3D小説 黒崎リョウ

2013-05-07

Chips - no.50「黒崎リョウのその後」


 本名、黒崎良。背が高く、脚の長い青年。

 一連の事件の後、黒崎良は、まず警察に出頭した。警察はすぐさま、組織に残っていた情報を整理し、彼の事情を正確に把握した。その後、彼は罪に問われることとなった。

 現在、彼は必要な手続きを終え、社会復帰している。
 京都の簡素なアパートで、父との2人暮らしだ。平日は、恵まれた体格を生かして肉体労働に勤しみながら、休日は父の趣味である造形制作に付き合っている。
 作品が誰かに売れるとき、父は子供のように嬉しそうな顔をする。そんな父を見るのが、彼は好きだ。

 ところで最近、黒崎良にとって幸福な出来事が2つあった。
 1つ目は、父のもとにある女性から手紙が届いたこと。黒崎良は、それをたまらなく嬉しく思った。父の選択を心から応援している。
 2つ目は、彼女と頻繁に会えるようになったことだ。彼女は近所の安いマンションに引っ越してきた。そこには白黒模様のポメラニアンも一緒に暮らしている。
 今では、2人と1匹で、あの公園を散歩するのが日課になっている。

 すべては、あの日に起きた、とんでもない奇跡のおかげだ。

 彼は、これまでに自分が犯した間違いを肯定する気はない。それは許されないことであり、一生背負っていくべき罪だと理解している。
 けれど、それでも今は。
 幸福のその先を求める努力をやめたくはないと、強く、思っている。


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