3D小説 黒崎リョウ

2013-05-03

Scene17 2/3


 段ボール製の犬小屋の前に、女の子がしゃがみ込んでいた。
 一目でわかった。吉川だ。
 彼女はじっと、モップを抱きしめている。
「よう。どうしたんだ? 泣き虫」
 なんとなく名前を呼ぶのが照れくさくて、オレはそう声をかける。
 吉川がこちらを向いた。悲壮な表情。ドラマで、拳銃を向けられた役者みたいな。
「モップが!」
 今までにない、大きな声で、彼女は言った。
「どうしよう。すごく熱くて。モップ、死んじゃう」
 モップの前脚が、ぐったりと、彼女の腕からはみ出ている。

 ふざけるなよ。
 オレのこれからは、ずっと腹いっぱいで、幸せなはずなんだ。


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