【連載アーカイブ】負けない投資家の思考法 日経マネー 2013年 6月号 TOB価格訴訟

こんにちは、ヘッタチャンです、

過去連載(日経マネー許諾済)「負けない投資家の思考法」の6回目アーカイブをアップです。
当時は合理的戦略だったTOB価格訴訟について書いています。

ここから判例が積み重なり、TOB価格訴訟投資法は完全に息の根を止められることになるのですが、それはまた別のお話。
後日談はまた別途まとめてみたいと思います。

当時の記事は以下の通りです。

前回記事を書いたのが12月、今この記事を3月に書いていますが、相場は絶好調ですね。
この間に日経平均は10,500円から12,500円と20%近く上昇、この数ヶ月で資産を大きく増やされた方も多いでしょう。

もちろん、私もこの相場で恩恵を受けていますが、この上げ相場の恩恵をまったく受けない投資に資産の一割近くを割いています。

なぜかというとその投資がまさにこの連載のテーマである「負けない投資家の思考法」の考えを現す投資だからです。要は負けてもリスクがきわめて小さく、勝てた場合のリターンが大きい投資だからなのですが。

その投資手法とはTOBの価格決定に異議申し立ての訴訟を行うというものです。

いきなり訴訟?投資じゃないのと思われた方が多いますので順を追って説明します。
まず、そもそもTOBとは「株式公開買付け」のことで、会社の株式等を「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことです。
通常、この買付価格は発表時点の株価に対して、プレミアというのを付けます。(だいだい数十%程度)。例えば、それまで100円で売買されていた株価を150円で買い取るとったものです。ですから、通常TOBをされた株主は持ち株を喜んで買付価格で企業に売却します。

みなさんが知っている会社で最近ですと、ソネットエンタテインメントソニーが、パルコをJ・フロントリテイリング(大丸松坂屋)がTOBしています。

ところがこの買付価格に、投資家が納得しないケースがあります。提案してきた買付価格が不当に安いと思われるケースです。
この場合投資家と企業で買付価格に対して相違があるので、お互いの価格の根拠を示して裁判所に判断をしてもらうことになります。

詳細はここでは説明しきれないので書きませんが、企業側は安い価格でTOBをしたいと複数の価格決定方法からなるべく算定価格が安いものを。逆に投資家は少しで高く買い取ってほしいと考えているので逆に一番高い算定方法を選んで、自分の正当性を訴え、争います。

裁判結果は神のみぞ知るですが、この投資方法の重要な点は判決結果は、企業側が勝ってもTOBの価格で買い取り、投資家側の意見が通れば安くても10%から二倍以上上乗せされた買取り価格が判決で出ることがあるという点です。

つまり、TOB価格に近い値段で銘柄を仕込むことが出来たなら、リスクは限定、リターンは青天井なのです。(といっても10倍になるようなことはありませんが)

また訴訟は大変だと思う方も多いと思いますがこういった裁判は、集団訴訟という形を取ることがほとんどです。ですので、原告として参加することを申込めば、後は弁護士に委任手続きをして、いくつかの書類を送付すれば、裁判結果まですることはあまり多くありません。

しかもその間は、投資金額に年利6%が付くこともあるのです。

今、私が投資しているのは8833東宝不動産という銘柄です。
735円というTOB価格でしたが、この値段ではPBR(純資産価値)が0.6倍と解散価値以下の金額。本来の純資産価値であれば1,500円です。しかも最近のアベノミクスでの不動産価格の上昇を見込むのであれば、2,000円でもおかしくありません。私はこの東宝不動産の展開を興味深く見守っています。

負けない投資家でありたいならば、今回のようなリスク限定でリターンが見込める案件に資産を大きめにかけるというのもひとつの手なのです。

抜粋ここまで

次回の記事で当時の判例についてアップします。