カップをめぐるエトセトラ。

8月最終週の日曜日。


 ディビジョン1は,代表のスケジュールとの関係で中断期間中であります。ありますが,ノン・プロフェッショナルにとっては大きな意味を持つ日です。


 天皇杯1回戦への切符が懸かった,「カップ戦決勝」が各地で組まれていたわけです。そして,1回戦に組まれている24ゲームへと駒を進めるクラブ,チームが確定しました。ということで,今回は天皇杯の話をスポーツナビさんの記事をもとに,とりとめなく。


 フットボール・フリークとして,あくまでフラットに見るならば。


 カップ戦の魅力は,「緊張感」にあるかな,と思います。


 リーグ戦は,まさしく「ゲタを履くまで」分からないところがあります。もちろん,ひとつひとつのゲームで「勝ち点3」を奪うための100%を引き出していくことが前提ですが,他力の要素も作用します。


 対して,カップ戦は「負けたら終わり」です。カップを掲げようと思うならば,決して立ち止まれません。であれば,カップ戦初戦でしっかりと流れをつかむことが大事な要素になるか,と思うのですが,実際には初戦で思わぬ罠に嵌ることもあり得ます。いわゆる“アップセット”であり,これもまた魅力を作り出すものでしょう。特に,FAカップ天皇杯のようなオープン・トーナメントですと,アップセットの可能性は相対的に高くなるように思います。


 順当にトーナメントを駆け上がっていく,そしてそんな状態が当然だと思えるクラブと,ひとつひとつ上がっていくこと,ひとつでも多くのゲームを戦いたいと願っているクラブ,チームと。プロフェッショナルが参戦してくる3回戦,あるいは4回戦でアップセットが多いのは,恐らく意識面での違いが露になるから,なのかも知れません。もちろん,スケジュール的な問題がモチベーションに影響を及ぼしていることも見逃せるものではありません。


 ですが,犬飼会長がコメントしているように,国立霞ヶ丘で掲げられるカップは「世界への鍵」でもあるのです。あの小さなカップはアジアへの切符であり,アジアを戦い抜いた先にはFCWCへの切符も用意されています。


 プロフェッショナルにとっては,モチベーションの設定が難しかったカップ戦ですが,ACL〜FCWCという道筋が現実的な射程に収まったいまでは,シーズン終了後の“新たなチャンス”という要素もあると思います。ポテンシャルを持ったクラブにとっては,決して無視することのできないトーナメントだと思うわけです。


 “アジア”へと打って出るには,その戦いを乗り切れるだけのリソースが必要ですし,野心も必要です。このようなリソースと野心を持ったクラブは,さすがにディビジョン1に限定される,と感じます。


 対して,1回戦や2回戦を戦うクラブ,チームが抱く野心はもっとリアルなものでしょう。プロフェッショナルと対戦したい,という意識です。そして,プロフェッショナルとの「距離」を測りたいという意識ではないかな,と。


 ノン・プロフェッショナル。あえてアマチュアと書かなかったのは,プロフェッショナル・リーグを意識したクラブ,チームが増加しつつあるからです。彼らにしてみれば,プロフェッショナルとの距離をリアルなものとして体感できるのはカップ戦だけです。アップセットの源泉,と見ることもできるでしょう。


 どんなクラブ,チームがプロフェッショナルへの挑戦権を手にするのか。まずは,そんな部分を楽しみにしておこうと思います。