3D小説 黒崎リョウ

2013-05-03

Scene18 3/3


 ゲーム機とソフトを売るのには、少し手間取った。
 箱に入っていると買い取り価格が上がるということだったから、一度、アパートに戻った。母はいなくて、父はいびきをかいて寝ていた。
 いざ、商品をカウンターに並べると、「ご両親のサインがなければ買い取りできません」と言われた。仕方がない。またアパートに戻り、父を揺り起こして、署名させた。父はそれがなんの書類なのかも確認しないまま、汚い字で自分の名前を書き込んで、また寝てしまった。

 ゲーム機とソフトは、今までにオレが手にしたことのない紙幣に変わった。
 それをポケットに突っ込んで、動物病院へ向かって、走る。
 ――決まってるだろ。これが、一番、正しいんだ。
 嘘じゃない。本当に、そう思っていた。
 なのに少しだけ、視界が滲んだ。


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