ。苟も国政に関わる人間として最低限の矜持は持っていてもらいたい。少なくとも「恥」ってもんは知っておいてほしい。

2017-09-26 (火)

[]倉多江美「静粛に、天才只今勉強中!」

静粛に、天才只今勉強中! 8 新装版

静粛に、天才只今勉強中! 8 新装版

全8巻完結。ナポレオンがモスクワ遠征に失敗して配送してくるとこまで。え、ここで終わるの、という感じで終わってます。

この後ナポレオン帝国は崩壊するわけだけれど、ジョゼフ・フーシェ王政復古でも警察大臣となり、王党派に追われて失脚したのちオーストリアに亡命、平和な晩年を送ったとか。マンガのコティ氏がどうするのかはわからないけれど、ナポレオン政権を見限って距離を置いているように見える。風見鶏の面目躍如というところか。

フーシェ再評価のきっかけとなったツヴァイクの評伝。

id:herecy8:20170905

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 1

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 1

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 2

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 3

静粛に、天才只今勉強中 4 新装版

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 5

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 6

静粛に、天才只今勉強中 7 新装版

2017-09-25 (月)

[]蛇蔵「決してマネしないでください」

日本人の知らない日本語」でスマッシュヒットを出した蛇蔵の、理系ネタマンガ。科学史ネタ、実験ネタ、理系恋愛ギャグと盛り沢山にネタをぶち込んでる。例えば3巻の最初の話は、フェルマーの最終定理の証明の話と、身近な材料で指紋を採取する方法と、ロマコメの三題噺。その三者にどんな関係が、と言われると実は全然関係ないんですが、とにかくネタ密度が高い。有名物理学者の面白エピソードが色々紹介されてたり、理化学研の加速器取材してたりとか、重力や量子力学とかも大胆にまとめて直感的にわかりやすく説明してたり、なかなか内容も濃い。

恋を告白する論文のタイトルが「ニューラルネットワークによる非線形システムの同定に関する研究」とか、なかなか「らしい」でしょ。

マネできる実験レシピとか、科学者同士のコントとか、色々おまけもついてる。

一応3巻で完結みたい。

決してマネしないでください。(1) (モーニング KC)

決してマネしないでください。(1) (モーニング KC)

決してマネしないでください。(2) (モーニング KC)

決してマネしないでください。(2) (モーニング KC)

2017-09-24 (日)

[]プリンセスプリンシパル #12 case24 Fall of the Wall

2クール構成のフリして1クール完結、これ流行るかな。穴埋めを映像特典につけて円盤売れるし。

戦勝祈願式で女王を始め政権中枢を一挙に暗殺する革命軍の計画をプリンシパルチームが見事阻止して終わり。

トンネル内での装甲列車相手のカーチェイスから、ちせ参戦しての大乱戦と、アクションが派手でカッコよかった。堀川公は、てっきり革命軍の計画と共和国の介入を察知してちせを連れ込んだのかと思ったけど、そういうわけじゃなかったのね。

で、あれだけ派手に暴れた後で、まだ王国内でスパイ続けるわけ?実際ノルマンディー公は証拠つかんだみたいだし。少なくとも革命軍兵士と一緒に行動してるとこを見られてるプリンセスは、疑われもしないなんてありえないだろうし、いつも一緒にいる取り巻きも同様だろう。つーか、みんなでカサブランカなんか遊びに行っちゃって。もう公然の秘密ってやつ?ところでモロッコってフランス領だったが、この世界ではどうなってんだろ。

しかし、女王臨席の式典であれだけの騒ぎが起きちゃって、立場変わんないってノル公どんだけ有力者なんだ。宸襟を騒がすどころじゃないだろう。

とりあえず女王の真上の部屋で異常があれば、式典は即刻中止で避難だよなあ、普通。なんか警備がザルだと思った。ドロシーたちの車を全力で阻止してるのはいいけど、そんな派手な侵入者は陽動を疑うもんじゃないのか。なんか、革命軍の暗殺計画とか全く気がついてなかったのか?

ところで革命軍の方は、ゼルダをなんだと思ってたんだろう。共和国の人間だってのはわかってたのかね。ゼルダとかプリンセスとか、なんも考えずに信じてる感じで、こんなナイーブな組織がよく摘発されずにここまで計画準備できたもんだ。ノルマンディー公の迂闊さといい勝負なんじゃないか。

あとコントロールって、ドロシーとかも出入りしてたから、あれ王国内部なんだよね?共和国軍の実力者とかどうやって来たの?なんでわざわざ来たの?Lもなんか結構情報部内の大物っぽいけど、そもそもなんで敵国内で会議やるのかなあ。で、チェンジリング作戦とかどうすんのよ。

なんかもうグダグダ。

2017-09-23 (土)

[]メイドインアビス #12 呪いの正体

アビスの呪いの正体は、アビス内に充満する力場。ごく薄い布のように人にまとわりつき、その動きや、意思の流れにも反応してたわむ。タマウガチは、相手の周囲の力場の流れを読んで相手の次の行動を予測するのだ。そして、人が力場を下から上に突き抜けると、呪いの症状が出る。

ナナチはレグに力場の流れを前提にした戦いを、経験させる。レグはナナチの指示に従って、見事タマウガチを撃退するが、その時見せた火葬砲の威力が、ナナチにある決断をさせることになる。

ナナチはレグに、ミーティを殺しれくれと頼む。

アバンは久々のオースの街。「誕生日に死ぬ」謎の病でキユイが死にかけるけど、街から離れたらケロリと治ったというエピソード。原作でもまだ謎のまま回収されてないし、投げっぱなしになっちゃうけど、いいのか。アビスの力場の影響がなんか外に溢れ出してる感じではあるけど。

ナナチ特製奈落シチューは粘り気のある泥。度し難い調理法も見せてくれた。

火葬砲に呆然とするナナチのカットとか、リコとミーティの絡みのシーンとか、うまく挟んで自然な伏線になってた。

毎回濃密な30分です。

2017-09-22 (金)

[]ひぐちアサおおきく振りかぶって

おおきく振りかぶって(28) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(28) (アフタヌーンKC)

ビビりなエースと、配給マニアの黒いキャッチャーのコンビで勝ち抜く高校野球マンガ。いかにも体育会系男子高校生、な感じがリアル。前巻は2016年7月発売だから、1年ぶり以上だ。

28巻はメンタルトレーニングの話を詳しくやって、市大会決勝リーグ第1回戦が始まったとこまで。試合終わるまでに何年かかるんだろう。

試合中は、1球投げるのでもバッテリー間のやりとりがあって、対する打者の思惑があって、下手すると攻守双方のベンチや監督の思惑も語られて、それぞれ予想が当たったり外れたり、やりたいことがうまくハマったりいかなかったりという勝負の妙が描写されるから、見所がいちいちわかりやすくて盛り上がるんだけど、そのぶん話はドンドン長くなる。

試合のない時は練習のエピソードが入るんだけど、それもまた詳しく具体的で、最近の他のスポーツマンガってあまり知らないからかもしれないけど、しっかりページとって練習場面の細かいリアリティ意識してるのってなかなか無いんじゃないだろうか。

この巻でも、心理テストの結果のグラフとかチーム全員一人ずつ、しっかり作り込んでるし。漫画家だったらこのくらいキャラに入り込めるもんなのか。

2017-09-21 (木)

[]ナナマルサンバツ #12 A.そこにクイズがあるから!

すごいとこで終わったなあ。

原作だとここから真理ちゃんの見せ場も御来屋くんの見せ場もあるし笹島部長と開場大蔵の対決もあるし、と盛り上がるんだけど、潔く主人公が負けた時点でスパッと切ってコミックス1冊分くらい省略してしまった。まあ下手に詰め込むよりしっかりクイズ場面とかに尺使って、それでちゃんと話として完結させるとこまで持ってったんだからすごいわ。

クイズそのものの面白さはアニメ向きだし、クイズを競技にすることで出てくる戦術やらチームプレイなどの妙味をうまく紹介して、それだけで面白い。こういうとこは百人一首を扱った「ちはやふる」と共通してる。原作だとこの後クイ研で百人一首をやる話もあるし、「ちはやふる」にもクイ研の高校生のチームと戦う話があるし、実際近い部分はあるみたい。

ただストーリーは部活ものの王道展開そのままだし、キャラも類型の枠を出てないように思う。笹島部長が、クールキャラと世話焼きキャラをかけもちせざるを得ないのは、なんか居心地が悪いような。

2017-09-20 (水)

[]「眩(くらら)〜北斎の娘」

朝井まかて「眩」(くらら)のドラマ化。この世はみな円と線でできている、と言う北斎。この世はみな色の濃淡でできている、と言うお栄。

原作小説のエピソードを大胆に捨象し、二人の天才の「絵」に焦点を当てた良い脚本だった。ドラマを見た後原作を読むとより楽しめると思う。

吉原のシーンが、独特の深みのある色合いで、安い液晶で見てるのにまるで4Kで見てるみたいですごかった。

滝沢馬琴野田秀樹が演じてた。野田秀樹は何演っても野田秀樹になっちゃうんだけど、こういう強烈な、偏屈で食えない爺さんはハマるね。うまい使い方だ。

http://www.nhk.or.jp/dsp/kurara/

id:herecy8:20160924

眩

2017-09-19 (火)

[]蝸牛くもゴブリンスレイヤー

ゴブリン退治専門の冒険者の物語、6巻目は鼻息の荒い新人魔術師が加わったパーティーでゴブリン討伐の強行軍に出かけたり、新たに建設された冒険者の訓練所を襲撃したゴブリンを退治したり、女神官さんが新米冒険者を率いてゴブリン襲撃から逃れたり、とりあえずゴブリンと戦ったりしている。いつも通り、というかいつもより多めかもしれない。1年経った女神官さんの成長がテーマ。4巻で登場した新米戦士と見習い聖女が再登場するのも嬉しい。

蝸牛くもは駆け出しの冒険者が遮二無二頑張ったり失敗したりするエピソードが上手いので、楽しく読める。

id:herecy8:20160929id:herecy8:20170204id:herecy8:20170601

ゴブリンスレイヤー (GA文庫)

ゴブリンスレイヤー2 (GA文庫)

ゴブリンスレイヤー3 (GA文庫)

ゴブリンスレイヤー4 (GA文庫)

ゴブリンスレイヤー5 (GA文庫)

2017-09-18 (月)

[]プリンセスプリンシパル #11 case 23 Humble Double

コントロールのトップがLからジェネラルに変わって、プリンセス暗殺指令が下される。ドロシーが外され、またちせも堀川公に呼び戻される一方、プリンセスの護衛には新たにゼルダがコントロールから派遣される。監視網が強化され、アンジェは任務遂行を急かされる。

アンジェとプリンセスは外出中に入れ替わって追跡をまくと、飛行船に逃げ込んだ。アンジェがかねてから準備していた逃走手段であったが、プリンセスは亡命を拒否、アンジェを船倉に閉じ込める。

一方、ゼルダの元にはクーデターを企図する部隊が集結していた。そこに現れたプリンセスはアンジェであると名乗り、暗殺が成功したことを告げる。

流れからいうと、「アンジェがすり替わってる」フリをしてるプリンセス、ってことだけど。プリンセスはアンジェの声出せたのか。ベアトが出てこないが、いずれにしろベアトは騙せないだろう。まあ最初に入れ替わった時も革命のどさくさだったし、どさくさに紛れるのがプリンセスの身上なのかもしれないが。

共和国軍部が、王国内のクーデターを扇動してて、情報部とは路線対立があるのかな。急に話が動いて、ラスト前の盛り上がりっぽくなってきた。未放映回は特典映像扱いかな。1クールの放送で2クール分の円盤が売れる。

2017-09-17 (日)

[]宮内悠介「盤上の夜」

盤上の夜 (創元SF文庫)

盤上の夜 (創元SF文庫)

連作短編集。表題作は第1回創元SF<短編賞応募作で山田正紀賞を受賞、本書で第33回SF大賞を受賞し、直木賞候補となっています。

四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった若き天才女流棋士の栄光、という揚句からサイバーパンクな小説を想像していたけれど、そういうのではなかった。「ここでゲームが終わり、人生が始まる」あるいは「人生が終わり、ゲームが始まる」というような、現実とゲームがギリギリせめぎ合う境界のような場所に迫ってい小説でした。ちなみに英題として載ってる"DARK BYOND THE WEIQI"の"WEIQI"は囲碁のことで、中国語の囲碁の発音を英語表記したもののようです。

本書は、ブッダの息子ラーフラの苦悩を描く第4作を除き、囲碁や将棋、麻雀など卓上遊戯のプロにインタビューするジャーナリストの視点で描かれています。異様な才能を発揮し、ゲームの枠に収まりきらなかった異能の天才の足跡をたどる形式で、巻末の解説で冲方丁が作者の卓抜な発明であると賞賛しています。確かにインタビューや証言から過去を再現していくルポルタージュの形式をとることで、エピソードが要約されて抽象と具象の鬩ぎ合いのテーマがくっきり浮かび上がる仕掛けになっています。

第1作の「盤上の夜」は、作者がインタビューで「春琴抄」を意識したと述べているが、確かに現代版春琴抄と言われるとしっくりくる。認識論的なSFで、ジャンルにこだわらない小説となっている。

第2作の「人間の王」はチェッカーの腐敗の王者マリオン・ティンズリー?が題材となっている。ティンズリーは実在の人物で、検索すれば伝説級のエピソードが出てくる。そのティンズリーが人間の王として人工知能プログラム、シヌークと対戦し、土をつけられる。「シヌーク」はのちにチェッカーの完全解を発見する、すなわちチェッカーというゲームを殺すことになる。しかしこれは機械が人間に勝つかという話ではない。むしろゲームは殺せるのか、ゲームとは何か、という課題に切り込んでいる。

第3作「清められた卓」で雀士の思い切り泥臭い勝負に話を振った後、第4作「象を飛ばした王子」の哲学問答が来る。

第5作「千年の虚空」は将棋である。「ゲームを殺すゲーム」「量子歴史学」などの魅力的なガジェットが惜しげも無く投入され、破滅的な愛の物語が語られる。

そして第6作「原爆の局」は再び囲碁である。タイトルとなっているのは、1945年8月6日に広島郊外で打たれた本因坊戦棋譜のことである。第1作の続きの形をとり、ゲームと現実、具象と抽象が鬩ぎ合うギリギリの均衡点にたどり着く。

2017-09-16 (土)

[]メイドインアビス #11 ナナチ

レグはちょろい。

お待たせしました、たっぷりナナチ回。「んなぁ」って、低めのトーンがイメージ通り。

やっぱりレグの素材集めシーンは尺を取って丁寧に描いていて、深界4層もカラーで色々と見せてくれる。アニメにした甲斐があったというものだなあ。ナナチのアジトのある一面緑の空間とか、メチャメチャきれい。

でも、これだと5層どころか花畑までもたどり着けなそう。オープニングで出てたから、てっきり5層の祭祀場が見えてくるとこまでいくのかと思ってたんだけれども。13話の1時間スペシャルって、ミーティの話だよなあ。リコの出番はあるのか。ここまで汚れ役なヒロインも珍しいんだが、このまま終わったらションベンくさいままだぞ。

2017-09-15 (金)

[]みなもと太郎「マンガの歴史」

岩崎調べる学習新書 (1) マンガの歴史 1

岩崎調べる学習新書 (1) マンガの歴史 1

小学生高学年から対象にした岩崎調べる学習新書から出ています。戦後マンガ史を徳者として、作者として、研究者として体験してるみなもと太郎が書いた日本マンガの体系的な歴史です。江戸時代や明治大正はともかく、対象年代のほとんどを氏はリアルタイムで経験してるんですよね。氏は戦後の生まれだけれど、昭和30年代だと戦中、戦前の雰囲気というのはなんとなく残っていたわけだし。

最初にまず円山応挙が紹介されるところで、おおっと興味を惹かれます。「W3」事件が歴史的大事件として扱われてるのも、なんか新鮮です。

人物主体のマンガ史で読み物としても面白いし、マンガ全体の状況に満遍なく目配りをした上で「現在」の視点から体系的に整理されているので、わかりやすくまとまっています。事件や作品の羅列というのではなく、マンガ表現の歴史となっていて、日本マンガ史の基本文献になるんじゃないですか。

1巻は1960年代半ばくらいまでを扱っています。目次を紹介すると、こんな感じ。

  1. 終戦まで
  2. 手塚治虫と「新宝島
  3. 貸本マンガと「漫画少年
  4. トキワ荘
  5. 劇画の誕生
  6. 少女マンガと水野英子
  7. 週刊少年マンガ誌の登場
  8. 「W3」事件と「巨人の星

2017-09-14 (木)

[]石塚千尋ふらいんぐうぃっち

もつ焼きパーティしたり、寝坊して夏に雪が積もったり、地方都市の魔女ライフを堪能してます。街が無限増殖したりとか、けっこう大掛かりな魔法も出てきます。

真琴の高校の先輩魔女も出てきます。新キャラです。なんだか目つきの鋭い、厳しそうな人ですが、まあこのマンガ的に、キツイ人は出てきませんから。とはいえ真琴も、夏の運び屋さんにごまかされずに鋭いツッコミしてますよね。

気がついたらけっこう絵が変わってますね。だんだん顔が縦に伸びてるような。

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ふらいんぐうぃっち(2) (週刊少年マガジンコミックス)

ふらいんぐうぃっち(3) (週刊少年マガジンコミックス)

ふらいんぐうぃっち(4) (週刊少年マガジンコミックス)

ふらいんぐうぃっち(5) (週刊少年マガジンコミックス)

2017-09-13 (水)

[]二ノ宮知子「七つ屋 志のぶの宝石匣」

七つ屋志のぶの宝石匣(5) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(5) (KC KISS)

質屋に持ち込んでくる客のドラマに絡んでいくエピソードが二つと、イケメン鑑定士北上顕定がブラックダイアを介してモデル同士の諍いに巻き込まれるエピソード。志のぶはずっと脇役だなあ。やはり主人公が活躍してくれないと。

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七つ屋志のぶの宝石匣(1) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(2) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(3) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(4) (KC KISS)

2017-09-12 (火)

[]朝倉かすみ「乙女の家」

乙女の家 (新潮文庫)

乙女の家 (新潮文庫)

若竹若菜は17歳の女子高生。シングルマザーで娘を育て、75歳で結婚した曽祖母、族のヘッドの子を16歳で産み、やはりシングルマザーで育てた祖母、そして今別居中の母親、クセの強すぎる家族に囲まれていたって没個性的な若菜は、なにか自分も「キャラ」を立ててみたいと思う。そこで文学少女キャラを徹底してる高橋さんと友達になってみたりする。

うっかりした生涯を送ってきました。

という「人間失格」パロで始まる正統派青春小説。軽い読みやすい文章だけど、ラノベじゃあない。全編姦しいガールズトークで溢れてる感じ。「茶々が成長して批評になってる」から「淀君」とか、言い回しが楽しい。

2017-09-11 (月)

[](ネタバレ)宿野かほる「ルビンの壺が割れた」

ルビンの壺が割れた

ルビンの壺が割れた

「この小説、凄すぎてコピーが書けません」「ネタバレ厳禁」と大書した帯が巻かれた本が、本屋の店頭に並べられていたので、つい気になって買ってみた。薄くてすぐ読めそうだったし。読んだ後で検索してみたら、新潮社が、期間限定で全文無料公開して宣伝コピーを募集するというキャンペーンを7月の中頃にやってたらしい。その応募作と思われる、具体的には何も言わずに煽りまくるようなコピーがカバーの裏側とかにいっぱい並んでる。

ちなみに、「ルビンの壺」というのは、壺とかカップのシルエットにも見えるし、向き合った二人の横顔のようにも見える、有名な絵のこと。

読んでみた感想は、まあ悪くはないけど、張り切って人に勧めるというほどでもない、という感じ。ちょっとカトリーヌ・アルレーを思い出すかな。アルレーのお湯割、というかウーロン茶割りくらい。以下の感想は内容にも触れるので、一応表題にはネタバレ表記をしておいた。

この小説は書簡小説で、水谷一馬と未帆子の二人の、メールのやり取りがずっと続く。叙述トリックのようなものを期待して、幾分注意深く読んでいたけれど、これはそういった類のミステリではない。二人は恋人同士だったけれど、結婚式の当日に花嫁が行方不明になった、という謎がまず提示され、隠れていた秘密が顕れてきて、最後に花嫁出奔の意外な真相が暴露される、という話ではあるが、読者をミスリードして恋愛小説を装いつつ、実はサイコサスペンスだったんですとネタを明かすというような小説。女の子のヌードかな、と思わせておいて、周りに色々と書き込んで行ってサルの顔とか、全然別のイラストに仕上げるという芸が、youtubeとかにあったりするけど*1、アレの小説版という感じ。そういう印象の変化を「ルビンの壺」で喩えているのだと思うけれど、もしかしたらもう一つ、別の見方があるのかもしれない。この小説自体を、一馬の物語として読むか、未帆子の物語として読むか、で全体像が変わってしまうという、「ルビンの壺」的な見方だ。

まあ、facebookの写真をダウンロードして拡大したり、プリントアウトして部屋に飾ったり、一馬は最初からヘンだった。二人の思い出が小出しに少しずつ語られて来ると、そっちに気が向いちゃって忘れちゃうけれど。

ただ、小説は水谷一馬の秘密を暴いて終わるわけだが、語られなかった謎もある。矢代はなぜ破格の申し出をしたのか、宮脇はなぜ金を持ち逃げしたのか、そして未帆子は本当に天才女優だったのか。

水谷一馬と未帆子は大学の演劇部で、部長で脚本家で監督と、女優の関係だったわけだが、自分たちで劇団を旗揚げしようとした時に矢代氏が破格の条件で資金提供を申し出る。その金を横領して逃げたのが、演出補佐でずっと一馬をアシストしていた宮脇であった。

未帆子は実は娼婦でもあって、矢代も宮脇も客だった、ということが終わり近くで語られている。矢代は、劇団ではなく未帆子に金を出していたと思われるが、宮脇についてはよくわからない。未帆子が自分のものにならないことを逆恨みしたのかもしれないし、未帆子に何か唆されたのかもしれない。一馬は宮脇を忠実な部下だと思っていたようだが、宮脇は一馬を恨んでいたのかもしれない。逆に、宮脇は一馬を恋慕していて、矢代を排除しようとしたのかもしれない。一馬と宮脇の関係については、一馬の一方的な描写のみなのでよくわからないが、一馬から語られる宮脇の献身的な様子は、どこか歪んだ関係を思わせる。

未帆子の天才的な演技で演劇部の公演は大成功し、それが劇団の旗揚げにつながったということだが、そもそもそれはどこまで本当の話なんだろうか。演劇が好きで高校大学と演劇部に所属し、傑出した演技力があったのなら女優を目指していても不思議はないが、そうした形跡はない。結婚式直前に逃げ出して、隠れている必要はあったろうが、一馬が逮捕された後も隠れ住んでいたということでもないように思われる。生活に追われて諦めたのかもしれず、何も書かれてない以上なんとも言えない。ただ、彼女はその演技力を、演劇の中でよりも、現実社会の中で発揮することにより喜びを見出したのかもしれない。

(劇で演じた)蓉子は奔放な恋多き女です。

(中略)

実際にあの頃はよく男性とデートをしました。

別にその男性たちが好きだったわけではありません。蓉子になりきって、蓉子の目で男の人を見て、蓉子の口で喋っていたのです。

矢代も宮脇も、そして一馬も、男たちは皆未帆子に操られていたのかもしれない。この小説は変態の犯罪者の物語として終わっているが、実は魔性の女の物語でもある。一馬の物語として読むと影に隠れてしまう未帆子の魔性が、視点を変えるとくっきり浮かび上がってくる。「ルビンの壺」のようにガラリと印象が変わる、というほどではないのが弱いところではあるけれど。

2017-09-10 (日)

[]プリンセスプリンシパル #10 case22 Comfort Comrade

case22です、ずいぶん飛んだなあ。22話って、エヴァだとアスカが壊れちゃう話だったよな、とかふと思ったり。

アンジュとドロシーが、スパイの養成所で二人と同期だった「委員長」と組んでの任務の話。3人の養成所時代の思い出とか、苦い結末とか、そういうの。

任務の終わったスパイ余人が一緒に居酒屋で打ち上げしてるとか、どういうこと。なんか委員長が二重スパイだった、とかみたいだけど、その場合逃げなきゃなんないのはドロシー達の方では。委員長の方は別に機密を盗み出す任務を妨害したわけでもないし、ドロシー達の正体をバラしたわけでもないし、何をしてどこに逃げるつもりだったんだ。

最後に、プリンセス暗殺指令とか出て、次週に引いてるけど、来週そのまま続きをやるわけじゃないよねえ。このままラストまでいって、2クールのフリして実は1クールでした、とかだったらびっくりするけど。

2017-09-09 (土)

[]香月美夜本好きの下剋上

いよいよ第3部「領主の養女」完結編。表紙もローゼマインと抱き合う、初登場のシャルロッテが大きく描かれ、バックはイラスト初登場のボニファティウスお祖父様にアンゲリカ、となっていて、これまでにない緊迫した構図を目を引く。予約特典SSはコルネリウスの話で、ランプレヒト、ヴィルフリートと男兄弟が続く。巻末の書き下ろしSSは、その後のダームエルの話と、神殿厨房の料理人、フーゴとエラの話。

この辺りから貴族社会の複雑な人間関係の話が増えてくる一方、印刷業が事業化して、ローゼマインの意図を汲んで動く人たちが増えてくる。まあローゼマインが長期の休養に入って、やむなくの面はあるけれど、神殿も孤児院もローゼマインなしでも回るようになっている。「人を育てる」ことへのこだわりはずっとあって、有能な人材が集まってくるというよりは身近な人をスタッフに育てていくという傾向が強い。子弟教育にも乗り出して早くもエーレンフェストの教育政策まで立案してるし。

小説では「丸投げ」「無茶振り」と表現されることが多いけれど、中間管理者を育成して、ローゼマインの意向が継続的に組織としての機能に置き換えられていく。もちろん基本はローゼマインの活躍を追っていく小説だけれど、彼女の通った後にはその後を継ぐ組織が残っていく。

改めて読み返して見ると、打ち合わせのアポ取りから儀式や収穫祭などの準備から、手続きや段取りの説明が結構多くて、段取り小説だなあと思ったんだけれど、ユルゲンシュミット世界がどう動いているのかわかりやすく描くには極めて都合が良い。

【合本版 第一部】本好きの下剋上(全3巻)

【合本版 第二部】本好きの下剋上(全4巻)

本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女I」

本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女II」

本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女III」

本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女IV」

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2017-09-08 (金)

[]メイドインアビス #10 毒と呪い

い、痛そう、、、。「ひぐらし」の生爪剥がすシーン以来の痛覚アニメだった。

アニメで色がついて音がついて動いてることのパワーを今更のように思い知ったわ。そもそもマンガだったら、まじまじと見たりしないようなシーンでも、全部声優の演技がついて、きっちりその時間分見せつけられるわけだしね。でも、見てる間は時間を忘れて見入ってたけど。時間が経つのが早いアニメではあったけど、ここまで引き込まれてあっという間だった回もなかった。すげえ濃密でした。

タマウガチはもっと刺々しいイメージで色もグレーとかかと思ってたけど、白くて意外に見た目ふかふかな感じだった。そうか、こういうヤツだったのか。

ふわふわのぬいぐるみナナチも登場した。公式サイトのキャラ表とかも最初から出てたんだけどね、ようやっと、満を辞しての登場という感じ。

あと3回か。来週が呪いの話、次がミーティ、でラストの一時間スペシャルでクオンガタリ、かな。

2017-09-07 (木)

[]橋本治「失われた近代を求めて 1 言文一致体の誕生」

失われた近代を求めてI 言文一致体の誕生 (失われた近代を求めて 1)

失われた近代を求めてI 言文一致体の誕生 (失われた近代を求めて 1)

日本語の文章を書く、というのはどういうことか、ということで古事記の太安万侶から始まります。万葉仮名ですね。一方で外国語である中国語を、無理矢理日本語として読み下すという漢文体がありました。外国語由来の漢文体が正式な文章で、日本語をそのまま書こうとする非公式な文章と、日本語の文章には二種類あったわけです。その二つが合わさった和漢混交体が徒然草で完成する。完成した後はそのバリエーション、ということで話は一気に明治に飛びます。ツルゲーネフ小説に感動して、日本語でこういうのがやりたい、と燃え上がった長谷川青年、筆名二葉亭四迷が書いた日本の新しい小説とはなんだったのか、という話になります。教科書とかだと、二葉亭四迷の「浮雲」が言文一致体のはじまり、ということになってますが、「浮雲」って今の人で読んだことあるってまずいないでしょう。実は作者が途中で投げ出して、完結しなかったんですけれども。その辺りの事情も含めた、それぞれの時代で新しい「文体」を作り出した人たちは、なにを求めていたのか、という視点から見た文学史です。

「だめだし日本語論」id:herecy8:20170817でも言文一致体の話は出てましたけど、そもそも橋本治は1982年発行の「蓮と刀」の中で二葉亭四迷の言文一致体について論じていたわけです。「蓮と刀」は日本社会のホモソーシャルな関係についての本なので坪内逍遥と二葉亭四迷の関係みたいな話になってますけれど。「文語」と「口語」という分け方への違和感はずっと以前からあったわけです。

蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか? (河出文庫)

蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか? (河出文庫)

2017-09-06 (水)

[]マジカルガール?

マジカル・ガール [Blu-ray]

マジカル・ガール [Blu-ray]

ネタバレ注意。未見の人はwikipediaのあらすじとか読まずに見ることを強くお勧めする。

公式サイト

2014年のスペイン映画。白血病で余命いくばくもない少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。娘のために、父親のルイスはユキコのコスチュームをプレゼントしようとするが、彼女が欲しがってるのは有名デザイナーの一点もので、値段は90万円。失業中の元国語教師にそんなカネはない。そこで、ルイスはどうするか。

日本の魔法少女を題材にしたスペイン映画、というのでも話題になった。ユキコのコスプレしたアリシアは予告編でも出てたけど、正面から無表情で睨んでて、なんかコワイんだよね。明らかにフツーの映画じゃないオーラがビシビシ出てた。果たして、魔法少女といっても、まどマギ+黒蜥蜴とか、むしろファムファタールとでもいうようなもんです。

かなり技巧的な構図のアバンから、長山洋子の「春はSARASARA」が流れるタイトルバックにつながる。先が読めない展開、というかこの話がどこに向かってるのか、一体この映画がどういう映画なのか、最後までわからない、見たことのない類の映画です。アリシアとルイスの話だと思って見てると、いつのまにか心に闇を抱えた人妻バルバラと元数学教師ダミアンの話になって終わる。スタイリッシュな映像で、怖いシーンとか残虐な描写とかは一切ありませんが、見せない怖さがあって印象はえらくエグい。無垢な少女の願いが、変態的な不幸を連鎖させて、それが最後にぐるっと回って狂気と裏腹な一途の純情みたいな純粋さに戻ってくる。悪魔に魅入られた恍惚とでもいうんでしょうか。「マジカルガール」って、ユキコに憧れるアリシアのことかと思ってたんだけど、確かにそういう意味もあるけど、バルバラのことでもあるんだよね。元魔法少女の魔女、とか。

こっからは私の妄想になるけれど、映画では伏せられていたバルバラとダミアンの過去。ダミアンは少女時代のバルバラに人生を狂わされて刑務所に10年入ってたんだけど、何やったんだろうね。バルバラはダミアンを守護天使と呼んでたことを考えると、何かお願いされちゃったんだろうか。誰かにいじめられたとか、そういうことで。或いは、何かで彼女を庇ったのかもしれない。ダミアンはバルバラの嘘に振り回されて、それでも彼女を庇って、黙って刑務所に行ったのかもしれない。そして刑務所でカウンセリングを受けて、人生を立て直そうとして、でも結局同じことを繰り返した、と。アバンタイトルで少女時代のバルバラだ見せる手品は教師をからかうものだったけど、ラストでダミアンが見せる手品は、純粋な愛情の表現になっている。ダミアンの愛情というか、一途な純情は、冷酷非情な殺人と同居してるわけだけれども。

ラストシーンでは、ダミアンは手だけ、バルバラは目だけがアップになる。不倫の証拠が入った携帯電話が消えたのを見て、嬉しそうに涙ぐむ目は、無償の献身に感じ入っている。ユキコのコスプレ一式を揃えたアリシアの目が全然笑ってなかったのと好対照。「アリシアとバルバラ二人のマジカルガールが使い魔を使って魔法合戦する映画」という感想見て笑ったけど、でも確かに魔女と使い魔の、余人にはうかがい知れない愛憎関係を美しくも残酷に描いた、と言えるかもしれない。

しかし、ぞんざいなステッキがドレスの3倍くらい高いのは笑った。確かに魔法少女にはドレスよりステッキの方が重要だよな。

2017-09-05 (火)

[]倉多江美「静粛に、天才只今勉強中!」

静粛に、天才只今勉強中 7 新装版

静粛に、天才只今勉強中 7 新装版

フランス革命からナポレオン時代、復古王政にかけて情報を武器にして立ち回り、生き残った政治家ジョゼフ・フーシェをモデルとしたジョゼフ・コティの半生記。ナントの物理教師が穏健共和派として議員となり、フランス革命の進展とともにジャコバン派に乗り換え、テルミドール9日のクーデターでは反ジャコバン派に回り、総裁政府が行き詰まると早々にナポレオンに肩入れする。変節漢と呼ばれ、秘密警察を情報収集能力の高さ故に敵味方双方から恐れられていたが、タレーランとともにナポレオン体制を支えた主要人物であった。

フーシェの、権力の中心へと常に向かいつつ権力に固執しない達観したような距離感が、倉多江美の乾いた画風にマッチして、フランス革命を題材にした歴史マンガの中でもユニークな作品となっている。同じくフランス革命を題材にした木原敏江「杖と翼」と読み比べるのも一興。

横山三国志みなもと太郎風雲児たち」、手塚治虫ブッダ」、諸星大二郎西遊妖猿伝」など歴史モノの名作を排出したコミックトムに連載され、潮出版でコミックスが出版されていたものの復刊である。

ちなみに、橋本治の倉多江美論である「失われた水分を求めて」が氏の少女漫画評論の嚆矢となった。

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 1

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 1

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 2

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 3

静粛に、天才只今勉強中 4 新装版

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 5

静粛に、天才只今勉強中! 新装版 6

2017-09-04 (月)

[]プリンセスプリンシパル #9 case11 Pell-mell Duel

"pell-mell"は大慌てで、めちゃめちゃな、という意味の古風な英語だそうです。元々はフランス語からきてるとか。

ちせ回でした。日常ギャグ回でもある。case11だから、第4話case9と第1話case13の間の話か。先週の話があったから、プリンセスの印象が少し変わって見える。ちせが学内で一人日本流を貫いて、無礼な貴族には怯まず決闘を申し込むのは、なんか南方熊楠のエピソードを思い出させるね。フェンシングかと思ったら、ちゃんと銃を持ち出して、そういうとこはしっかり設定してるのね。しかし、土俵入りでお祝いするとか、プリンセスもどっから聞いたんだよ。

誰も知らないような極東の島国から来て慣れない異国で戸惑うちせが、スパイ仲間に打ち解けていく話です。だからスパイ仲間ってなんなんだよ。この「スパイ」って設定さえ無ければ断然面白いのに。プリンセスの懐刀とか、秘密の切り札とか、なんかそういうチームでいいじゃない。王室のお家騒動みたいな設定でやるんなら妙なツッコミもしたくならないのに。脚本がしっかりしてるだけにいたたまれない気持ちになる。

とりあえずスパイ仲間でいつも一緒につるんでるって有名になってるのは、どうなんだろう。「スパイ」って秘密なんだよね?命がけで隠してるんだよね?一人捕まったら全員芋づる式に捕まるんですけれど。

任務の時は学生寮かなんかから地下道で秘密基地っぽいとこに行くらしいけど、その地下道は誰が掘ったんだろう。

学園生活のエピソードはギャグだから別に構わない。階級社会だったらプリンセスはもちろん、貴族のお嬢様も他人と一緒の便所とか入らない気がするんだけど、戦間期のイギリスの学校とか知らないし。

京都から取り寄せたきんつば食べてたけど、船で運んで来たんだよね?1週間や10日では届かないんじゃないかなあ。そんなに日持ちするのか?そういえばちせも握り飯食べてたけど、そのお米はどうしたんだろう。日本から持って来た?つうか、タタミとかみんな持って来たのか?たしか勝海舟が咸臨丸でアメリカ行った時、保存を考えて持ってった食料が全部カビたり腐ったりしたんだよなあ。堀川邸とか、あんな規模の和風建築を建てるなら、職人とかも連れてかなきゃなんないし、えらいカネかかってると思うんだけど。そもそも明治政府って煉瓦造りの鹿鳴館建てても、イギリスに書院造の公館を建てたり、和装の使節を置いたりする発想はないと思うんだよなあ。

なんかそういうちぐはぐさが、興趣を削いでると思う。

2017-09-03 (日)

[]杉谷庄吾人間プラモ)「映画大好きポンポさん」

ポンポさんが本屋に来ったぞー!!

pixivで無料公開されてたWEBマンガの書籍化です。ポンポさんは映画作りに必要な才能をすべて兼ね備えた銀幕の申し子で、ポンポさんの映画は巨大ロブスターや巨大アリクイが暴れまわるB級映画なんだけど、どれも面白い一級品の娯楽作品。そんなポンポさんが新人監督と新人女優を大抜擢して、感動の名作映画を作る話。ポンポさんが地味なオーディション女優を見たときに一瞬垣間見たヒラメキが、様々な人たちの才能の力で形になっていく過程が何度読んでも感動的です。

本編中のキャラ紹介がみんな「好きな映画3本」になってるんですが、書籍版だとそれぞれの映画の解説がついて、さらにポンポさんが各キャラと好きな映画について語り合うおまけマンガもついてるので、WEB版読んだ人も買うべし。ちなみにカバー裏にも続きがあるので、見逃さないように。

最後のスタッフロールも、やっぱり「好きな映画3本」がついてて、作者の杉田庄吾がアイカツ三連発なのも色々とスゴイ。

あーでも「好きな映画3本」って、迷うなあ。私ならどうするか。「エイリアン2」「STAR WARS IV」「サスペリアPART2」にしとこう。

id:herecy8:20170412

映画3本、最初はサスペリア2の代わりに「ローマの休日」を入れていた。オードリー・ヘップバーン好きだし。「シャレード」「パリで一緒に」「おしゃれ泥棒?」「昼下がりの情事?」、ロマンチックコメディだったら「アパートの鍵貸します」「お熱いのがお好き」、あと「ピンクの豹」とか「黄金の7人?」とかおしゃれな泥棒映画。あとフランス映画なら「太陽がいっぱい」とか「地下室のメロディ?」とか、邦画だったら「ツィゴイネルワイゼン」とか、なんか古い映画ばっかりだな。

最近の映画だと、「劇場版ガールズ&パンツァー」「魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語」「シン・ゴジラ」。

2017-09-02 (土)

[]桑原太矩空挺ドラゴンズ

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンKC)

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンKC)

捕鯨船みたいに龍を追いかけて大空を旅して回る捕龍船の話。獲った龍は、やはりクジラみたいに、全身くまなく利用価値があって捨てるところがない。もちろんお肉は美味しくいただく。ファンタジーグルメっていきなり流行りだしたジャンルだけど、食と生活って密接に繋がってるから、冒険譚に血肉がつくというか、生きてる感じがうまく伝わってきていいですね。冒険とはいえ商売だからソロバンも弾くけど、それだけじゃない血湧き肉躍る王道を押さえてあって、実に面白い。ちなみに龍って言ってるけど、なんか空を飛んでる巨大生物の総称のようで、色々種類はあるみたいで、シルエットは中華風の龍に似てるのもいるけど、なんか口が縦に裂けてたりして、思ってたのと違う。

なんだか女性の顔が鈴木央っぽい気がするんだけど、なんか関係あるのかな。

2017-09-01 (金)

[]メイドインアビス #9 大断層

シーカーキャンプを離れ、いよいよ深界三層「大断層」を降ります。垂直に聳り立つ断崖は飛び回る凶暴なマドカジャクのテリトリーなのでもふもふな小動物の巣穴を、蹴散らしながら降りてく二人。もふもふはお肉も美味しいそうです。巣穴から次の巣穴に移るときに崖を降りないといけなくなると、撒き餌に使ってマドカジャクの気をそらせたりするのにも便利です。弱肉強食なアビスの厳しい掟です。

崖の途中になぜか古代の船が突き刺さって半分埋まってる謎遺跡まで辿り着きます。早速遺物を探し回るリコでしたが、そこはマドカジャクの巣でした。追い込まれてレグはやむなく火葬砲をぶちかますけれど、火葬砲には撃つと二時間はレグが昏倒してしまうハンディがある。その間の安全を確保する間も無く続けてベニクチナワが襲ってくる。もふもふが詰まってる横穴に無理やり突入して、なんとか逃げ切ると、リコはレグを引きずり回しながら暗闇の洞窟を歩き回ります。

動くなって言われても勝手にドンドン動き回るし、美味しそうな匂いにつられてアマカガメの捕食器に飲み込まれるし、リコさん警戒心ユル過ぎです。でもなんだかんだ言っても一人でピンチも切り抜けたし、三層の上昇負荷に耐えてレグを引っ張り上げたり、リコの探窟家としての資質を見せてくれました。

洞窟の出口で再び襲ってくるベニクチナワに母の形見?のブレイズリープで立ち向かおうとしたところでレグくん復活、爆裂ツルハシで撃退成功です。いよいよ眼下に四層「巨人の盃」が見えてきたところで、次週に続く。

アニメオリジナルで膨らました回でした。あと4回だし、ここでリコの見せ場作って冒険らしい冒険で盛り上げてくれたんですね。しっかりアビスの世界を展開して原作を補う、良いオリジナル回でした。