2010-10-17
■[メモ]C.フッド教授の会見録
農林水産政策研究所「No.105(平成18年2月)英国における複数年度予算制度に関する調査報告(PDF:563KB)」より、NPMという言葉の生みの親であるCフッド教授の会見録部分(p.8-13)を備忘録して引用しておく。
問1 NPM の要素をどのように考えているのか。
答 New Public Management という言葉を1 つの概念としてまとめることはできないと思うが、この言葉を 最初に考えたのは確かに自分であり、1989 年*1のことであった。なぜかというと、その当時、いろいろなところでいろいろなリフォームが行われており、その中に似ている要素があったので、それを説明する言葉が必要だと思ってNewPublic Management(NPM)という言葉を作った。それまでは、サッチャーリズムと言ったり、他のリーダーの個人の名前を出したりしていたが、これは個人やその人の属している政党の考えているリフォームではなく、もっと大きな意味があると思った。それをまとめる言葉としてNew Public Management という言葉が必要であった。いろいろな国において、政府のマネージメントレベルでの変化が必要とされていた。その中で自分が一番大事だと考えているのは、マネージャーレベルの人達に決定権を与え、それによってその人達に直接結果への責任を持たせることで、これが政府のマネージメントにおける本来の目的だったはずだし、これが一番重要なことであるはずである。それに対して、しかし、どこの国もまだ完全にそういうことが行われているわけではないし、リフォームが終わったわけではないし、ましてこの国(英国)では全然終わっていないので、それがなされたかというと、難しいところがある。一番重要なのは、そういうことで、それが最終的な目的だったはずである。
ではどういうふうに発展したかというと、多くの国で、パブリックセクターの仕事に対して、(アウトカム)ターゲット(目標)を設定し、それに対してアウトプット・インディケーター(指標)を使うということが確立し、強調されるようになってきた。
もうひとつは、アメリカ、イギリス、オーストラリアにおいて、パブリックセクターのマネージャーレベルの人達の仕事をもう少しリラックスさせようとする試みがあった。すなわち、そういう人達が持っていた部下達に対する給与決定(これらの国々では、マネージャーが部下の給与を決める権限を持っていた)や仕事の管理に対するルールや責任を弱め、自身についてもターゲットに対してどのようなパフォーマンスをしたかによって判断する方法に変える方がいいのではないか、という方向でこの試みが行われた。
問2 権限委譲に一番注目したということか。
答 ひとつの研究結果として、10 年前、ドナルド・サボア教授が、サッチャー(イギリス)、レーガン(アメリカ)、マルルーニ(カナダ)という3 人の指導者の行っている政治を比べた比較論文があるが、この論文においては、「実際に業務を行う人達(マネージャー)に権限を与えるが、その責任もとらせよう」と言っている。
問3 日本では「市場原理の導入」がNPM の根幹のような議論もあるが、どう思うか。
答 この原理の使い方は一つではなく,現在は人によって様々な用い方をされているが,その主たる特徴は,公共サービスの運営方法を変革しようとする試みだと言えるだろう。これを広義に民営化やアウトソーシングとして捉える人もいるが,私個人はそれが主たる特徴だとは考えていない。
問4 各国のNPM をどうとらえているか。
答 クリストファー・ポリット(Christpher Politt)教授とギールト・ブーカールト(Geert Bouckaert)教授が、15 カ国において行われている改革を比較し、公正な見方で表している論文*2があるので、それが一番よい参考になるだろう。
今行われているビューロクラシーを変更させようというのは難しいことである。ドイツは、連邦レベルではほとんど行われていない。アメリカも、言っているほど行われているわけではなく、連邦レベルではやっていないようなものである。ニュージーランドは、基本的には80 年代に一番リフォームを行った国で、いろいろなコントロールを下のレベルの人達に渡しているが、そう言いながら権限が結構中心に残っていたりして、下のレベルの人達の権限を制限するようになっている。フランスは、ほとんどやっていない。カナダも、ほとんどやっていない。オーストラリアは、ステートレベルでもコモンウエルスレベルでも、他の国に比べればやっている。英国は、気が狂ったような激しい動きをしている。自由を与えたかと思えば、労働党政権はすぐにそれをとってしまっている。80 年代には非常に多くの努力をして、多分一番最初にパフォーマンス・メジャーを作り出した。90 年代にはエージェンシーを設定して、そこで(アウトカム)ターゲットを設定し、(アウトプット)インディケーターを作った。2000 年には、それをさらに国の省レベルに発展させている。確かにいろいろなことをやっている国である。このリフォームのインパクトがどのようなものであったかは、前述の本で見るのがよいだろう。
問5 カナダはほとんどやっていないとのことだが、もう少し詳しくお話しいただきたい。
答 行われていないと言ったのは、マネージャーレベルの変化がオーストラリアなどと比べるとほとんど行われていないからである。結構話はされており、実際に変化があったかと言えば、ほとんどなされていない。州レベルでどうかということは、自分にはよくわからない。ただ財政面の改革はめざましいものがあったと言えるだろう。
問6 NPM とは、財政改革に伴って行われている行政改革と思っているが、どうか。
答 自分の考え方は「NPM は行政改革である」というものであるが、現在はいろいろな意味をもっているので、そういう風に考える人もいるだろう。
問7 NPM はもう終わったという人もいるが、どういう状態になれば終わったと言えるのか。比較的早く改革が成し遂げられた国では、もう終わったと理解していいのか。
答 NPM の一番中心になる考え方は、Public Servant に自分達の仕事をAccountable にさせることである。それは、彼等がどのようなアウトプットを実現できるかを計る、というところにあったはずである。この視点からは、どこの国もまだ全然終わりに近づいていない。もうひとつ、マネージャーレベルの人達にもう少し決定権を与えるというのが中心的な考え方であったはずであるが、これはアメリカでは全然行われていないし、イギリスでは多少は行われているものの、制限付きになっている。こういった基本的なところで見ていけば、このリフォームはまだ終わりに近づいてはいない。
このことについて、アメリカのローレンス・ジョーンズ(Lawrence R Jones)とフレッド・トンプソン(Fred Thompson)の2 人が書いたいい資料*3がある。これは、クリントン大統領時代に国防省で行われた改革についてのものである。マネージャーレベルの人達に自由(判断権と決定権)を与え、それが実際にどのように行われたかを調べたもので、アイデアは良かったのだが、実際のプラクティスでは、これが全然なされていなかった、とのことであった。
問8 日本では「小さな政府」ということが言われているが、NPM で目指す「小さな政府」とはどのようにものと考えているか。
答 1980 年代にNPM という言葉が出てきた頃には、公共のサービスに対する財源的なプレッシャーが大きかったため、サイズを制限して構造自体をリフォームしようという動きがあったことは間違いないし、最初の頃に「小さな政府」が頭にあったことは事実である。
しかしその後、財源的なものだけに注目するのではなく、例えば、学校がどのような教育を行っているか、ヘルスサービスの効率はどうなっているのか、といったような、最終的に品質(Quality)がどうなっているのかを重要視注目するという動きが起こった。
問9「小さな政府」という考えから、政府の役割を見定め、きちんとやるべきことをやらなければならない、というようになってきた、と考えてよいか。
答 大まかに言えば、そのとおりである。最初は、財政面のプレッシャーが大きかったから、サイズを小さくするというプレッシャーがあったが、それだけではなかったのだと思う。なかったからこそ、後で品質に関しても注目が集まったということではないだろうか。品質に対するプレッシャーも強かった、ということである。その後、各国のパブリックサービスのランキングが出てきた。例えば、学校に関しては文盲率がどうかとか、プライムレート(犯罪率)はどうか、といったようなことについて、インディケーターが出来てきた。とくにここ15〜20 年は、質を高める、ということが注目され、現在では、イギリスの15 歳までの子供達が他の国の同年代の子供達に比べてどのくらいのレベルであるか、を確認するインディケーターが出てきていて、質を改善すると言うこともインターナショナルなレベルになってきている。
問10 今後の方向、目指す姿は、公の分野で官が果たすべき役割を明確にし、官がそれに向かって進んでいくため課長クラスの人が与えられた責任を果たす、ということか。
答 他に選択肢があろうか。アウトプットの標準化、すなわちアウトプットを的確に判断してもっていく、という以外に方法はない。他にあるとすれば、どういうことを行うかということに対するルールを作っていく、ということだが、それは過去にやってきたことで、それは成功しなかったことではないか。多くの国では、それが今後進んでいくべき道だとは考えないと思う。確かに、ターゲットを選定すること、アウトプットをコントロールすることは難しいことだし、そうすることによって逆にこうしたシステムを逆利用するという危険も出てくるかもしれないが、こういうシステムを発展させようとする試みが、将来的にも進歩していくということになるのではないかと自分は考えている。
問11 アウトカムではなく、アウトプットで判断するのか。
答 民主主義の世の中では、政府が政策を決める。その政策がいいのか悪いのか、その政策によって出てきたアウトカムをマネージャーレベルの人達にアカウンタブルにさせるというのは不公平(not Fair)である。ただ、マネージャーレベルの人達がそれをどう実行したのか、というアウトプットを計ることはできる。だからアウトカムではなく、アウトプットを使った。
1980 年代のニュージーランドにおけるリフォームの中では、これをはっきり区別していた。大臣にはアウトカムを、公務員にはアウトプットを用いて判断していた。
問12 日本では、どこの省庁もアウトカム志向なのだが・・・。
答 アウトカム、アウトカムと言っていると、システムの逆利用になる。アウトカムの責任を下におろすと言うことになる。同時にこれは、政治家にとっては非常にアッピールしやすくなる。
問13 英国ではサッチャー首相が「民営化」を進めたが、NPM の中で「民営化」をどのように位置付けているか。
答 英国の民営化はサッチャー首相の前から行われている。最初に行われた大々的な民営化は、1970 年代、労働党政権時代の「British Petroleum Company(BP)」の民営化だろう。その後、1980 年代に入って保守党政権となって、それを広げていき、1984 年に電話会社が民営化されたのもその1 つである。自分は、中心になるのはあくまでパブリックの中で仕事をどうコントロールするか、であって、その方法がNPM である、と考えている。NPM は「民営化」等から自由であるべきと思っているが、NPM の中に「民営化」がからんでくるのはあり得る状態だろう。
問14 NPM の中にいろいろなものを持ち込んで、それをNPM であるとして議論してきたきらいがあるが、教授の考えは違う、と理解してよいか。
答 NPM にどのようなことを持ち込もうと、それはその人の考え方である。しかしこういうことは言えると思う。どういうものを特定してアウトプットをコントロールしたいか、それを確実に見極めることが出来るのであれば、それは必ずしも公共の団体によって行われなくとも良いのではないか。
例えば、イギリス、アメリカとオーストラリアには、官営ではない私営の刑務所がある。この刑務所の所長が看守に責任を与えればアウトプットの責任をそこに置くことができる。イギリスでは、むしろ私営の刑務所がアウトプットのインディケーターを作って、それがパブリックの方にも使われている。自分の中でしっかり見極めることができるのであれば、他の人達がそれを使っていくマーケットのレベルで使っていくことはできると思う。
問15 ポストNPM という言葉があるが、どう思うか。
答 NPM は、どこの国でもまだ終っていない。例えばフランスは、昨年ようやくNPM をやろうと言って腰をあげたところである。確かにいろいろなところでポストNPM という言葉が使われているが、将来的にどうなるかと言うと、自分の考えでは、アウトプット・インディケーターから離れるということはないと思う。しかしターゲットシステムについては、いろいろと悪い面もあるので、どうなるかわからない、あるいはなくなるかもしれない。
*1:1991 年に新しい行政改革の動きをNPM という言葉で整理した同教授の論文が出されているところから、わが国では、1991 年をNPM という言葉の嚆矢としている本や論文が多いが、同教授によれば、自分が言い出したのは1989年であった、とのことであった。
*2:
Public Management Reform: A Comparative Analysis
- 作者: Christopher Pollitt,Geert Bouckaert
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*3:
- 作者: Lawrence R. Jones,Fred Thompson
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2010-03-07
■[本]読書中の本
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アフロ・ディズニー エイゼンシュテインから「オタク=黒人」まで
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ランス・アームストロング ツール・ド・フランス永遠(とこしえ)のヒーロー
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- 作者: 内田樹
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2010-02-16
■[本]読書中の本
図書館で借りて読書中。予約していたものばかりなのだが、これだけ見ると何に関心あるのか分からないなぁ。
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アメリカの医学教育:そのシステムとメカニズム―ピッツバーグ大学医学部教員日記
- 作者: 赤津晴子
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2010-01-20
■[本]「20円」で世界をつなぐ仕事
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
- 作者: 小暮真久
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2009/03/21
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はじめに 社会起業家という仕事
- テーブル・フォー・ツーの誕生と出会い
- フレームワークで「しくみ」を考える
- 「勝てるところ」を探して一番になる
- 電話・印鑑・口座…ないない尽くしのスタート
- 何もないけど、営業からはじめよう
- 「怪しい団体?」目線との戦い
- NPO認証と活動戦略の練り直し
- 他者の「色」がつかないよう細心の注意
- Purpose[目的・達成目標]〜何のための事業なのか、徹底的に考え抜く
- Partnering[提携]〜相手を見極め、長く続くよい関係を築く
- People[組織・人事]〜適切な評価と報酬、そして採用の考え方
- Promotion[宣伝・広報]〜オンリーワンの存在として認知してもらうには
- Profit[利益・成果]〜収益を上げ続け、最適な投資をする
終 章 「しくみ」と「想い」が大きなつながりをつくる
おわりに 想いはきっと社会を変える
- 小さなしくみで革命を起こす
最近食堂でTFTメニューが提供されていたため、内容については知っていたものの、それがどのような人によってどのような形で企画・立案されているのか分からなかった。本書の著者である小暮氏はそのTFTの事務局長でもあるので、どのような背景でTFTが動いているのか興味を持って手にとってみた。
ただまだTFT自体ようやく認知されてきた段階ということもあり、本書では具体的なビジネスモデルというよりも方向性やTFTにかける小暮氏の想いを主張がむしろメインテーマなのだと思う。
これまで、「仕事というのは辛いものであり、意に染まないこともやらなければならない」とされてきました。小さい頃いだいていた夢や希望も会社に入ったら再度、自分の中に閉じ込めなければならない、多くの人がそう思って働いてきたのではないでしょうか。
でも、それは本当でしょうか?小さい頃の夢や希望は、その人の一生を方向づける「想い」の根幹をなすものであるはずです。この想いを素直に生かせる仕事こそ、その人にとっての天職であるはずです。
僕自身、いくつかの仕事お色々な悩みを経て、TFTの仕事に出会いました。そして今、想いをいかにして働くことがいかに自分にとって自然で楽しいことか、それを心から味わっています。
(中略)
今はまだ微力ですが、日本ではじまったTFTがやがて各国に広がり、一大ムーブメントを引き起こす。そして世界中の人達がTFTに参加したとき、この地球上から貧困が消える。
そのときのことを想像すると、僕は胸の高まりを抑えることができず、思わず叫びだしたい気持ちにすらなります。日々こんな気持ちで望める仕事が他にあるなら、教えて欲しいくらいです。(p.16-17)
「はじめに」で書かれているこのメッセージが基本的に本書のメインメッセージであり、小暮氏の「想い」を仕事にできたことの喜びがダイレクトに伝わってきて、仕事にフラストレーションを抱えている多くの社会人にとっては何か突き動かされるものがでてくるのではないか。
同様のメッセージについて書かれた本として、
マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった
- 作者: ジョンウッド,矢羽野薫
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2007/09/21
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があるが、まず自分の経験に基づく直感的な「想い」があって、それを自分の中で熟成しているというプロセスが共通して一定期間あるようだ。その過程でとある「きっかけ」をもとに社会起業家として転身しているが、この偶然にもちかい「きっかけ」をちゃんと掴み取れるか、逃さないようにできるかが分かれ目なのだろう。それを逃さないようきちんと自分の「想い」も熟成させておかなければならない。
2009-12-29
■[本]今年の5冊
毎年恒例の記事となっているので、今年はブログはほとんど更新できなかったけれども、これだけは書き残しておこうかと。
また、内容も10冊から5冊へと縮小して選出。一応ジャンルとして、政治・行政、経済、サイエンス、人文系、その他からそれぞれ1冊という形で選んでみました。
- 政治・行政
- 作者: 今村都南雄
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2009/02/21
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本書はおそらく政治・行政専攻以外のひとはまったく関心のない本かもしれないけれども、蝋山政道という日本の行政学の先駆者がいかにして行政学をひとつの領域として体系づけていったのかが簡潔かつ叙述的にまとめられていて、政治・行政学を専攻する学部生とかにはぜひとも一度は目を通してほしい一冊。東大助手になった1920年からの研究の中で、どのように行政学と政治学を位置づけ、体系化させていこうと考えていたのか、そしてその当時の日本の政治状況をどのように捉えていたのか、本書では蝋山が書いた論文を取り上げながら、そのエッセンスを掘り起こし、蝋山の問題意識を浮かび上がらせている。ネット上には本書についての書評とかはまったくみないのだが、政治・行政関係者以外の人にとっても蝋山の生き方を知るという点でも参考になるかと思います。個人的には岩波新書あたりで一般向け用にして出版していただきたいくらいです。
- 作者: 苅部直
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/05/19
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イメージとしてはこの本の「蝋山政道」版でしょうか。
- 経済
- 作者: 山森亮
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/02/17
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経済的なトピックとしてはひとつは「ベーシック・インカム」という概念が広まった一年だったように思います。そしてそれについて勉強しようとした人の多くはベーシック・インカムの入門書として本書をまず手に取るのではないでしょうか(私自身そうだったのですが・・・)。本書は社会保障におけるベーシックインカムの考え方について、技術的な経済学的位置づけではなく、労働そのものについての考え方であるとか、その背景にある社会思想をもとに説明していて、経済学だけでなく社会思想・政治哲学の考え方も盛り込まれており、そういった観点に興味がある人のほうがむしろ楽しめるのかと思います。本書出版以降、本屋で「ベーシック・インカム」に関する本を見かける機会が増えた気がしますし、ホリエモンや東さんなどが問題提起していることもあり、2010年は本格的に日本でも議論が活性化されてくるのではないでしょうか。そういった意味で本書だけを読んでベーシック・インカムについてどうこういうことはできませんが、そのとっかかりとして本書を読んでおいて損はないはずです。
ちなみに去年の「今年の10冊」にとりあげた
福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー (有斐閣Insight)
- 作者: 宮本太郎
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2008/09/08
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の著者である宮本氏も先日出版された本の中でベーシック・インカムについて取り上げているので、こちらについてもあわせて読むと理解が深まるかと思います。
- 作者: 宮本太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/11/21
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- サイエンス
本書はサイエンス分野というよりもノンフィクション本としたほうがよいかと思いますが、とりあえずテーマからサイエンスとして位置づけました。
- 作者: サイモンシン,Simon Singh,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 文庫
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シンの著書は毎回文庫化された後に読んでいますが、今回のもおもしろくないわけがなく、理系の素養がないながらも楽しく読むことができました。科学者の苦悩や葛藤を生生しく表現するとともに、その葛藤の内容についても非常にわかりやすく説明されているので、読者も引き込まれ、サイエンスの躍動感を味わうことができるのではないでしょうか。おもしろいサイエンスノンフィクションはないかと人に聞かれたら、サイモン・シンの本を読めと答えておけばまず否定されることはないでしょうね。
そんなサイモン・シンの新著の日本語訳「代替医療のトリック」がいよいよ2010年1月に出版されるようです。これまでどおり文庫版まで果たしてまてるかどうか・・・。正直自信はありません。
- 人文系
思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ (NHKブックス別巻)
- 作者: 東浩紀,北田暁大
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2009/05
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「アーキテクチャ」としての考え方が本書に凝縮されており、これ1冊でお腹一杯になりました。書かれている論者も気鋭の若手論者がかかれており非常に勉強になるとともに、刺激を受けました。アーキテクチャとは、情報技術を用いた環境の設定を通じて、人々に一定の幅での自己決定を促す仕組みではありますが、その中でどのように人々の自発性を引き出す仕組みがつくれるのか。行動経済学の考え方なども含め、民主主義2.0につながっていく論点がちりばめられており、ベーシック・インカムとともにアーキテクチャは2009年の注目キーワードとしてはずせない概念の一つになったのではないでしょうか。
- その他
ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ 世界を変えてみたくなる留学
- 作者: 池田洋一郎
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2009/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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財務省の若手官僚である池田さんがハーバードケネディスクールでの留学時の日々についてまとめた本。自分の印象としては、
金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)
- 作者: 岩瀬大輔
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/05/08
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のMBAが公共政策大学院版になった本という印象をもった。私自身もMBAより公共政策大学院系に興味・関心がもともとあったため、本書で書かれている様々な体験談を読むことでワクワクするとともに、ここに集う世界の優秀な若者たちの問題関心であったり、モチベーションについて知ることができて、自分のモチベーションを高めたり、自分自身を改めて見直す際の「元気の源」的な本として活用させていただきました。やはり海外の厳しい環境の中でもまれるのは苦しいが、それを戦い抜くことができれば非常に大きな力となり将来の財産となることが岩瀬さんや池田さんの本を読んで改めて感じたことです。
[参考]
