3D小説 黒崎リョウ

2013-05-07

Chips - no.46「黒崎正吾のその後」


 一連の事件の後、黒崎正吾は、まず警察に出頭した。警察はすぐさま、組織に残っていた情報を整理し、彼の事情を正確に把握した。その後、彼は罪に問われることとなった。
 
 現在、彼は必要な手続きを終え、社会復帰している。
 京都の簡素なアパートで、愛息子と2人暮らしだ。平日は手先の器用さを活かして内職をこなしながら、休日には趣味としてささやかな造形制作を続けている。作品には、少ないながらも一定のファンが付き、最近では収入にも繋がりつつある。
 決して裕福とは言えない生活だが、彼に不満はなかった。過去に自分が犯した間違いを考えれば、むしろ幸福すぎるくらいだと思っていた。
 彼は自信なさげな微笑を浮かべ、口癖のように言う。
 
「生きてるってことは、それだけで奇跡的に幸福なのさ」
 
 ところで先日、彼のもとに1通の手紙が届いた。
 かつて愛した女性からだ。
 彼は酷く悩んだが、結局、返事を書くことにした。

 これが正しい選択なのか、彼にはわからない。
 けれど今は、幸福のその先を手に入れるために、もう一度頑張りたいと思っている。
 今度こそ、間違えないように。


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