エチゼンクラゲを追って、秋の佐渡島へ



巨大なクラゲとともに泳ぐと、どんな気持ちになるのだろう。

エチゼンクラゲの海を求めて…。


褒め殺し推奨のナイスガイ、モテブロガーのid:yoghurt と共に佐渡島に渡ってまいりました!
旅の目的は、巨大なエチゼンクラゲとともに波間を漂うこと。これは俺の夢の1つでもあり、この旅の成否いかんによっては個人的なファンタジーの1つが叶えられてしまうのです。
というようなことをtwitterでさりげなく呼びかけてみたら、それを目にしたヨーグルトさんが「一緒に夢を叶えようゼ…」と俺の肩をポンと叩いてくれたので、一緒に行ってきました。なんて素晴らしい男なのだろう、彼は…。

しかし海はヤバい


上のようなヤバい魚が、目と鼻の先を泳いでいきます。

仲間が襲われました





パニック映画のモンスターのように、堂々と姿を現したコブダイ

ブゥン……。

「危ないっ!」

ギャアアアーッ!!!

本当は優しい魚です


ブレているからパニック映画さながらですが、本当はほのぼのした牧歌的な光景でした。コブダイは気が優しくて臆病であるものの、ここのは餌付けされているから人間を見つけると自分からヒュルヒュル近づいてきてくれます(ただし見た目は兇悪)。

ナポレオンフィッシュなどと同じくベラの仲間で、熱帯魚のような可愛らしい姿でメスとして生まれ、有能な個体のみが途中で性転換します。そうしてコブと顎が異常発達したオスに変わるのだそうです。テリトリー内でのランク付けと外見の美しさとが、トレードオフの関係になっている。

レンタカーでめぐるS字型の島

クラゲダイブの成否は後からご報告することにして、レンタカーでぐるりと巡った佐渡島の観光スポットをご紹介します。

大きな地図で見る
佐渡島は、アルファベットのS形をしています。SADOの頭文字を取って”S”というわけではないと思います。島を一周するとかなりの長距離になるのですが、主たる観光スポットはS字の中央で凹んだあたりに分布しているため、車を使えばそれほど時間はかかりませんでした。
レンタカーの営業所は新潟からの船が発着する両津港にも何店舗かあり、船を降りてからすぐに車に乗り換えることができます。

小木港のたらい舟




足腰のしっかりした老婆たちの漕ぐ舟が、波をちゃぷちゃぷかき分けていきます。
スピード感やカタルシスには乏しいものの、後から「たらい舟乗った?」って聞かれるに決まっているし、佐渡=たらい舟なので初めて来た人は結局みんなが乗るはめになります。




エチゼンクラゲの死骸が浮かんでいました。この湾内にまで入ってくることもままあるらしく、いやが上にも期待が高まっていきます!!

宿根木の集落


小木港の近く、石畳に覆われた情緒たっぷりの宿根木集落。

三角の土地に建てられた三角家。
ものすごく風情のある街区となっていて、こんな言い方をすると怒られるかもしれないけど横溝正史金田一シリーズの舞台に選ばれていてもおかしくありません。

宿根木公会堂の建物も、激しく離島っぽい。

世捨て小路。
名前の由来はよく分かっていないそうですが、俗世間にすっかり嫌気が差し、死滅回遊魚のように力なく流れ着いた俺たちにはぴったりの場所だったと言えます。

そこから少し脇にはずれたところに、名前も知らない花が咲き誇っていました。ヘチマ状の実みたいなのの先端からブワーッと花が滴り落ちている。なんという名前なんだろう…。

宿根木のネコ

売店の名物ネコがあくびをしていました。







すっかり囲まれてしまっているこのやる気のないネコは、周りの人たちからレオと呼ばれていました。

アン・グランパの真鯛ポワレ


バルサミコソースがけ。アットホームなフレンチのレストランで、名産品である柿を持って帰ることができるようになっていました。

金山


佐渡と言えば金山。江戸時代に掘られた坑道と明治時代に掘られた坑道があるらしく、今回は時間の都合で江戸時代に掘られたほうしか見られませんでしたが、高低差のダイナミズムを活かしたジオラマの見せ方には唸らされずにおれません!


穴倉での暮らし。こともあろうにこの薄暗い坑道の中で、金山労働者を模した人形たちが「早くここから出てェ…。おっかあに会いてェ…」みたいなことをブツブツ喋り続けていたりするので俺たちはもうずっとテンション上がりっぱなしでしたね。

金山にまつわるヤバい謎の儀式。

坑道の外では、モミジが綺麗に色づいていました。

素泊まりの宿にて

さて、島内の観光をサクッと済ませた俺たちは、バスの終電までに夜の食料と酒を買い込まなければならないという時間ギリギリのタイムアタックに挑戦するはめになりました。加藤酒蔵の金鶴や、尾畑酒造の真野鶴、逸見酒蔵の真綾(しんりょう)など、佐渡の地酒を何本か買い込みつつギリギリのタイミングでバスに乗り込みます。

灯りが少なく、7時台でもこんなに真っ暗。カメラを懐中電灯がわりに進むしかありませんでした。

チープながらも楽しい酒盛りだったのですが、お互いのブログのどこがモテないかという駄目出しをしているうちに誰も得をしない痛々しいモテ観語りが始まってしまい、お互い禍根を残す結果となってしまいました。

さて

エチゼンクラゲには、めぐり合うことができたのでしょうか…という話をこれからします。廃校を利用した、渋すぎる北小浦ダイビングセンター。ビーチへはここから5分で到着します。





ボートから2本のファンダイブ。揺れるボートのへりに腰をおろし、バックロールエントリーで着水します。ドライスーツにエアを入れ忘れたまま25メートルまで潜航してしまったせいで、水圧で締め付けられて痣ができてしまうというトラブルもありつつ。

エチゼンクラゲの破片を手にしたヨーグルト。



水底ではクラゲに会うことができず。諦めムードで安全停止。俺たちはロープに掴まって波間に揺られていました。
すると…。




……!!

佐渡を離れる


観光資源は豊富だし、景色も面白いし、海鮮は異常に美味しいし…。とても満ち足りた気分で島を離れます。心残りなのは時間の都合でトキが見れなかったことで、俺はトキに会うのを本当に楽しみにしていたのでした。

……。



買いました。