リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『アベンジャーズ』を見た。

これが映画だあッッ!!


『アイアンマン』『ソー』『キャプテン・アメリカ』などマーベル社のアメコミヒーローが勢揃い!まさに盆と正月がいっぺんにやってきたようなお祭り映画ですね。


世界を破壊する力を持つ四次元キューブ、その調査を極秘に行っていたシールド(国際平和維持組織)に侵入者が現れた。神々の国アスガルドから追放された邪神ロキ(トム・ヒドルストン)だ。復讐心から地球の征服をもくろむ彼はシールドのエージェント・ホークアイ(ジェレミー・レナー)や科学者のセルヴィグ教授(ステラン・スカルスガルド)を操り四次元キューブを強奪。地球滅亡が目前に迫った今、シールドの長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は強大な力を持つヒーロー集団‘アベンジャーズ’の結成を決断。しかし、彼らは強大過ぎて一つにまとまるような力ではなかった。そんな中、ロキは何者かと手を組み地球侵略計画を着々と進めていた・・・

アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルクという単独の看板作品を持つ4人にホークアイとブラック・ウィドウ、そしていままであまり活躍のなかったシールド長官のニック・フューリーにエージェントのコールソン、そして敵であるロキと、多くのキャラクターが登場する本作はまさにお祭り。夢のビッグプロジェクトと言ったところであると思うけれど、一歩間違えれば単にゴチャゴチャ、メチャクチャの映画になってしまう。それこそハリウッド大作に対していわれがちな、映像だけで中身がない映画と(こういうことを言う人は大して映画を見ていなかったりするのだが)、そういう風になりかねなかっただろう。



で、本作だがこれがまさに脚本の勝利と言う感じであった。個性豊かでパワーのバランスもてんで違うキャラクターたちにはそれぞれにしっかり見せ場が用意されており、しかも彼らの強烈すぎる個性はお互いをつぶすことなく、組み合わせることでむしろ魅力を増幅させてまでいるのだ。こりゃあもう凄いとしか言いようがない。人物全員の魅力を、個性をゆがませることなく物語の流れの中で自然に描いているという点で、もうこの映画は勝利したと言っていいんじゃないか。



そして後半にはそのキャラクターたちがまさしくスクリーン狭しと大暴れするのだから痛快でないわけはない。アイアンマンが男の子心を爆発させるギミックを発動させ、ソーが雷を降らせばキャプテン・アメリカはその高潔な精神とリーダシップを発揮する。『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスばりの弓技と仕掛け矢を使うホークアイと、身体性を生かしたアクションを見せるブラック・ウィドウも普通の人間でありながら適材適所で大活躍。ハルクはスマッシュ!もうとにかく興奮の連続で、特に素晴らしいのは全ヒーローの活躍をワンカットで追っていくシーン!これは「共闘」って感じがするシーンでホントにすごい!大興奮ですよ!


さらに戦争のようなアクションシーンにおいてもギャグをふんだんに盛り込んでおり、それが邪魔になっていないというのも良いところ。これが気持ちいいんですね。いやあ楽しい楽しい。ホントに楽しいという言葉がぴったりの映画だと思います。敢えて文句を言うなら、ロキたんは最高なんだけど敵のチタウリがちょっとダサイというか、もうちょっと存在感あれよと思ったところかな。



ちなみに個人的には雷神ソーが一番好きなんですねえ。敵が敵だけに前作に比べるとバ神様っぷりがマシになっているのでさみしい気もするけど、相変わらずの豪快さと素直さを見せてくれます。雷とともにやってくる!弟に説教!でも邪魔される!やったなこの野郎!話なんて聞いてられっか!素晴らしいですね。なんかソーは犬っぽいんですよ。そこが好き。
武器がハンマーというのもいい感じだ。あれグリングリン回したいし、ボコボコ殴るのも楽しそうである。それとおもしろかったのはメンバーが仲間割れ寸前にまで達したシーンだ。その時に彼は「人間は所詮この程度か」と言うのだけれど、前作を知る身からすれば「お前には言われたくない」と誰もが思うところであろう。それとロキの悪口を言われたときに怒るシーンも爆笑でしたね。

ブラックウィドウの活躍も忘れ難い。まあ単に僕がスカーレット・ヨハンソン好きと言うのもありますが、とにかくおっぱいがプルプルだし、椅子に座ってのアクションはかっこいいし、太ももに挟まれて窒息したいし、おっぱいはプルプルだ。


とまあこのように本作はいわゆる‘推しメン’がいるとさらに楽しめることは間違いないと思う。すでに書いたように全ヒーローにしっかり見せ場が用意されているので、どのキャラが好きでも盛り上がれることは間違いないし、人によっていろいろ好みは分かれると思うので、ぜひ自分の好きなヒーローのコスプレとかでもして劇場に駆けつけたいとろだ。もちろん箱押しも十分にあり得るだろうし、今作を見て推し変する人もいるかもしれない。過去作を見たことない人なら新規ファンとしてこれから応援していくひともいるだろう。アイドルの応援みたいだが、なんとなく本作はそんな感じの映画だったんじゃないか。



さて、物語の方はというと、参考にしたという『七人の侍』のように仲間集めから内部分裂、そして団結。最終決戦へ。というラストに向けて十分な御膳立てをする感じで、非常に素直だという印象を受ける。ただ序盤から中盤は派手な見せ場をふんだんに入れるという感じではなく会話で見せており、若干退屈かと思われる部分もあるもしれない。

しかしだ、仲間集めってなんかワクワクするしカッコいいじゃん?それにところどころ入るギャグは最高だし(なんであそこでゲームやってるんだよ!)、何より集まったヒーローたちのあれこれいざこざキャッキャウフフなやりとりを見ているだけで十分面白かった。それにすべての‘ファン’もしくは‘オタク’と言われる人たちを代表するキャラクター、コールソンにもグッと来ずにいられない。ツボはしっかり押さえているといえるだろう。エンドロール後のアレもにやにやが止まらなかった。



というわけで、もうこれ以上は別に何も望まないよというくらい、こちらの要望に応えている映画なんじゃないでしょうか。ド派手でユーモラスでアツい、まさに映画館で見るべき作品。正直これがあるとこれからの各続編はかなりハードルも上がるので苦しいような気もするけど、とりあえずはこの祭りを楽しむとしましょう。しかし2008年から温めてのこの大作。ハリウッドさすがだなあと思あざるを得ないところですね。

七人の侍 [Blu-ray]

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