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yvsu pron. yas このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-10-05

IBMの問題はアメリカナイズされた老害

日本IBM周辺でトラブルが続出している。IBMの下請けとしてサブシステムの開発に携わっていたソフトウェア企業が4億円近い負債を抱え、2008年10月中にも破産手続きに入る。同社は、IBMから追加費用の支払いが行われていなかったと主張して訴訟準備に入っていたという。ほかにも、スルガ銀行ソフト開発会社など、IBMを相手取った訴訟も続発しているのだ。

日本IBMで何が起きているのか 訴訟続発に下請けとのトラブル(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

この訴訟続発を問題のように受け止めている人も多いようだけど、IBM自身にとっては、そんなに問題じゃないと思う。ユーザーの発注が確定しなくてもその先の作業を進めるために下請けに先行発注したりすることがなくなったり、不採算案件は最初からやらない、あるいは早期に手を引くことが、徹底されたからだと思うから。

これまで、日本的な空気を読むビジネスから、アメリカ的な白黒はっきりな契約ベースになったということなので、一方的に悪いことではない。

でも、契約を交わさずに口約束だけで仕事をさせて、契約してないんだから金を払わないってのは、どうかと思うけどね。


今のIBMの問題は、上流特化と徹底的なオフショア志向にあると思う。日本IBM経営が、USの意思で行われるようになってその傾向はさらに強くなったようにみえる。

上流特化と徹底的なオフショア志向は、一見、非常に合理的な考えに見えるんですよ。

自分たちは、単価の高い上流にシフトし、下流は徹底的に安いところに頼むという。

このエントリをここまで読んできた人は、IBMの選択は、極めて合理的に見えるはずです。しかし、ここに問題がある。


下流工程オフショア先に頼むということは、ドキュメントを見れば、そのままプログラムを作れるレベルまで、ドキュメントの完成度を上げなければいけません。そうじゃないと、オフショア先で作れないから。

日本でやっていれば、多少ドキュメントに不備があっても、BP(Business Partner、いわゆる下請け)のがんばり(いろいろ質問するとか)で作業を進められるけど、オフショアの場合は、ドキュメントあいまいな部分や不備があっても、質問してくることはあまりなくて、適当に作っちゃうケースも多いはず。

つまり、ドキュメントの完成度が低ければ、それに比例してプログラムの完成度も低くなるのです。


ドキュメントの完成度を上げようとすると、ほとんどプログラムを作っているつもりになって、ドキュメントを書く必要があり、プログラムを書くよりもコストがかかります。プログラム自然言語で書くのとプログラミング言語で書くのを比べると、プログラミング言語で書くほうが、書きやすいし、コンパイラなどのチェックも受けられるので、単純なミスがなくなります。

安いからといってオフショア先にプログラムを発注しているのに、実は、プログラムを書くために必要な(プログラムと一対一に対応しているような)ドキュメント(以後、プログラム設計書)を書くほうがコストがかかっているのです。

プログラム設計書の精度を下げることでコストを下げようとすると、プログラムの完成度が低くなり、プログラムを受け入れた後に、さらにコストがかかることになります。


また、プログラム設計書は、IBMの社員やBPさんが作っていると思いますが、上記で書いたようにプログラム設計書を書くのは、コストがかかるので、BPさん主体になっていくはずです。

そうすると、IBMの社員がプログラム設計書を書くスキルがなくなっていき、レビューもできなくなっていくことでしょう。レビューができないと品質の確保もできなくなります。


今は昔と違って、プログラミング言語も進んでいていろんなことができます。事前に頭の中だけで考えることには限界があります。実際に作ってみないとわからないことが多いのです。それなのに、プログラムよりも先にプログラム設計書を書くってのは無理があるのです。


なぜ、こんなことが起きるかというと、IBM上層部(今だとUS主体)がプログラミングは単純作業だと思っているからです。これは、日本SIer上層部にもいえることだけどね。

汎用機の時代は、汎用機のコストが高かったため、とりあえずソースを書いて、とりあえずコンパイルしてみるというのは、厳禁でした。コンパイルするのもコストがかかるため、必要最小限に抑えることが求められたのです。

だから、最初は、紙にソースコードを書いて、徹底的に机上デバッグしたうえで、それをプログラムを汎用機に打ち込む人(パンチャー)に渡したり、自分で打ち込んだりしました。

プログラムを打ち込むこと自体は、本当に単純作業だったのです。

その汎用機時代の経験をそのまま、現在に持ち込んでいるのが、老害たちです。現在は、プログラミング言語進化しているし、開発環境進化しています。上記で書いたように、プログラム設計書を書くのは、プログラムを書くよりもコストがかかります。なのに、汎用機時代の常識のまま、プログラムを書くことをオフショアに任せて、コストのかかるプログラム設計書を書くことを国内でやっているのです。

汎用機時代にプログラム設計書を書くことが成立したのは、汎用機のコストが高すぎて、気軽にコンパイルしてテストするよりは、プログラム設計書を書く人件費のほうが安かったためです。

詳細は、SI業界の老害が若手と下請けを蝕む理由 - yvsu pron. yasエントリを見てください。


老害に関しては、日本SIerIBMもそんなに変わらないんだけど、IBMはグローバル企業らしく、徹底的にオフショアを進めているのが悲劇の始まりです。日本BPさんなら、だめなプログラミング設計書でも、なんとかがんばろうしようとしますが、オフショア先だと、そんながんばりはしないからね。

オフショア先だとプログラミング設計書に書いていないことを実装することを求められたら、追加で費用を請求されることもあるんじゃないかな。この辺は、力関係で変わってきそうですが。


日本SIerオフショア志向を強めているところが多いと思いますが、プログラミングだけを任せるやり方は、上記で書いたようにうまくいく可能性は低いと思うよ。


「汎用機の時代遅れ常識(今と合わない常識)は捨ててしまえ」ということです。


あわせて読みたい

よかろう、ではIBMの実情について語ろう - novtan別館


追記:これは、汎用機の常識はすべて捨ててしまえということではなく、今と合わない常識は、捨ててしまえということです。

また、国内のBPさんにだめなプログラム設計書を押し付ければよいということでもありませんよ。

プログラミングできない元請けがプログラム設計書をレビューするという矛盾 - yvsu pron. yas

浜口さんに贈るSI業界を良くする方法 - yvsu pron. yas

で書いたように、日本SIerの人もきちんとプログラミングができるようになるべきだし、プログラム設計書は書く必要がないというのが私の考えです。

chung-zeechung-zee 2008/10/05 14:20 >「汎用機の時代遅れの常識(今と合わない常識)は捨ててしまえ」ということです。
こういう事云う人多いですけどどうだろうと思います。
かつての成功にしがみつく人達への懸念としてでしょうが、どのやり方が時代遅れかって検証もなしにそういう云い方すると、なんでもかんでも「そのやり方は汎用機時代のやり方だからダメだ」と云う輩が増殖してしまう気がします。
温故知新も大事です。

chung-zeechung-zee 2008/10/05 14:29 えと、懸念してるのはこの文が汎用機時代の全否定と読めてしまうのではないかってことです。部分否定ではなく。なのでここを誤解してトラバする人がでると変な動きになると思ったのでコメントしました。

takeshiketatakeshiketa 2008/10/05 14:34 仕事の進め方をそのままにしながら契約形態を変えた事による(上層部にとって想定外の)ひずみの表面化でって事なんですかね。業界的に契約慣習を変えていると聞いています。今はIBMだけですが、近い将来同業他社でも同じ問題が表に出てきてくるのではないかと。その時、ひがさんの主張が浮かび上がるのではと期待しています(遅い?)。

でも米国ではオフショアをどうやってるんですかね?言語の垣根がないからレイヤーをとっぱらって(上流下流の差なしに)参加してもらってるんですかね?

higayasuohigayasuo 2008/10/05 14:49 chung-zeeさん

今と合わない常識は捨ててしまえ
ということで、汎用機時代の常識は、
全部捨ててしまえということではありません。
あくまでも、捨てるべきなのは
今と合わない常識です。

chung-zeechung-zee 2008/10/05 15:23 そうですよね。
杞憂でした。

masayangmasayang 2008/10/05 16:34 IBM Rationalは大規模Agile(RUPをもちっとAgileよりにした感じ)とかやってますね。

BTW: 汎用機時代の常識=今と合わない常識、ですよね?

nobody.ccnobody.cc 2008/10/05 17:54 BPって何の略ですか?

onaxonax 2008/10/05 18:17 ビジネスパートナーの略やと思う。

とおりすがりとおりすがり 2008/10/05 21:16 現場仕事(この場合プログラミング?)が出来ない、日本的SIer社員(文系のこと)の問題がようやく表面化して来た,という事ではないかと思います。アメリカのSIってのは、日本とは違って、高給をとるに足る優秀さなんでしょうか。
(日本で盛んに言われるような言われるようなSIerに求められる専門知識と、プログラム的思考力というか、ITの技術力の両方を兼ね備えているという意味で)

PGギャルPGギャル 2008/10/05 21:40 横浜の天王町にビルのある、なんとかNRも、(旧称)なんとか21経由で、
中国におふしょあ、いぱーいとの噂ですよ〜 
でもー、悪しきSIerの営業としては、原価むちゃ安いのは魅力あるのね〜ん!

えーとえーと 2008/10/05 22:02 まず、報道された件は全部オフショア(GD)案件ではないため、その意味では前提が間違っています。IBMのオフショアは他社案件と比べるとまだマシなんじゃないかな・・・国内にせよ現地にせよマルチリンガルな人材が多いし、スキルもそこそこだし。

報道された件に限定すれば、グローバリゼーションの推進者を自認するIBM経営層が、日本の経営層を全てUSからのアサインメントに取り替え、経営システムそのものをUSと統合した結果、皮肉にも同一会社内の組織別ローカライゼーションが進んでしまったことにあるように思われます。つまり、ハードウェアを売る組織はUSのハードウェアを売る部門しか見ていないし、ソフトウェアもしかりだし、デリバリー(SIやアウトソーシング)までしかりになってしまった。その結果、クチではお客様第一などと言いながら各組織や各プロジェクトがアメリカナイズされたやり方(≒彼らにとってのグローバル・スタンダード)で個別に自分のビジネス目標だけを追いかけ始め、一気に破綻が来てしまったように見えます。これが膿み出しなのか、破綻への序曲なのかは分かりませんが。

ただし、デリバリーに関して『上流特化と徹底的なオフショア志向』が、成長の望めない日本市場での唯一の成長方法(USへの最大の利益還流方法)と彼らが考えている点はその通りだと思います。まだ日本IBMにおいてオフショアが何かの破綻の引き金を引いたという話は聞いたことはありませんが、今後はひがさんが述べられているような問題も顕在化してくるかもしれません。

文系IT社員文系IT社員 2008/10/06 12:44 興味深く読ませていただきました。

ひとつ質問です。

>安いからといってオフショア先にプログラムを発注しているのに、実は、プログラムを書くために必要な(プログラムと一対一に対応しているような)ドキュメント(以後、プログラム設計書)を書くほうがコストがかかっているのです。
これは(IBM Corp.に代表される)グローバルなオフショア志向に対する意見でしょうか。
それともツーカー文化でやってきた(日本IBMに代表される)日本のSIerのオフショア傾倒に対する意見でしょうか。
前者であれば「米国でも実はオフショアがかえってコスト高を招いている」というファクトがほしいですし、後者であれば「日本ではオフショア利用の前提となるドキュメンテーションコストが、米国に比べて高くつく理由」がほしいところです。

文系じゃないIT社員文系じゃないIT社員 2008/10/06 15:07 前者とか後者とか関係なくプログラムと一対一のプログラム設計書が無駄でしょ
って話でない?
まぁよくあるけど無駄だよね

trshugutrshugu 2008/10/06 15:35 天下のUSのIBMサマでもプログラムは単純作業だと思ってるのでしょうか・・・
システムの開発モデルって自動車産業とか製造業が発端だと思ったんですが違うんですかねぇ。

通りすがりの自動車業界通りすがりの自動車業界 2008/10/06 22:05 H/Wシステムとして・・・いや、摺り合わせ型の開発モデルとしては自動車業界が発端なんでしょうね、日本の場合はですが。
でもソフトウェアシステムの開発体制として進んでいるとは思えませんね。複雑な車両システムの組込みプログラミングはユニットシステムメーカの協力なしには出来ないのが多くの自動車メーカの状態ですから。

BPBP 2008/10/06 23:40 IBMではないですが最近は日本のBPにもオフショアを行うように求められてます

trshugutrshugu 2008/10/07 10:19 >通りすがりの自動車業界さん
わざわざありがとうございます。
やはりそちらの業界のほうがいろんな面で優れているのでしょうね泣

なまえなまえ 2008/10/07 12:48 日本で2000人規模のリストラが始まるそうです。もちろん公表はされません。

通りすがりの自動車業通りすがりの自動車業 2008/10/07 22:01 >trshuguさん
いえ、その後段の方を注視していただきたいです(汗)。
自動車も最近は特に制御ソフト開発の比重が急激に高まっていてその中では従来のH/Wをすり合わせるような開発モデルでは対応できないシーンも多いのです。
自動車業界のソフトウェア開発方式に関してはもう一度開発モデルを見直す必要があると(私は)考えています。
その中ではむしろライフサイクルの早いWeb開発の現場などにヒントが転がってないかなぁ・・・、いや、転がっていてほしいなぁ・・・と思っていたり。

PGギャルPGギャル 2008/10/08 13:01 ひがさま、ちなみに、

>でも、契約を交わさずに口約束だけで仕事をさせて、
>契約してないんだから
>金を払わないってのは、どうかと思うけどね。

とありますが、契約の概念上

 「契約書を作ってないから契約してない」

ということは、アリエナーイ!話でして、
たとえば、IBMの社員が下請けに

  「これこれ、こういうものを作ってよ。お金はこのぐらいで」

みたいなメールを送って、それに対して下請けの営業が

  「はい わかりました」

的な了解のメールを送ったら、発注の意思表示が到達したと見なされ
契約があったと、民法においては看做されるはずです。

全然関係ない話ですが、ひがさま、アテクシいま
金持ち父さんシリーズの「起業する前に読む本」を
読んでいるのですが、ビジネスをやるときのスキームとして
<BIトライアングル>というが出てくるんですが、
ここでも製品を支えるものとして、法律が出てきます。

なので、将来、Seasarのプロダクト群でご起業なさる前に、
法律にも多少通じられるとよろしいかと存じます。

しかし、

 「契約書作ってないから契約してない。だから金なんか払わねえよ、バーカ」

なんていいがかりを、天下のIBMがホントに
言ってるんでしょうかねえ・・・・
ほんとなら世も末っちゅうか・・・笑

いくらアテクシの勤務する会社が、日本の情報通信の既得権を支配する
巨大電話会社を親会社とする、悪の枢軸たる巨大SIerであって、
iSiD殿にも無理難題フッカケてるのだとしても、ここまでヤクザなことは
言いますまい・・・

ということで、日本IBMと付き合いたくなくなった中小SI会社の
みなさまは、豊洲にぜひおいで下さい!(=´ー`)ノ ヨロシク〜

kkotyykkotyy 2008/10/22 00:07 最近うちの会社でも、どこにでも出せるように仕様書を実装レベルまで書けという話がでているけど、やっていて「ここまで書くならプログラム書いてるのと同じじゃね?」と思ってしまう。

なんというばかばかしさ。

どこか間違っている。何を変えればいいんだろうねぇ。

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