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幻 想 の 断 片 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2011-12-28

[]ブエノスアイレス食堂(カルロス・バルマゼーダ、白水社エクス・リブリス)

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

故郷喪失者のイタリア移民の苦難の歴史と、アルゼンチン軍事政権下の悲劇が交錯し、双子の料理人が残した『指南書』の驚嘆の運命、多彩な絶品料理、猟奇的事件を濃密に物語る。「アルゼンチン・ノワール」の旗手による異色作。

マル・デル・プラタは、ブエノスアイレスの南西390kmに位置する港湾都市で、ビーチリゾートで有名だとか。このマル・デル・プラタで、イタリアからやってきたルドビーゴとルチアーノの双子のカリオストロ兄弟が始めた「ブエノスアイレス食堂」という魅惑的なレストランをめぐる何十年にもわたる年代記が描かれる。

ポルトガル語スペイン語はちっともわからないけれど、原題が「Manual Del Canibal」である時点で覚悟しておくべきだった。最初の一行からグロテスク。

セサル・ロンブローソが人間の肉をはじめて口にしたのは、生後七ヶ月のころのことだった。

……。世界一、「授乳中に読んではいけない本」だったよ……。でもグロいのはこの第一章だけで、あとはそうでもないので耐性のない方でも多分大丈夫。

一族の歴史と政治。ラテンアメリカの小説は、この二つから逃れられないらしい。ブエノスアイレス食堂を運営する者は、みな数奇な運命をたどり、命を落としていく。食堂そのものも、一度は焼き討ちにあい形を失う。しかし、カリオストロ兄弟が残した秘伝のレシピは、その後も料理の才に恵まれた後継者たちに受け継がれていく。

そしてたどり着くのが、冒頭に登場した運命のカニバリスト、セサル・ロンブローソ。彼がなにをどう「料理」していくのか、が後半の目玉である。

セサルの「料理」はともかく、そこに至るまでの垂涎のレシピの描写は本当に素晴らしい。淡々と歴史を語るような文章だが、料理に関する蘊蓄を語りだすととたんに饒舌になる。

至高のグルメと、グロテスクと。覚悟してどうぞ。

追記。伊藤聡さんが作成された年代記がとてもわかりやすい。

2011-11-21 - 空中キャンプ の記事に、図表あり。

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