3D小説 黒崎リョウ

2013-05-03

Scene16 4/5


 ずいぶん、悩んだ。
 神さまがどこかでオレを試していて、ここであんまり欲張り過ぎると、父が消えてしまうのではないかと思った。もっと具体的には、この父がそれほど金を持っているとは、思えなかった。
 でも――

 思えばモップに出会ってから、良いことばかりが起こっている。
 犬小屋を作るのは楽しかった。それを、吉川が褒めてくれた。聞き込みは難航しているけれど、まだ始めたばかりだ。そして父が帰ってきた。
 覚悟を決めて、オレは言った。
「ゲーム」
 今、クラスで流行っているソフト。それをプレイするためにはもちろんゲーム機も必要だ。合わせるとかなりの金額になる。
 でもゲームがあれば、色々なことが変わる。
 それはクラスメイトたちの輪に入る、通行手形のようなものだ。同じゲームをしていれば自然と話題も生まれるだろう。流行っているソフトは通信プレイができるものだから、一緒に遊ぶ機会だって、きっとできる。
 そこまでは望み過ぎだ、と思った。
 父が帰ってきただけで、充分なのだ。本当に。
 やっぱりいいよ。そう言うつもりだった。もっと安い、マンガか何かを頼もう。
 オレが口を開く前に、父親は、笑顔で頷いた。
「おう。任せろ!」

 この人はゲーム機の値段を知っているのだろうか、と不安になった。
 だけど、それは杞憂だった。
 30分後にオレは、ぴかぴかのゲーム機と、話題のソフトを手に入れていた。
 生まれて初めて、翌日、学校に行くのが、楽しみで仕方がなかった。


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