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higashinaoko2009-10-25

・「週刊読書人」10月30日号 吉田篤弘著『圏外へ』書評


池袋の芸術劇場へ、五反田団の芝居を観にゆきました。
今年三島由紀夫賞を受賞した前田司郎さん作・演出の「生きているものはいないのか」「生きてるものか」の二本立てを、両方観劇しました。
「生きてるものはいないのか」は再演、「生きているものか」は新作で、歌人枡野浩一さん、前田さんも出演しています。
五反田団の芝居を観るのは初めてでしたが、どちらもとてもおもしろかったです。
登場人物は違うのですが、世界はつながっているので、両方観て正解でした。
なにげない会話の微妙なずれが産むおかしさの味が、どんどん深刻になっていく状況でも吹き出してくるのは、見事なことだと思いました。
深刻になると深刻な空気にとりまとめられてしまいそうになるのだけど、そういうときにもひょろりとおかしなことはおこるもので。
怖いけれど、おだやか。ゆるやかなようでとても緻密。
そして、どちらもこのタイトルしかないな、と直線上につながるのでした。
役者さんは皆誠実で、誰もはみださず、その役柄の心変わりが巧緻に表出されていました。


てづくり感のあるシンプルな舞台と客席も好ましかったです。


それにしても急に風がつめたく、ふいに冬の中に入り込んだようでもありました。


・九州のかおりほのかな眉上げて「ずいぶん迷ってたどりついたよ」   東 直子