3D小説 黒崎リョウ

2013-05-04

Scene26 11:30〜 1/2


 ベレットのアクセルを踏み込む度に、エンジンが苦しげに咳き込む。今は頑張ってもらうしかない。
 京都。
 そこに、あの少女がいるかもしれない。確証はないが、可能性は高いように思う。
 高速に入り、吹田のジャンクションを過ぎたところで女性警官から電話が入った。左手でハンドルを操作しながら、右手でスマートフォンを耳に当てる。
「なんだ」
「今、どこ?」
「心配しなくても、すぐ着くよ」
「そう」
「なんだ、用事がないなら切るぞ」
 高速で電話なんかしたくない。
「切符切り」
 と彼女は告げる。
 息が詰まった。なぜ、今、その名前が出てくる?
 彼女は笑って、穏やかに告げた。
「私も貴方に会いたくなってきた。待ってるわ」
 電話が切れる。
 オレはスマートフォンを助手席へ放り投げると、ハンドルを乱暴にきって前方のトラックを追い抜く。


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