2007-01-25
■[films]引き続き、アイルランド
条約反対派寄りの『麦の穂をゆらす風』に対して、1996年ニール・ジョーダンによる『マイケル・コリンズ』は条約賛成派寄り。歴史上の人物である条約推進派のマイケル・コリンズの生涯を描いている。『麦』で弟を処刑するテディの人物造型の原型となった人物でもある。はじめに『麦』をみてしまうと、『マイケル』はいかにもリアルさを欠き、戦争映画の常套的な表現がかえって鼻につくばかりでなく、マイケル・コリンズの英雄化のために費やされる物語は耐え難い冗長さ。その擁護が過剰で偏っているようにみえるのは、デ・ヴァレラをはじめとする条約反対派の扱いが典型的な他者表象に終わっているためだ。過剰な英雄化はどうしても不当で胡散臭くみえてしまう。とりわけデ・ヴァレラがマイケル・コリンズの死に責任があるかのように描かれていることについての批判は多くなされており、このような問題のある重要な史実について大胆な解釈を試みの場合は、よほど確信があるか、あるいは、確信犯的な捏造の意図があるかのどちらかであるが、彼のIRA批判の根拠がうまく提示されていないために、どうしても後者の印象が否めない。総じてニール・ジョーダンの試みはすべて失敗に終わっている。
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