3D小説 黒崎リョウ

2013-05-03

Scene19 2/3


 父に申し訳なかった。
 あのゲーム機を、売ってしまったことだ。
 あとで謝ろう。嫌われないだろうか? でも、素直に謝るほかに、何も思い浮かばない。
 それからようやく、遊ぶ約束をしていた同級生のことを思い出した。約束の時間はもう過ぎている。それに、オレの手元には、友達を作るための道具がない。

 動物病院を出ると、相変わらず空は、馬鹿みたいに晴れていた。
 それを見上げると、胸の辺りが少しだけすっきりとした。
「よかったよ」
 また自分に言い聞かせる。
「モップは家族のところに戻れるんだな。たぶんお腹が空くこともなくってさ。ハッピーエンドだ」
 きっと、全部、上手くいったんだ。
 そう繰り返すたび、視界が滲んでゆく。
 なんだか空が眩しくて、唇を噛む。
 軽く目を閉じる。

 足音が聞こえた。
 瞼を持ち上げると、吉川が駆け出していた。


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