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2014-12-29 2014年読書録

2014年読書録

今年は余り本を読んでいない。特に後半は両手の指で足りてしまう。うーむ、由々しき問題である。
生活環境の変化と新しい趣味の獲得による影響が大きい。

今年も本年中に読んだ本で面白かったものを数冊紹介していく。

ミノタウロス

ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)

――"人間の頭が付いていないだけに、ごつさやいかつさは非人間的な領域に達していた"――
帝政ロシア末期のウクライナ。小作農の次男として誕生した主人公の人生を追う。
感情と風俗と泥と血と尿とがぐちゃぐちゃに交り合ったような、暴力的な小説というべきか。
語彙が足りないせいでとにかくすごい、としか言えないのだが、佐藤亜紀の小説は昨年読んだ「バルタザールの遍歴」に続き2冊目……だと思うのだけれど、ただ圧倒される。
悲惨な社会の中でどろどろのぐちゃぐちゃになりながら投げやりに大胆に繊細に生きる人間の、ああ、何と言おうか。
この小説が日本語で読める幸せ、といった人がいたが正しくその通り。

とはいえ、全体的に重苦しく、暗く、暴力的な表現や性的な描写もあるため、人に勧められるかはまた別の話。
僕は面白かった。



ジークフリートの剣

ジークフリートの剣 (講談社文庫)

ジークフリートの剣 (講談社文庫)

――"死よ来たれ! この至上の瞬間に、抱擁の陶酔のうちに我を摘み取れ!"――
深水黎一郎の芸術ミステリシリーズ第4弾。第1弾と第2弾は読んだが、これが一番いい。
ミステリと銘打たれており、また確かにミステリの要件は満たしているものの、本質はそこではない。
天賦の才に恵まれた世界的テノール歌手である藤枝和行は恋人に連れられて占い師に会いに行く。
占い師の老婆を疑わしげに、見下したようにしていた和行は、しかし、その老婆によって予言を受ける。
「あんたは、恐れを知ることになる」
予言ワーグナーの楽劇、喪失、不遜な自惚れ……それらが密接に絡み合って結末へと向かう。
作者によるワーグナーの解説、独自解釈を苦にしない人間にとっては非常に楽しい読書になるのではないか。
特にクライマックスの盛り上がりと言ったら。
深水黎一郎は他にも何冊か読んだ。いい作家。



盤上の夜

盤上の夜 (創元SF文庫)

盤上の夜 (創元SF文庫)

――"一九九二年、シェーファーらのプログラムが、四十二年間無敗のチャンプを破った"――
囲碁麻雀といったボードゲームをテーマにした短編集。
問題はこれがSFであるということ。この小説が第33回日本SF大賞受賞した時、界隈は非常に賑やかになった。
勿論、受賞前からこれらの小説は存在していたし、受賞前にこれを読んだ人間が高く評価している声も聞こえてはいた。
短編集なので、何編かの短編が収録されているが、その中でも「人間の王」と「清められた卓」は特に良かった。
「人間の王」はチェッカーという日本人には馴染みのないボードゲームの話だ。
このチェッカーという競技はチェスの亜種のようなゲームなのだが、このゲームがコンピューターによって解析される少し前、チェッカーには四十二年間無敗のチャンピオンが存在した。
これは実在の人物であり、その圧倒的な強さは対局相手が初めから勝ちを捨て、引き分けに持ち込むことに全力を費やす程だった、とか。
あまりの強さに好敵手は存在せず、一度は引退までしたこの正しく「人間の王」が、俄かに表れたコンピューターを対局する話……なのだろうか。
この小説は実在の人物を扱ってはいるものの、作中にこのチャンピオンは登場せず、初めに呼んだ際は困惑した。紙上で何が起きているのかよく分からなかった。
しかし、読み進めるうち、情報は整い、やがてどこかへと至る、というそういう感じの話。
所謂いい話、ではあるのだが、ご都合主義ではない、唖然とさせられるハッピーエンドだった。
「清められた卓」は、近代麻雀なんかでよく見かける超能力麻雀を描いた小説……と言ってしまっていいものか。
余りに異様なその内容から棋譜をはじめとしたその記録の一切が闇に葬られた一局があった! みたいな……ああ頭の悪い感じがする……。
対局者も、ヒネたプロ雀士と、天才少年、幸運によって決勝へとたどり着いた男性、宗教の教祖というどこの漫画だよという面子。
読み返しながら感想書いてましたけど、やっぱり近代麻雀ノベライズ過ぎて笑うので、この感想はもうここまででいいや。
他の短編も不具にされる女性の話とか違う意味で興奮するし、色々素晴らしい一冊。



アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

――"たとえお話の世界だって、ルールがなくちゃならない。部分部分が首尾一貫していて、ぴったり整合しなくちゃいけない"――
読んだことがない、という人でも名前はくらいは聞いたことがあるであろう名作。
地雷ではなく花をください」とイメージが混線していたせいか、長年、僕は未読のまま、この小説が小学校の国語の時間さながらにお利口さんの道徳を説くようなクソ退屈な小説のうちの一冊だと思っていたのだが、どうやらそれだけではないらしい、ということをtumblrに流れてきたエントリを見て考えを一部修正した。
で、実際読んでみたら、そんなチャチな小説ではなく、ぐいぐい吸い込まれるように読まされてしまった。
名作ってやっぱ馬鹿に出来ないし、みんな読んだ方がいいよ。

感想書くの疲れたので今年はここまで。
他だと山本弘の「MM9」シリーズとか良かった。怪獣小説。特撮好きだったら多分好き。あと、何か適当な科学っぽい解説に裏付けられた超能力とか好きな人向け。3巻がNTR要素があって興奮した。
あとは下永聖高の「オニキス」とか。表題作はそこそこだったけど、収録の「神の創造」という短編はすごくよかった。
変わり種だと、米澤穂信編の「世界堂書店」。「バイオリンの声の少女」とかクッソ萌える。

MM9―destruction― (創元SF文庫)

MM9―destruction― (創元SF文庫)

世界堂書店 (文春文庫)

世界堂書店 (文春文庫)



皆様、よいお年を。
お年玉こちらまで

2014-05-17

ログ・ホライズンTRPG-シナリオ- 『力こそ正義! いい時代になったものだ』

シナリオガイダンス

プレイヤー人数:2〜5人(3人を推奨)
キャラクターランク:1
プレイ時間:4-5時間?

リプレイ

今回予告
<大災害>、君達は白い光に包まれた。だが、君達は死に絶えてはいなかった!
暴力がすべてを支配する世界となった<大災害>後のセルデシアで大地人達は一部の無頼と化した暴力に脅えながら暮らしていた。君達はその、無頼と化した暴力となり、暴虐の限りを尽くすのだ!

ログ・ホライズンTRPG 『力こそ正義! いい時代になったものだ』
世紀末セルデシア伝説

レギュレーション
★使用ルール
基本ルールブックを使用。
なお、当シナリオには「出来損ないの料理」以外の食糧アイテムの持ち込みはできないものとする。

★難易度
ベリーイージー 各PCに因果力+5
ベリーハード GM因果力+10

★推奨キャラクター
このシナリオはCR1のキャラクター2人から5人を対象に遊ぶことを想定している。
<回復職>はシナリオの性質上、PCとして相応しいとは言えないため、推奨できない。
シナリオの製作者としては<戦士職>か<武器攻撃職>を推奨する。
特に<暗殺者>や<武闘家>を選択したPLはシナリオの趣旨をよく理解していると言えるだろう。
キャラクターは当シナリオ用に新規で作成することを強く推奨する。

続きを読む

2014-05-07

ログ・ホライズンTRPG ボスエネミー失敗作データ

先日、ログホライズンTRPGのオリジナルシナリオが完成したのでGMをした。

結果、PCに攻撃を当てることすらできないままセッションは終了した。
シナリオが冗長だったとか他にも反省点はあるものの、とりあえずエネミーデータを見直してみたい。

PCは6人で全員CR1だった。

肝心のエネミーデータ。


<淀んだ魂の群体>
[ボス][不死][暗視]
ランク:2 識別難易度:6
HP:90 行動力:2 移動力:2
STR:0 DEX:1 POW:3 INT:3
回避:2+2D 抵抗:2D
物理防御力:5 魔法防御力:8
ヘイト倍率:×4
因果力:4
特技:<<幽体の理>>_常時_このエネミーは[精神]ダメージを受ける時、防御力を0として扱う。また、[機会][自然]プロップから望まない効果を受けない。このエネミーの行う[通常移動]は常に[即時移動]になる。
特技:<<再行動*>>_本文_ラウンド1回_BSの解除を行ったターンのメインプロセスにおいて[行動済]になった時に使用する。このエネミーは即座に[未行動]となり、その後ラウンド終了時まで【行動力】が0となる。
特技:<<悔恨の灯火>>_ダメージ適用直後_このエネミーが15点以上のHPダメージを受けたとき使用できる。モブエネミーを2体まで2D8を振り出目に応じたSqに配置できる。
特技:<<怨嗟の息吹>>_[魔法攻撃][精神]_メジャー_対決(2+3D/抵抗)_単体_2Sq_対象に[20+2D]の魔法ダメージを与える。[因果力1]この特技を[対象:広範囲1(選択)]に変更する。
特技:<<慟哭の波紋>>_ダメージ適用直後_対決(3+3D/抵抗)_範囲(選択)_至近_シーン1回_対象のヘイトを10にする。
ドロップ品
固定:古びた髑髏[コア素材](40G)
1-3:黒曜骨[魔触媒3](25G)×4
4-6:瘴気の残り香[換金](160G)


ダメだった点を振り返っていく。

とりあえず、特技:<<幽体の理>>については問題ない。[通常移動]が[即時移動]になることで、後衛がヘイトトップになったら容赦なく襲いにくるという緊張感を与えることができていた、と思う。
このエネミーはルルブP.459の<燃え盛る悪霊>をベースに作成しているのでこの辺りはベースそのまま。

次、特技:<<再行動*>>。普通に再行動ではなく、BS解除したラウンドだけ再行動する、というスキルBS付与に対する牽制と、ラウンドの圧縮を狙ったが大した効果がなかったので次からは普通の<<再行動>>にする。

特技:<<悔恨の灯火>>。死にスキルその1。15点以上のHPダメージを受けると、暗闇プロップを周囲に設置するモブエネミーを召喚して身を守る……という特技。
エネミーの回避や抵抗が高いと戦闘がgdってしまうので低めに設定し、モブの設置するプロップの効果で回避を上げることで戦闘バランスを取る、つもりだった。
まず、回避や抵抗が低いわけではなかった。基本的に攻撃はhitし、たまに回避する、くらいの数字だったので、CR1が相手ならこれくらいの数字で十分だった。
それから、スキル自体が発動しなかった。PCのPTに暗殺者や妖術師がおらず、瞬間火力が不足していた。
エネミー作成時に防御力のことを失念しており、防御力を通した後のダメージでは15点に届かないまま、15点以下のダメージでじわじわと削られてしまった。
完全な失敗スキル。防御判定失敗ごとにモブ召喚といった形にしたら良かったのかもしれない。

攻撃用の特技、<<怨嗟の息吹>>。射程である2Sq以内に入ってきたのが格闘家のみだったため、カスリもしなかった。
盾役を頼りに寄ってきた武器攻撃職を因果力消費して範囲攻撃する予定だったので不測の事態だった。
[即時移動]可能なので、後衛に攻撃するときは移動して攻撃すればいいのだから射程は2Sqあれば十分なはずなのだが、近くに来てくれなかった。
この特技に関しては仕方ないかなーという思いが強い。

死にスキルその2、特技:<<慟哭の波紋>>。
ヘイト管理を乱そうと思って作ったスキル。ついでにヘイトダメージを急上昇させよう、と。
先述の通り、PCが近寄ってこなかったので使用できなかった。内容ももう少し吟味する必要がありそう。

特技に関してはこんなところか。
他には、行動力をもう少し高めに設定した方が良かったかなーという程度。

後日リベンジしたい。

2013-12-19 2013年読書録

2013年読書録

今年の僕は何読んだっけなーとついログで検索かけたけど、途中面倒になって読了してもpostしなかった本が結構あるのと、4月くらいまでに読んだ本の記憶がない。まあ多分つまらなかったんだろう。

伊坂幸太郎の「バイバイ、ブラックバード」も読んでるみたいなんだけど記憶にないなあ……。

1月1日
バルタザールの遍歴

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

――"私たちが二人であることを認めさせようとすると、人々は一様にぎょっとし、無視しようとし、ついには狂人扱いし始めた"――
一人で二人、二人で一人。
一人が二人、二人が一人。
殺戮奇術の匂宮兄妹……じゃあないけれど、一つの肉体を二つの精神で共有するバルタザールとメルヒオールの物語。
彼らは自身らを二重人格ではなく双子、と表現する。どちらかが後天的に生み出されたわけではなく、生まれた時から二人だったから。
戦争の影と退廃的な生活、堕落! 享楽!
昨年末に読み始め、今年の正月に読み終えたのだけど、これが面白かった。
双子の他ではあり得ない関係性が心地よかった。

こうして僕の2013年の読み始めは幸先の良いスタートを切った……のだけれど……この後はしばらく不作。
ついログを見ても面白かったというようなプラスの感想は一切ない。

2月16日
隣の家の少女

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

――"苦痛とはなにか、知っているつもりになっていないだろうか?"――
勿論、殴られるのは痛いし、首を絞められれば苦しい。しかし、本当の苦痛というものは……。
体調の悪いときに処分してしまったようで残念ながら手元に本がない。
しかし、また購入するのはどうも悩むなあ。まあ、所謂救いようのない話。
今年の12月はじめの全国ニュース、今ではもう話題にも上らなくなった事件、本当にアッサリと忘れられていくことに思い出すと驚く。
兵庫県尼崎市のアパートで15歳の少年が監禁虐待されていた。

中3男子を監禁・虐待 容疑の43歳女逮捕 少年ら6人も 兵庫・尼崎 - MSN産経ニュース

とまあこれの性別を反転させればもうほとんどこの小説みたいな感じ。
事実は小説より奇なりとはよく言ったものだね本当に。
趣味の悪いのがお好きな方は是非この機会に一読をオススメする。

3月20日
悪意の手記

悪意の手記 (新潮文庫)

悪意の手記 (新潮文庫)

――"大丈夫。俺は一度、殺したことがあるんだ"――
昨年から続くマイブーム中村文則。やたらとピースの又吉が帯にいたりして鬱陶しいことこの上ない。お笑い芸人は大人しく雛壇に座っていて頂きたい。
ともかく、人殺しの手記。
ぼーっと生きている間にどんどん状況は悪化していき、それでも延々ぼーっとしている話。
自己嫌悪の後ろ暗い快楽は忘れ難い。いやあいい話だった。
これを最後にして僕の中村文則ブームは終結した感じ。

3月24日
バイバイ、ブラックバード

――"あれも嘘だったわけだ"――
忘れた、と言ったけどパラパラめくってたら思い出した。面白かったやつだこれ。
五股かけてた男がある理由で五人それぞれに別れてくれと言いに行く話。
伊坂幸太郎らしいコメディ。
面白かったんだけど、何か言うとネタバレになりかねない怖い。
表紙とかタイトルとかのせいでしんみり系と誤解されそう(というか、僕はしていたの)だけど、かなりコミカルな話だし、せめて表紙はなんとかならなかったのか?

4月13日
妻の超然

妻の超然 (新潮文庫)

妻の超然 (新潮文庫)

――"そうやっていつまでも超然としてればいいよ。私はもう合わせられないけど"――
と帯に書いてあった。
「妻」の超然というタイトルなのに、このセリフはどう見ても女側が言ってる気がする。気になる。
あと、単純に「いつまでも超然としてればいい」というフレーズが直撃だった、ので購入。
なんというか、超然とした小説だった。この一冊で絲山秋子にハマってしばらくは絲山秋子ばかり読んでいたが、これが一番よかった。
純文学ってなんでこうダメな雰囲気を内包しているんだろうね。

5月3日
魔人館事件 夏と少女とサツリク風景

――"館ミステリへの挑戦状"――
という触れ込みでプッシュされていたミステリ小説である。
まあ、しかしこの手の煽り文句というのはミステリ界では既に使い古されたもので、記憶に新しいところでは汀こるもののデビュー時にも「本格ミステリを打ち倒そうとする生意気な新人が現れた」なんてことを有栖川有栖が言っていた。実際のところ、その汀こるもののデビュー作はところどころアンチミステリ的な側面はあったものの、アンチミステリと言ってもミステリには違いないという範疇にあった。
が。
この魔人館事件は違う。
仰々しく用意された「主な登場人物紹介」!!! これ見よがしに挿入されている「屋敷見取り図」!!!!
陸の孤島と化す豪邸!!! 起こる殺人! 嫌な音を立てる人間関係!! そして第二の殺人!!!!
とまあミステリ好きとしては(個々人の好みもあるだろうけれど)垂涎ものの展開だった。
だった。
だったのに……、どうしてこうなった
f:id:hetaremozu:20131219181456j:image
……

f:id:hetaremozu:20131219184931j:image
という感じなんだけど、なんかこう、ここまで清々しくやられるといっそ気持ちいい。
愉快な読後感だった。
ので、続刊を読んだのだけど、そっちは2冊ともつまらなかった。まあ出オチだし仕方ない。



「二流小説家」とか「白雪姫には死んでもらう」とか主にミステリを読んで過ごす。



7月29日
忌中
[rakuten:book:11917591:detail]
――"併しそれでは心中の生き残りの片割れという語感がないじゃないか"――
死にたい死にたいという妻にじゃあ心中しようと言いさあ心中するぞと妻を殺して自分も首を吊ろうとしたけれど吊るのはやめて風俗行ったり消費者金融でお金を借りて風俗へ行ったりする話。
いえーい。
車谷長吉ブームきた!
この後は「妖談」とか「金輪際」とか読んだけど、大体どれも面白かった。

妖談 (文春文庫)

妖談 (文春文庫)

金輪際 (文春文庫)

金輪際 (文春文庫)

これで芥川賞を取れると思ったら取れなくてがっかりした、みたいなこと書いてて笑った。

「ハローサマー、グッドバイ」とか読む。続編が出たらしいので気になっている。

「嫌な女」を読む。これが面白い。伊坂幸太郎とか好きな人は読もう。

嫌な女 (光文社文庫)

嫌な女 (光文社文庫)



「かたちだけの愛」とか「火の粉」とか読む。
記事書くのにあからさまに飽きてきた。ヤバい。

伊坂幸太郎の「マリアビートル」が文庫化したので、再読した。楽しい。
そういえば、九州新幹線貸切の企画募集みたいなのあったけど、どうなったんだろあれ。

11月1日
群青の夜の羽毛布

群青の夜の羽毛布 (幻冬舎文庫)

群青の夜の羽毛布 (幻冬舎文庫)

――"お姉ちゃんが、男の人を誘惑するときの手なの。でも、もう騙されちゃったみたいね"――
家族というのが如何に恐ろしいものか。
大学生の鉄男は丘の上の家に暮らす不思議な女性・さとるに惹かれていく。しかし、さとるの見せる母親に対し異常な怯えと従順さ、他人と向き合えない不安定な部分を鉄男は意識しないわけにはいかなかった。さとるの妹は鉄男に意味ありげなアドバイスを、母親は不気味に手招きをしてきて……といったあらすじ。
こわい(小並感)。
「毛布お化けと金曜日の階段」みたいな心温まる家族愛と恋愛のストーリーかなと思ったら全然違うじゃないですかヤダー><

サイコホラーでした。ゴールデンタイムなんてチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしい狂気の片鱗を目撃したぜ。

あとは最近、夢野久作の「押絵の軌跡」を読んだ。
支那米の袋」を思い出した。

飽きたからもうこれでいいや。
今年の読書録でした。

2012-12-26

2012年読書録 超個人的ベスト10

ベスト10と言ったな。あれは嘘だ。

10位
グレート生活アドベンチャー

グレート生活アドベンチャー

グレート生活アドベンチャー

グレート生活アドベンチャー (新潮文庫)

グレート生活アドベンチャー (新潮文庫)

――"そうか、孫は僕が作らないといけなくなったのか"――
ヒモが女の家でゲームしたり、女の日記勝手に読んだり、外に寿司食いに行ったりする。
それだけ。
面白いよ!
前田司郎酒井駒子の表紙に惹かれて「夏の水の半魚人」をジャケ買いしたけど、こっちは面白くなかったな。おしっこ漏らす描写は良かったけど。

夏の水の半魚人

夏の水の半魚人



9位
愛のひだりがわ

愛のひだりがわ (新潮文庫)

愛のひだりがわ (新潮文庫)

――"もしかしてサトルは、憐れみのまじった気持ちで、女性を好きになるタイプなんだろうか"――
左手が不自由な小学生女児・月岡愛ちゃんが、核の炎にこそ包まれていないものの、かなり世紀末な日本を旅するジュヴナイルストーリー。
犬と意思疎通ができる愛ちゃん犬姫様となり、荒廃した東京に君臨するのだ!!!
だいたいそんな感じ。安定の筒井康隆
正しいことは何なのか。作中では暴力があまり否定されていなくて、それは何故なんだろうか。
犬繋がりで「ドリーミング・オブ・ホーム・マザー」とちょっと似てる。

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

そういえば、打海文三先生は死んでしまったんだよなあ。それは去年だったっけ。一昨年だったっけ。惜しいなあ。未読の物を読みたいのだけど見付からない。

8位
何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

――"ビスケットをな、アメみたいに、舌でペロペロ舐めるんだ。僕にはもったいないです、と言ってな"――
刑務官の「僕」は、とある夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。山井地裁死刑判決が出ていて、一週間後の控訴期限が過ぎると死刑になる。しかし、山井控訴しようとしない。語らない。
こんな本をナツイチに加える集英社はちょっとおかしいんじゃないか? 僕は好きだけど。集英社の分類的には『泣ける本』らしく帯に『涙で水に流しましょう』と書かれているけど、これ読んで泣く人はちょっと怖い。僕は好きだけど。
独居房の埃っぽい暗い感じが小説に出ていて、そういうところがいいと思う。
あと、「僕」がアレな関係の女の子に"わたし、結婚するんだよ"って言われるのとか個人的にたまらない。

7位
遮光

遮光 (新潮文庫)

遮光 (新潮文庫)

遮光

遮光

――"美紀は淫乱ではなかったし、それにまだ、十七だった"――
恋人の美紀は旅行先で事故にあって死んじゃってるのだけど、それを友人に隠して、生きているということにして、嘘を吐きながら生きている青年の話。
虚言癖、という病気がある。病気というよりも症状といった方が適切なのかもしれない。ついつい嘘を吐いてしまう、というアレだ。嘘を吐いてしまうのはそこに何らかの意思があるわけではなく、自身で気付いた時にはもう口から嘘が飛び出てしまっているのだ。作話ともいう。これの厄介なのは、発言した時は嘘を吐いたという自覚があるのだが、嘘を重ねるにつれて自分の作った話を事実だと誤認するようになることだ。そうして現実と妄想がぐちゃぐちゃになって。
今年の僕は中村文則ブームだった。

6位
料理人

料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)

料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)

――"そうだ。皿いっぱいだ。この世の中にそんなにたくさんメイプルシロップがあるとは知らなかっただろ?"――
髪を切りに行った美容室での待ち時間に読んだBRUTUSで紹介されていたのを見て興味を引かれて購入した。

BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌]

2m近い長身で顔つきは鷹のよう。鼻は嘴そっくりで、落ちくぼんだ眼窩からは大きく真黒な鋭い目が覗く。着ているものは全て黒。"飢えた黒い鷲"と揶揄される天才的コックのコンラッド
コンラッドはその悪魔的な腕前でプロミネンス城の住人達の、コブの街の人々の舌と心を掌握していく……。
男の子は胃袋を云々ってレベルじゃねーぞ
まさに悪魔的! 僕はホラーだと思ったけど、ハヤカワ的にはブラック・ユーモアらしい。
料理物というジャンルが小説にあるのかは知らないけれど、マンガだと今年初めて「おせん」を読んだら面白かった。漫喫へ行こう。漫喫に置いてあるだろうか。チャンピオンの「鉄鍋のジャン」なんかも好きだけど、最近漫喫で見かけないんだよなあ。

おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ。(6) (イブニングKC)

おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ。(6) (イブニングKC)



5位
死の接吻

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

――"どういう方法で、人間は自ら生命を断つだろうか? これから五時間四十分のあいだに、彼女は屍体になっていなければならないのだ"――
『この星の想像力、すべて。』というキャッチのハヤカワ文庫のキャンペーンに乗せられて購入した。
表紙の鮮やかな赤に魅せられたということもある。赤色が目を引いただけでなく、字の配置やフォントも素晴らしい……が、残念ながらamazonのサムネは古い表紙が表示されているようだ。店頭でご覧あれ。
物語冒頭、主人公は恋人を妊娠させてしまう。彼女は子どもを産んで結婚したいと言い出す。主人公が彼女と付き合っているのは、彼女の父親が企業を経営する社長だからだが、できちゃった結婚なんてことになったら厳格な彼女の父が、彼女を勘当することは火を見るより明らかだ。二人はまだ学生だし、そうなると主人公は学校を辞めて働かなくてはならない! そして一生を彼女と子どもに縛り付けられて惨めな下層階級として暮らすことになるのだ! それは嫌だ!
殺す!
以上中盤までのあらすじでした。文庫の裏表紙でおおまかなあらすじを把握してときめいてしまった。
決して主人公は人を愛せないわけではないし、二股をかけるわけでもない。でも、まあ、道徳的には悪人とされるのかなあ。
愛とは何ぞ……。

4位

銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

――"昨日、私は拳銃を拾った"――
これが書き出し。
また中村文則だよ! 今年は中村文則ばっかり読んでたよ! と言うと過言だけど。
中村文則のデビュー作で、一度は新潮文庫文庫化したが絶版になり、今年7月に河出文庫で復活した。新潮文庫版よりも表紙がかっこいい。
地の文では"女はそう言い、私を見た。私は少し驚き、女の顔を眺めた"といった感じなのが台詞になると「マジで? お前どうかしてたな、それは。いつもは獣みてえなのにな」と砕けるのが新鮮で良かった。いかにも軽薄な台詞と暗澹としたストイックな内面との差がいい。
拾った銃に魅了され、取り憑かれたように慈しみ、依存していく様子に惹きつけられた。
お笑い芸人のピース又吉直樹がPOPやら帯やらに出しゃばってきてウザいことと、結末を除けば最高だった。
中村文則はこれを読んでハマっていくつか読んだ。どれも悪くはなかったけれど、既読中ではこれがベスト。

3位
旅のラゴス

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (徳間文庫)

旅のラゴス (徳間文庫)

――"森の中を、浮かんで移動するんです。森の中を走りまわっているうちに、地面から少し浮きあがったままで、走るより少しだけ速い速度で飛べるようになったの"――
突然高度な文明を失った人類が超能力を獲得し出した世界。集団転移、壁抜けに空中浮遊。
230項に満たない薄い本の中でぐんぐん時が経過する。思えば、僕はそういう小説が好きなのかも知れない。
SFのようなファンタジーのような。ただただ読んでいて楽しかった。筒井康隆ではこれが一番好きだ。次点は「愛のひだりがわ」。その次に「七瀬ふたたび」をあげておく。
僕は新潮文庫で読んだが、新潮文庫での初版が平成6年。初出はもっと前だろう。20年近くこれをスルーしていたのかと思うと悔しい。SFに対する苦手意識の結果かと「旅のラゴス」読了後はいくつかSFに手を出してみたが成果はなく苦手意識が増した。円城塔とかも好きじゃないしな……。

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

ラゴスと関係ないけど、七瀬シリーズって漫画化してるんだな。吃驚した。吃驚したといえば「ビアンカオーバースタディ」もだけど。こっちは未読。太田が悪い。

2位
香水 ある人殺しの物語

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

――"臭気それ自体の点でいえば、人間の匂いは単純なものだった。汗と脂でチーズのような酸っぱい匂い。どの人にも共通した匂いというのは、おぞましいたぐいのもので、その下に人それぞれ独自の体臭がひっそりとひそんでいる"――
舞台は18世紀パリ。香水調合師のグルヌイユは生まれながらにして人間離れした嗅覚の持ち主だった。その嗅覚で、暗闇であろうと真昼と同じように歩いてみせ、壁の向こうをも見通した。
嗅覚で世界を了解しているグルヌイユは自然と至高の芳香を求めるようになる。孤児であり、その嗅覚のために遠ざけられ疎まれててきた彼には芳香のために手段を選ぶ良識や倫理といったものを持ち合わせなかった。
主人公への共感は全くない。立ち上る臭いの描写、人間模様、打算、魔術的な香水の調合。世界観に引きこまれる。
パリを舞台にした小説はいくつもあるだろうが、グルヌイユの鼻を通して見るパリは違った街のように思える。卓越した嗅覚によって世界を把握する様は神の視点のようですらある。
薄暗く濃厚な小説。世界で1500万部売れたというが今年の12月も末まで全く知らなかったのは不覚だった。
中村文則の「銃」とは違い、エンディングまで文句なしの傑作。

1位
なまづま

なまづま (角川ホラー文庫)

なまづま (角川ホラー文庫)

――"生臭く、粘液に覆われて、青白い粘膜の塊であるあの生物は、下手に人間を模倣したような姿であるから醜悪極まりない"――
妻への異常な愛情といえば連想するのは新世紀エヴァンゲリオン碇ゲンドウだが、この「なまづま」の語り部である"主任"もまた妻の他に拠り所をもたない常軌を逸した愛妻家である。この"主任"もまた碇ゲンドウのように妻に先立たれている。そして、碇ゲンドウがもう一度碇ユイに会おうとしたように"主任"は愛する妻を蘇らせようとする。
腐敗臭にも似た独特のおぞましい悪臭を放つ粘液を纏うヌメリヒトモドキという生物を嫌悪しながらも、妻を蘇らせるためにヌメリヒトモドキを飼育するうちに、妻を喪い空虚になった心が愛のためかヌメリヒトモドキのためか歪んでいき……。
亡き妻への盲執とヌメリヒトモドキの研究とがぐちゃぐちゃに煮詰まっていて面白かった。今年一番の収穫。
ホラーを忌避していたが、こういったものもホラーなのか!と感銘を受けてその後の二ヶ月程角川ホラー文庫を漁るなどしてしまった。
著者2冊目となる「夜波の鳴く夏」も良作だったので、合わせて読んで頂きたい。

夜波の鳴く夏 (角川ホラー文庫)

夜波の鳴く夏 (角川ホラー文庫)

近未来風の「なまづま」に対し、こちらは大正浪漫財閥令嬢と"ぬっぺほふ"なる妖怪肉屏風の話となっている。



頑張って紹介したので図書カードを下さい。
図書カードは額面の97%くらいの値段で売っていることが多いようです。

もしくはamazonの欲しいものリストから小説を選んで買ってくれると嬉しいです。
小説じゃなくても全然構いません。
とにかく、出費に占める書籍代の割合がすげえ。


追記。
順位とか意味をなしてない……。追加で数冊。

生ける屍の死

生ける屍の死 (創元推理文庫)

生ける屍の死 (創元推理文庫)

――"「あなたが犯人ですね、アンヘラさん」"――
これが冒頭。
ウオー。それにしても、これもamazonのサムネがダサい! 今の表紙はもうちょっとかっこいい!
ブチャラティじゃないですけど、死んだ人が生き返ると言う珍現象が世界中で発生します。創元推理文庫なのでミステリです。殺されたはずの人間は生き返るし、殺しても生き返るのに殺すし、殺された奴は犯人見てないしっていう、フーダニット且つワイダニット
犯人の動機が秀逸だった。
これまで読んだミステリで、こんなに衝撃を受けた動機はなかった。革命的。
革命というか、一発勝負だけど。
発想と衝撃は「殺竜事件」のそれに近いかも。

殺竜事件 (講談社ノベルス)

殺竜事件 (講談社ノベルス)

ここで上遠野を引いてくることによってジョジョ5部繋がりで綺麗に話をたたみたい。
乞食リストに上遠野がいくつかあるので買ってくれると僕が喜びます。


眠れる美女

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

――"たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した"――
新宿紀伊國屋書店の本のまくらフェアにて購入。上の引用はその際のカバーの表記です。
眠っている女の子の口に指を入れてはいけないだなんて殺生な!
という思いで購入しましたが、レジに持って行くのが恥ずかしかった。エロ系のものが多かった気がする本のまくらフェア。
結局売り上げの一位は穂村弘の「恋愛瞳孔反射」だったのだとか。

求愛瞳孔反射 (河出文庫)

求愛瞳孔反射 (河出文庫)

獣姦爆撃! 獣姦爆撃! って連呼してる詩集ですね。本のまくらフェアに詩集がまざってるとか恐ろしい。
本当にこれが一位だったのか?と思わなくもない。在庫が一番多かったのかな
眠れる美女」は面白かったですが、本のまくらフェアの趣旨にのっとって感想は述べずにおきます。
作者もタイトルも分かってたら感想くらい他で探せるという指摘についてですが、冒頭で検索すると普通に小説がhitするので、元より趣旨を理解しようとしない人にとっては無意味なので。
来年も、本のまくらフェア第二弾とかやらないかな。