日比嘉高研究室

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最近いただいた本 3


小説の恋愛感触

小説の恋愛感触

内藤千珠子さんの新著である。現代作家の作品を中心に、作品の言葉を精読していく。キーワードは「感触」。人と人との関係や、心の肌理の、言語化できない部分をなんとか言葉にしようとする小説の表現の、そのマージナルな部分をつかみ出そうとする論考群である。論考、といったが学術論文を目指す方向ではなく、むしろ内藤さんの文章そのものも「感触」を確かめながら進んでいこうとしているような文体で、小説の言葉と、批評の言葉との拮抗を楽しむべき本だと思う。いくつか読んでみたい作家・作品も教えてもらい、感謝である。