キャロル・オコンネル「クリスマスに少女は還る」

クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

クリスマスを控えた片田舎の小さな町から、二人の少女が消えた。誘拐と家出の両方の線で捜査が始まる。地元警察の警察官であるルージュ・ケンダルは、双子の妹を15年前のクリスマスに、誘拐され殺されていた。その時の犯人は捕まり、刑務所で服役中である。これは別の事件なのか、それとも過去の事件の真犯人が引き起こした連続殺人なのか。顔に傷跡のある法心理学者とか、クセの強い登場人物多数のエピソードがそれぞれ入り組んでいて、長編で明確な探偵役がいないので、ミステリというには焦点が分散した感じだが、本作を際立たせているのは、並行して語られる、誘拐された少女たちが犯人の裏をかき、戦い、生き残るためにあらゆる手段で苦闘するストーリーである。ホラー映画のマニアで、死体のフリで新米警官をからかう少女サディーと、その親友で州副知事の令嬢グウェンの活躍と、その結末が、何より読者を引き込む。