日本近現代史と戦争を研究する このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-08-15

[]なぜ満洲の主要都市を占領するか

1931年9月以降、柳条湖事件を起した関東軍は、独立国家樹立に向けて次々と満洲の主要都市を占領していった。各都市の占領はどのように理由づけられたか。32年9月、関東軍司令官を務めた本庄繁の、天皇への上奏から簡潔にまとめると、以下のようになる。

(小林龍夫・島田俊彦・稲葉正夫編『現代史資料 11 続・満州事変みすず書房、1965年、851-852頁)


奉天長春・営口・鳳凰城】1931.9

満鉄を保護し、沿線在留帝国臣民を保護するため

吉林】同上

満鉄右側面の脅威を除去するため

チチハル】 1931.11

鉄道橋が破壊されたので修復しようとしたら黒竜江省軍から不法な攻撃を受けたので、攻勢に転じた

【錦州】1932.1

旧東北政権が根拠を構え南満一帯の擾乱を策すため

【ハルピン】1932.2

吉林軍が情勢安定のため行動しているのに、反吉林軍がそれを阻み、ハルピン在留帝国臣民が危険となったため


危機にある居留民保護が理由とされるが、居留民を引揚げさせるという方法もあった。実際、当初事態拡大に消極的だった陸軍中央は、ハルピンに派兵するよりは居留民の引揚げを望んだ。結局、9月のハルピン派兵は見送りになったが、以下の史料は、消極的な陸軍中央に対して、関東軍の強硬さがよく表われている。


関東軍参謀部総務課・片倉衷「満洲事変機密政略日誌」9月24日条

然るに午後に至り参謀総長より五七電を以て哈市に対しては事態急変するも出発せず、次で陸軍大臣より陸満一七を以て哈市居留民の現地保護は之を行はず要すれば在留民を引揚げ派兵せざる旨去二十二日総理より上奏せる旨来電あり、更に大臣より陸満二〇電を以て間島の情況仮令悪化せる場合に於ても事態拡大防止の為には軍隊の力に拠ることなく警察官をして之に応ずることに決定しある旨の電報に接す。

 噫 政府の真意那辺に在るや、陸軍大臣は何故政府と正面衝突を敢行するの決意を以て当らざるや、今や「断」の一字の外時局を収拾する何者をも存せず、幕僚間或は憤慨し或は嘆息し軍司令官又沈痛の体なり。

(小林龍夫・島田俊彦編『現代史資料 7 満州事変』みすず書房、1964年、191頁)

2011-08-05

[]「満人」軍警による対日人暴行事件

「満人」は、ただ虐げられるばかりの存在ではなかった。「満人」軍警による対日人暴行事件が発生している。以下は、その一例である。「満人」軍警は武力を有しているから、ふつうの「満人」とは違い、一般の日本人に不平不満をぶつける力があり、気持ちでも負けないところがあった。

事件は、1943年1月10日に起った。被害者は、熱河蛍石株式会社自転車運転手の伊勢間松五郎、加害者は、熱河省隆化県馬虎営馬虎警察分駐所の許警士ほか6名である(以下は、吉林省檔案館, 廣西師範大學出版社編『日本関東憲兵隊報告集(第一輯)』7、廣西師範大學出版社、2005年、239-240頁による)。

被害者カ木炭ヲ自動車ニテ運搬シ来リタルヲ目撃セル加害者許警士ハ之カ一部ヲ無断ニテ持去ラントシタルヲ以テ伊勢間カ之ヲ制止セルモ肯セサルタメ立腹ノ余リ許警士ノ顔面二拳ノ一撃ヲ加ヘタリ

運搬していた木炭を許警士が勝手に持っていこうとしたので、伊勢間が許警士を殴った。伊勢間が警官相手に殴れるのも、相手が「満人」だからであろう。ともかく許警士が木炭を盗もうとしたことが事件の発端となった。

而シテ其場ハ何等問題ノ拡大スルコトナク解決セルモ右伊勢間ノ許警士殴打ヲ聞知セル同分駐所張警長ノ妻カ「警察官タルモノカ例ヘ相手カ日本人テアツテモ殴打セラレテ黙ツテ居テハ面子没有ナリ」云々ト洩シ許警士ヲ仄カシタルヲ以テ

そのまま解決すると思われた事件は、張警長の妻の登場で状況が変わる。彼女は「警官の面子まる潰れだ」と言った。ねちねち言ったのか、さらっと言ったのか。許警士は、警長の妻に格好いいところをみせようとしたのか、あるいはその言葉に憤慨したか。

許警士ハ直ニ事務所ニ伊勢間ヲ訪レタル処伊勢間ハ許警士ニ対シ「オ前ハ悪イコトヲシタノテアルカラ警務科ニ送致スル」云々ト洩シタルニ因リ両者間ニ論争ヲ生シタリ

然ルニ之ヲ窓外ヨリ目撃シアリタル加害者警士王横譯外四名ハ事務所ニ乱入シ事務所ニ居合セタル日系事務員二名ヲ室外ニ押出シ伊勢間ニ対シ応援ヲ不能ナラシメルト共ニ「打死没関係」ヲ叫ヒ棍棒ヲ以テ伊勢間ノ頭部及腰部ヲ殴打セルモ伊勢間ノ抵抗ナキト前記張警長ノ妻等ノ仲裁ニ依リ鎮静セリ

許警士は、仲間を連れて伊勢間の事務所に乗り込み、伊勢間を棍棒で殴打する。仲裁に入った警長の妻のほくそ笑む顔が、目に浮かびそうだ。

2011-08-04

[]三江省鶴岡炭鉱苦力強制募集

三江省鶴岡炭鉱ニ於テハ十一月以降二回ニ亘リ苦力募集ノタメ職員ヲ洮南県城ニ派遣シ募集ヲ開始シタルモ目的ヲ達セサリシ為満警ノ協力ヲ得強制募集ノ結果■定人員二百名中百四十名ヲ得■■内十五名ハ同行ヲ拒ミ迯走

吉林省檔案館, 廣西師範大學出版社編『日本関東憲兵隊報告集(第一輯)』6、廣西師範大學出版社、2005年、398頁)

1940年12月分の通化憲兵隊の報告である。苦力(単純労働者)の強制募集について、こんなに簡単に出てくるのかと、報告集のページをめくっていて正直おどろいた。

戦争遂行のため資源増産は日本の至上命題であった。植民地への要求も苛烈となる。炭礦労働者が集まらないから、警察と協力して強制募集したのだという。憲兵隊もそこに一枚噛んでいるということか。報告しているということは、そういうことなのだろう。強制募集の具体的な内容はわからないが、労働力になりそうな者を力で無理矢理捕まえて連れていったということではないだろう。おそらく陰に陽に圧力をかけて集めたということなのだろう。

2011-08-03

[]「満人なんか…」

満洲も暮しよいです

満人なんか内地人にはびく\/して居ます

そこをつけ込んで私達なんかも満人を屁とも思つて居りません嫌な奴と思つたら頭から怒鳴つてやります とても面白いです

買物などでも無茶苦茶に値切つて買つて来ます 値切れば幾らでも値切れるよ

吉林省檔案館, 廣西師範大學出版社編『日本関東憲兵隊報告集(第一輯)』8、廣西師範大學出版社、2005年、456頁)

ふつうの一庶民の書いた、差別意識ばりばりの手紙の内容が、名前と住所とともに史料として残ってしまっている。1942年10月15日の手紙である。通信を検閲していた関東憲兵隊隷下の東寧憲兵隊がこの手紙を没収し、記録していた。本人は何気なく書いたつもりでも、70年後の今日まで残り、出版された史料集に収録されて、みんなが見れるようになってしまった。

日本の敗戦により、地中に埋められたはずの関東憲兵隊の報告書類が発見・掘りおこされ、出版される事実に、業の深さを感じる。

2011-07-27

[]史料としての日記について

日記の書き手は、まことにわがままに書く。その結果はいちじるしく反=日本語的な文章になる。日記の文章の、この文章規範を無視した日本語の面白さこそ、じつはいちばん読んでいただきたいところなのである。

(10頁)

ヨーロッパの日記を研究して大部の本を書いたグスタフ・ルネ・ホッケはこう言っている。「日記を読むことは、混乱を我慢することだ」。すっきり筋道だった書き方をしている日記なんてない。

(11-12頁)


鴨下信一『面白すぎる日記たち』(文春新書042、1999)からの引用である。史料をパズルのピースに例えれば、そのピースは大体、いびつな形をしているのが普通である。きれいな形をしていないからといって、即、偽造されたものと考えるわけにはいかない。

またパズルのピースが全部そろっているわけでもない。数が足りず、しかも、いびつなピースによって、歴史にアプローチしなければならないのである。

日記の場合、とりあえずは自分だけが読めればいいわけだから、誤字・脱字も気にしないで書くし、略字や自分だけの言葉で書くこともあるのが普通だろう。

史料内容の分析に入るのは、この基本事項を踏まえてからの話である。

2011-02-11

[]両院協議会で妥協案成立

両院協議会で妥協案が成立した。同案は上院および下院において承認され、大統領の裁可によって法律となった。常備兵数は平時17万、義勇兵条項は削除、硝石製造所設立、連邦所管州兵約42万新設である。


「上院ニ於テ修正セラレタル『ヘー』氏陸軍拡張法案送付ノ件」珍田大使より石井外相宛、1916.5.12 JACAR:B03050819400 15/23

  • 「『ヘー』氏陸軍拡張法案ハ多少ノ修正ヲ経タル後三月廿三日下院ヲ通過シタル所上院ニ於テハ之二対シ『チエンバレーン」案ヲ加味シタル多大ノ修正ヲ施シタル後四月十七日之ヲ可決致候処下院ニ於テハ此上院ノ修正ニ同意セス結局両院協議会ノ議ニ附セラレタルモ両院各自説ヲ固守シ今尚協議纏マラサルノ状況ニ有之候」

New York Times - May 13, 1916 ARMY BILL AGREEMENT IS EXPECTED TODAY

  • 上院および下院協議委員は合意間近である。二点を除いてすべて調整できたと考えられる。12日午後、合意を具現化する法案の印刷が指示され、翌日、完全な合意がなされることが望まれている。
  • 常備軍に関して上院案が採用されたようで、これは国防力を向上させる大きな一歩となるとみられる。義勇兵部隊に関しては、州兵の地位を弱めかねないものを良しとしない下院の反対に直面し、削除されるであろう。下院の州兵連邦所管化については、承認されるであろう。州兵は40万まで増大され、参謀部に代表者を送ることとなる。
  • 17万5000が有効な最小限の戦力となり、上院案の下で大統領が平時でもこの戦力を約21万8000まで増加を命令し得ることはほぼ確実である。おそらく念入りにプラッツバーグ試験のような全国レベルに拡大する条項が盛り込まれよう。
  • 上院案の硝石製造所設立条項に対する下院の修正が承認されている。
  • チェンバレン議員は、明日、合意がなるだろうと述べた。

New York Times - May 17, 1916 211000 REGULARS IN NEW PEACE ARMY

  • チェンバレン議員は、義勇兵に関する上院案の規程を保持できない無力さを強調した。来たる数年間、州兵はその支持者の予測と合うかどうか試されることとなる。州兵がその価値を証明しない限り、義勇兵や大陸軍計画のような案が多大な期待をもって盛り返すのは明白である。
  • ヘイ議員は、チェンバレンが大規模陸軍主張者が勝利を主張できるよう、認められた以上に国防力の拡張を示そうとしていると述べた。チェンバレン議員は、ヘイが小規模陸軍主張者に同じ事をしようとしていると述べた。
  • 両院協議会が44万人プラス将校と規定しているとのチェンバレンの主張は誤りである。実際には、42万8000プラス将校である。最大数に達するにしても五年後であることを銘記しなければならない。もしヨーロッパの戦争が終了し、この国の状況が平常に戻ったら、議会は五年を経る前にその規定を廃止し、現状の兵力に戻すことができる、とヘイは述べる。
  • チェンバレン議員の声明によると、常備軍の増加は以下の通り。歩兵34個連隊、騎兵10個連隊、砲兵15個連隊、工兵5個連隊、馬上工兵2個大隊、沿岸砲兵93個中隊、8個飛行中隊。
  • また平時常備軍の上限は、将校約1万1000、兵17万5000、それに加えて信号兵、兵站部隊、衛生部、フィリピン部隊、unassigned recruitsで、総計将校1万1000、兵20万となる。
  • 義勇兵を規定するいわゆる上院案第56条は、協議会案には含まれない。同条に関して下院は激しく反対しており、案に含めないことが決まった。そこには、訓練部隊に関する規程が書き込まれ、下院あるいは上院の提案以上に拡大された規定となった。それは、州兵に加入していない者の訓練も規定している。
  • 州兵に関しては実質、下院案あるいは上院案と変わりはない。州兵は将校約1万7000、兵44万となる。
  • 硝石製造所に関する上院案の規定は、下院によって修正され、法案に書き込まれた。

「第二四三号」珍田大使より石井外相宛、1916.5.22 JACAR:B03050819400  13/23

  • 「往電第六四号ニ関シ其後上院通過ノ修正Chamberlain案(常備軍二十五万)ト下院通過ノHay案(十四万)両院協議会ニ於テ折衷ノ結果常備軍十七万五千ノ協議会報告案成立上院ハ去ル十七日同報告案ヲ決シ下院モ亦二十日二四九対二五ニテ之ヲ決セリ委細郵便」

「米国陸軍拡張法ノ成立」珍田大使より石井外相宛、1916.6.24 JACAR:B03050819800 19/34

  • 「斯クテ両院協議会ヲ開催シテ討議スル所アリシカ両者各々自説ヲ固守シテ互ニ相下ラス遂ニ五月五日同協議会ハ協議纏マラサル旨ノ協議会報告書ヲ両院ニ提出スルニ至リシモ上下両院協議委員ハ五月十日ヨリ再ヒ同協議会ヲ開キ討議互譲ノ結果漸ク両案ノ間ニ妥協ヲ見ルニ至リ両院協議委員案ハ五月十六日協議会ニ於テ決定セシ妥協案ヲ各自本院ニ報告スル所アリタリ」

「米国陸軍拡張法ノ成立」(大5.6.24報告)『外事彙報』第8号、大5.8.15 JACAR:B02130390100

  • 下院を通過したヘイ案は、同院軍事委員会原案と比較すると、二点の修正を経ている。第1に、召募兵は現役一箇年で予備役編入を可としたこと、第2に、硝石製造所設立の削除である。
  • 「四月十八日本案(引用者注―上院チェンバレン案)討議最終日ニ至リ『コネチカット』州選出共和党員『ブランデイジー』(Frank Bosworth Brandegee)ノ提出ニ係ル正規常備軍二十五万トナスノ修正案ヲ四三対三七票ヲ以テ可決」
  • 下院通過案と上院通過案の主要な差異は、第1に常備兵数(下院14万、上院25万)、第2に上院通過案第56条の常備義勇兵制度新設、第3に上院通過案における硝石製造所設立条項である。
  • 両院協議会の下院側協議委員は、ヘイ、デント(民主党・アラバマ)、カーン(共和党・カリフォルニア)、上院側協議委員はチェンバレン、ベッカム(民主党・ケンタッキー)、ブルーサール(民主党・ルイジアナ)、デュー・ポント(共和党・デラウェア)、ワーレン(共和党・ワイオミング)。
  • 両院協議会における妥協により、第1に、常備兵数を平時17万とすること、第2に、上院案第56条常備義勇兵条項を削除、第3に、硝石製造所設立に関してヘイ原案を復活、第4に、連邦所管州兵約42万を向う5年以内に新設することとなった。
  • 両院協議会案は、上院では5月17日、記名投票に問うことなく承認、下院では、共和党側に常備兵数増加に飽き足らない議員もいたが、20日351対25票で承認。6月3日、大統領が裁可し、法律となった。

2011-01-29

[]上院チェンバレン法案VS下院ヘイ法案

陸軍再編に関する議会の議論は上院案と下院案の対立に至った。両案は州兵の連邦所管化の点では一致していたが、常備兵力数については大きな懸隔があった。また上院案ではガリソン元長官案同様の連邦義勇兵創設が盛り込まれていた。なお、チェンバレン宿案の軍事訓練義務化は、このときは法案にまだ含まれていない。結局、両院協議会が開かれ、妥協案が模索されていく。


Milwaukee Journal - Mar 4, 1916 ARMY BILL NOW BEFORE SENATE

  • 4日、上院陸軍法案が、チェンバレン委員長によって提案された。同法案は、平時の常備軍を17万8000に増加すること、州兵を連邦管轄化し平時戦力21万7000とすること、ガリソン元陸軍長官案同様、連邦義勇兵部隊を創設すること、常備兵および州兵の現役期間短期化により十分な予備役制度を確立すること、工兵、軍医、技術者ほかすべての文民的補助者の予備を拡大すること、予備士官部隊を確立することを規定する。
  • 戦時の新軍は、歩兵64個連隊(7個師団を編制)、騎兵25個連隊(2個師団を編制。残りは歩兵師団に付属)、砲兵21個連隊、工兵7個連隊からなる。パナマ、ハワイ、フィリピンには、適切な守備隊が置かれる。本土には四個歩兵師団および二個騎兵師団が置かれる。
  • また下院議員選挙区ごとに義勇兵部隊が設立される。同部隊は、連邦の部隊となり、知事の管轄とはならない。

Evening Tribune - Mar 5, 1916 NEW BILL REPORTED IN THE SENATE

  • チェンバレン法案は以下のように常備軍の増加を規定する。歩兵は、現行31個連隊から64個連隊へ、約8万5000人。騎兵は、15個連隊から25個連隊へ、2万5000人。砲兵は、6個連隊から21個連隊へ、1万7500人。沿岸砲兵は、170個中隊から263個中隊へ、2万3600人。工兵は、2個大隊から7個連隊へ、5300人。衛生および兵站部隊は、10%に増加し、それぞれ7000人となる。信号部は8380人に、施設分遣隊は、2800人となる。
  • 常備軍の服務は7年で、現役4年、予備役3年となる。

New York Times March 5, 1916 178,000, ARMY BILL OFFERED IN SENATE

  • チェンバレン法案の規定では、予備士官候補部隊が、民間教育施設の陸軍士官が指導する軍事課程の下に置かれる。シニア部隊は大学、ジュニア部隊は、高校に置かれる。前者では週5時間、後者では週3時間が軍事訓練に当てられる。夏季キャンプが政府により開催される。卒業生が予備士官に任用される規則は、大統領権限に属する。任用は21歳以上で、10年間の服務を義務とする。最大数は、5万。
  • 委員会は、各方面からの要求に合うように、大統領に最大限の自由を委ねたが、同法案は、事実上、大陸軍計画である。委員会は、ガリソン長官の大陸軍計画が、各所で厳格すぎたと考えている。
  • 法案は州兵の連邦所管化を採用したが、州兵協会案に非常に多くの修正がなされている。入隊者は、常備軍の4分の1の給与を受けとり、戦時には合衆国に服務することを約する。入隊期間は6年で、現役3年、予備役3年である。
  • 両院協議会開催に到ったとき、州兵に関する規定は、下院案によって置き換えられるであろう。上院軍事委員会は、常備軍に重点を置いており、一方、下院は州兵連邦所管化に主眼を置いている。

Middletown News-Signal - Mar 6, 1916 HAY DEFENSE BILL BEFORE THE HOUSE

  • 6日、ヘイ法案が下院に報告された。ヘイ法案は、上院軍事委員会で実質的に承認されたチェンバレン法案の後を追っている。

New York Times March 17, 1916 ARMY INCREASE BILL BEFORE HOUSE TODAY

  • 両院の案で第一に重要なのは、州兵連邦所管化が最大限度まで達成された後の連邦義勇兵部隊の創設規定であると陸軍士官たちは断言する。下院案は、夏季キャンプ計画の拡大により、平時に大規模な市民軍創設を打ち出そうとする。上院案は、直接、大統領に各下院議員選挙区ごとに連隊を創設する広範な権限を付与する。
  • 両案の詳細は、続いて出されるであろう陸軍充当法案に引き継がれる。しかし両案とも、平時における市民軍養成の可能性を探る全くの試金石となっている。
  • 両案は、州兵連邦所管化の規定で若干相違する。下院案は州兵の最小を40万とし、一方上院案は25万とする。
  • 両案とも、徴募を奨励するための常備軍入隊期間の短期化、常備軍、州兵ともに十分な予備役を備えること、徴募の体系化、予備士官・州兵・士官候補生・連邦義勇兵を訓練する士官の追加を規定している。

Pittsburgh Press - Mar 19, 1916 Compromise Army Bill Is Prospect

  • 下院はおそらく来週、常備軍を14万人とするヘイ法案を承認するであろう。上院はおそらく、常備軍を25万4000とするチェンバレン法案を承認する。両院協議会が必要となり、妥協案が打ち出されるであろう。
  • ヘイは、大統領は州兵連邦所管化によって十分な訓練された予備部隊が得られると考えた。その結果、ガリソン前陸軍長官の大陸軍計画を破棄しようとしたと述べた。
  • しかしウィルソン大統領は、今夜明らかになったが、ヘイ法案への態度を言明していない。彼は提案をある程度、支持したが、むしろ上院のチェンバレン法案をより良いと思っていることを示唆している。大統領に近い者の言では、彼は両院協議会で満足いく案が出されることを望んでいるとされる。

Meriden Daily Journal - Mar 21, 1916 Hay Army Bill Approval Will End In Clash

  • 大統領は下院法案の基本方針を支持することがわかった。ヘイ法案は実現可能だが、チェンバレン法案はそうではないと確信していると言われている。
  • 参謀部が上院案を支持するのは、現行の給与制度の下では徴募が不可能であることがすぐ判明することとなり、それが強制的義務制度への道を開くこととなると信じているからであるとする情報がホワイトハウスに伝わっている。

Meriden Daily Journal - Mar 21, 1916 KAHN AMENDMENT TO HAY ARMY BILL PASSES THE HOUSE

  • 21日、ヘイ議員からの反対もなく、また議論なしに、大統領に随時、新法の下で4年で創設される6万の予備役を召集できる権限を付与するヘイ法案の修正が下院で承認された。

「第六〇号」珍田大使より石井外相宛、1916.3.22 JACAR:B03050817800 48/50

  • 「villa賊事件突発ヲ機トシテ大統領カ国防問題ノ迅速審議ヲ促シタルタメニヤ下院ハ三月十六日討議十時間ニ制限ノ議事規定ヲ可決三月十七日ヨリ大体大統領ノ賛認ヲ得タルモノナリト了解セラルル常備軍ヲ十四万トナス下院陸軍委員長Hay案ニ付キ全院委員会ノ討議開始セラレタルカ三月二十日先任共和党陸軍委員Kahnノ常備軍二十二万ノ修正動議ハ百八十三対百〇三ニテ又共和党議員Cragoノ右十四万以外短期兵六万ヲ置キ得ヘキ修正動議ハ百三十四対八十二ニテ何レモ否決サレタリ右ハ主トシテ共和党側ノ主張セル陸軍大拡張説ノ敗北ト見做サレ居レリ」

The Ingomar Index - Mar 23, 1916 BILL IN SENATE PROPOSES ARMY OF 800,000 MEN

  • 戦時戦力を80万人とする改訂チェンバレン法案が上院に報告された。これは提案されている法案の中で最大の戦力である。
  • ヘイは連邦予備役に反対し、州兵連邦所管化を企図する。チェンバレンは連邦予備役を主張し、州兵を厳格な連邦管轄下に置こうとする。チェンバレン法案では、常備兵の服役は6年である。しかし1年ごとに試験され、熟練者は残りの期間を予備役として市民生活に戻される。そして戦時のみ召集対象となる。

Telegraph-Herald - Mar 24, 1916 Hay Military Bill Passed In The House

  • 23日、現在10万の常備軍を14万とするヘイ法案が、402対2で下院を通過した。
  • 法案を起草したヘイ委員長は、“大統領自身の法案”と称している。しかし、ホワイトハウスは、法案の基本的計画には賛成したが、その詳細までは言明していないと説明している。政権は、上院の議決後、両院案に関する両院協議会が開かれ、大統領が完全に支持する法案が生まれることを期待している。
  • 法案は上院へ向かい、月曜日に審議が始まる。

「陸軍拡張『ヘー』案ニ関スル下院討議々事録送付ノ件」珍田大使より石井外相宛、1916.3.24 JACAR:B03050818600

  • 「御承知ノ通当国陸軍拡張案ニ就テハ種々ノ異論出テ行悩ミノ姿トナリ居タル処本月六日ニ至リ突然下院陸軍委員長『へー』ハ曽ツテ委員附託ニモナリタルコトナキ案ヲ同委員会同意ノ法案ナリトシテ下院ニ報告シ之ニ対シ下院共和党院内総理『マン』ヨリ少シク揶揄ヲ試ミタル外別ニ異議ヲ唱フル者モナク十六日ニ至リテ議事委員ヨリ同案討議規定ニ関スル決議案ヲ提出シ可決其翌十七日ヨリ昨二十三日マテ都合七日間討議ノ結果幾分ノ修正ヲ施シタルモ根本ノ常備軍十四万即チ現在法定数十万ニ僅カ四万ヲ増加スル点並ニ大多数ノ条項ハ原案ノ侭ニテ四〇二票対二票(内一票ハ社会党軍備拡張絶対反対者一票ハ共和党一層大拡張主張者)ニテ下院ヲ通過シ即日直チニ之ヲ上院ニ移送シタリ上院ニハ既報ノ通已ニ右『へー』案ヨリモ一層積極ナル『チエムバーレーン』案ノ報告アリ而シテ右修正ニヨリ上院『チエムバーレーン』案ニ大分接近セル形ニ改マリタルカ其内主ナル修正ト認メラルヽハ一ケ年在営者除隊ニ依リ補充乃至予備兵ノ数ヲ増シ従ツテ陸軍全体ノ上ヨリスレハ大ニ兵数ヲ増シ得ルノ余地ヲ作リタル修正及第八十二条ノ削除ナリトス上院ニ於ケル成行ヲ予卜スル者ノ多クハ結局上下両院協議委員会ヲ開キ『チエムバーレーン』案ト法案トノ折衷ニ了ルナラント観測シ居レリ」

The Day - Mar 29, 1916 Chamberlain Bill Is Before The Senate

  • 29日、下院陸軍法案に代わるチェンバレン陸軍再編法案が上院で審議中である。政権は法案の即時決着を要求するであろう。同案は、およそ17万5000人の常備軍を規定し、下院提案の4万増加である。また最大26万人の義勇兵、連邦管轄化の28万人の州兵を規定する。

Yellowstone News - Apr 8, 1916 Volunteer Army Bill Plan Saved In Senate

  • 義勇兵部隊条項の削除を意図する、チェンバレン法案の修正案が上院で36対34で否決された。当該条項は、下院議員選挙区によって26万1000人の完全に大統領管轄下に置かれ、平時に訓練がなされる連邦義勇兵部隊の創設を規定している。

Meriden Morning Record - Apr 15, 1916 Federal Nitrate Plant Is Favored

  • ワッズワース上院議員は、州兵に入隊した将兵に大統領と州知事両方の命に従う宣誓をするよう要求する修正を主張した。彼は、修正が州兵の連邦管轄化を戦時以外でも強化するものであると述べた。チェンバレン議員は、修正を受け入れるつもりであったが、南部出身議員からかなりの反対の声が上がった。採決は賛成23対反対22で定足数に満たず、翌日11時まで休会となった。

The Pittsburgh Press - Apr 19, 1916 Senate Passes Real Army Bill

  • 18日午後、上院は陸軍法案を可決した。同案は、常備軍を25万人へ増加、州兵から独立した連邦義勇軍創設、学校での軍事訓練開始、州兵の連邦管轄化を規定し、予備役を含め合計で100万の精鋭軍隊を生み出すものである。

The Chehalis Bee-Nugget - Apr 21, 1916 SENATE PASSES BILL FOR AN ARMY OF 250,000 MEN

  • 可決された法案は、下院のヘイ法案に代わるものである。両院協議会での相違の調整が提案されている。
  • 平時兵力を18万から25万への修正は、43対37で承認された。共和党21、民主党22の賛成である。15万への変更は、66対13で却下された。下院案はわずか14万であり、両院協議会では激しい論争が予想される。
  • ハードウィック議員の提案が、56対24で承認された。同議員修正は、100人以上、15歳以上の男子生徒を有するすべての学校、大学で学校側が志願し、生徒が予備役部隊の一部となることを認めたとき、陸軍省の指示で陸軍士官による軍事教練を行うことを規定する。訓練の志願は純粋に志願であるが、18歳以上のすべての学生は、訓練期間中、戦時には、大統領によって軍への召集対象となる。
  • 法案の主旨は以下のとおりである。平時兵力25万、連邦所管州兵28万、義勇予備兵26万1000、学校大学予備兵20万〜40万、硝酸肥料工場建設費1500万ドル、常備軍入隊者の職業訓練、常備軍の州兵隊創設。

2011-01-21

[]州兵連邦所管化案の浮上

ガリソン大陸軍計画は大統領の支持を得られず、ガリソンは陸軍長官を辞任した。代わって議論の俎上に上ってきたのが、州兵の連邦所管化案であった。下院軍事委員会は州兵連邦所管化を中心とする再編案を採用し、一方、上院軍事委員会では、常備軍拡大を立法化しようとしていた。


New York Times - Jan 31, 1916 TO URGE FEDERALIZATION.

  • 今週、州兵協会の役員によって上院および下院の軍事委員会に州兵の連邦所管化が提案されるであろう。役員会長、フロリダのフォスター上級幕僚が30日、ワシントンに到着した。議会の前に、ガリソン大陸軍計画に反対を表明するであろう。同時に各州の州兵将校による聴聞会が開かれ、下院軍事委員会に対して、陸軍長官案の代わりに民兵の連邦所管化を立法するよう主張されるであろう。
  • フォスターは、州兵たちに大陸軍計画に賛同の声はない。彼らは連邦所管化されたがっていおり、州兵給与法、より的確に言えば州兵報酬法を支持している。もし議会が州兵を連邦所管化すれば、真に防衛目的のための軍隊となろう。大陸軍計画は州兵組織を構築するというより、引き裂くものとなろうと述べた。

The Lewiston Daily Sun - Feb 1, 1916 CALLS GARRISON’S PLAN IMPRACTICAL

  • 1日、ガリソン長官と州兵協会役員は、州兵の戦時連邦所管化ではなく大陸軍を創立するという行政部案をめぐり、決裂した。
  • 上院および下院の軍事委員会で、フロリダのフォスター上級幕僚を会長とする州兵委員会のメンバーは、大陸軍構想は実行不可能であるとし、議会立法による州兵の連邦所管化を主張した。
  • 陸軍省においてガリソン長官からチェンバレン上院議員への、州兵給与法案に反対する書簡が公表された。ガリソン長官は、州兵は常に純粋なボランティアに立脚してきた。もし法案が通過すれば、過去に全然上手くいかなかった制度に完全に身をゆだねることになってしまう。それは我々の安全を脅かすものであると述べている。

「陸軍長官『ガリソン』氏辞職ニ関スル件」珍田在米大使より石井外相宛、1916.2.19 JACAR:B03050817800 44/50

  • 「本月十日当国陸軍長官『ガリソン』氏ハ大統領ト意見ノ一致セサルヲ理由トシテ辞表ヲ提出…意見衝突ノ第一点ハ陸軍拡張問題第二点ハ菲律賓問題ニシテ陸軍問題ニ関スル『ガリソン』氏ノ主張ハ本年一月廿六日附送第廿九号送附ノ行政部案即チ護国軍案*1ヲ推指セントスルニ在リ又大統領ハ議会ノ形勢及ヒ世間ノ風潮カ該法案ヲ賛成セス寧ロ之カ対案タル民兵団*2利用主義即チ各州ノ民兵団ヲ拡張シ中央ノ所管ニ移スト共ニ服役教育及編成ニ改革ヲ施サントスル説ニ傾ケルヲ慮リ所謂行政部案ニ固執スルヲ不可ナリトスルニ在リ」

Evening Tribune - Feb 13, 1916 National Guard Insists Militi Can Be Federalized

  • 州兵は、州兵は連邦管轄化できない、国防計画の信頼し得る要素となり得ないとする批判への回答を提出した。これは、先週委員会に出席した代表者の証言によるものであり、勧告を呈示する法案準備によってより効果的となる。この法案は、上院軍事委員会の求めで準備され、チェンバレン委員長に提出された。
  • 州兵協会役員会によって求められたこの立法は、単なる給与法案以上のものである。それは完全な州兵規則であり、包括的な計画を含む。

Deseret News - Feb 14, 1916 NATIONAL GUARD FEDERALIZATION

  • 14日、国家緊急対応問題がまた議会の中心議題となった。国防問題聴聞会を終えて、上院軍事委員会のチェンバレン議員らは、法案作成を始めた。彼らは、予備防衛部隊創設のため、州兵連邦管轄化を具体化するだろう。
  • 下院軍事委員会のヘイ議員らは、大陸軍案を葬り、州兵連邦管轄化案に代わるための下院防衛法案を練り直している。

Telegraph-Herald - Feb 17, 1916 Push Work On Military Bill In Committee

  • 常備軍を16万から20万の間に増加させる法案および州兵給与法の下での州兵連邦管轄化計画は、両院で三週間以内に整うだろう。
  • 下院軍事委員会は、17日、州兵連邦管轄化法案に関する作業を始めるだろう。もし強力な法案が生まれたら、上院軍事委員会も上院で承認されると請け負うであろう。上院同委員会は、16日、常備軍増強に関する法案の作業を続けた。

New York Times February 22, 1916 ARMY OF 135,000, COMMITTEE VOTES

  • 21日、国防計画の二大法案のうちの一つが、下院軍事委員会で承認された。13万5000人の常備軍、州兵の連邦管轄化、士官学校生徒数の倍増、国営軍需工場の建設、予備兵創設が同法案の趣旨である。同法案は超党派立法として、10日以内に報告が準備されるであろう。
  • 大陸軍計画の投票はなされなかった。それはガリソン長官の辞任と大きく関係している。委員会の誰も同計画の審議を求めなかった。代わりに委員会は、防衛の第二次ラインを担う州兵強化の議論を続けた。
  • クラーク下院議長の私立軍学校への陸軍士官割当計画には、400人の生徒を指導する士官を派遣する法案が含まれるであろう。同法案は、予備士官を収容するための士官学校増築に26万ドルを計上する。下院は最近、海軍士官学校生徒数を増加させる法案を可決した。
  • 委員会により、州兵に入隊した将兵は、軍で三年間、予備兵として三年間、計六年間服務することが提案された。州兵の装備、訓練、規律は議会によって規定される。
  • 州兵への入隊は、大統領が緊急時、州知事の要請なしに州兵を召集し得ることへの了解を伴うものとされる。士官は、陸軍省による試験を通過して初めて任官する。州兵の訓練は、陸軍省が規定し得る。知事が州兵解散の権限をもっているという点に関して、同法案はそれを無効化する条項を含んでいる。
  • ヘイ委員長は、同法案は、大統領が緊急時、どのようにも州兵を利用でき、平時に連邦政府に優越的な権限を与えており、実質上の連邦管轄化であると主張する。
  • 州兵は給与原則の上に置かれる。入隊した将兵は、常備軍の四分の一の補償を受給できる。二等兵は年48ドル、大尉は500ドル、中尉は300ドル、少尉は250ドルである。
  • 法案は州兵を800人原則で、最大42万5000人を認可する。連邦所管化の条項は、多くの点で州兵協会試案を超えるものである。州兵提案は、各地域500人であった。下院委員会案は、州兵予備隊および召集した連隊の戦線派遣を規定する。
  • 州兵の連邦所管化に伴い、州兵や軍事学校で勤務する多数の陸軍士官の養成が必要となる。士官学校の収容力の倍増は、これに起因する。
  • 法案は、戦時には27万5000人への増加を可能とする基礎組織として、13万5000人の戦力を認可する。増加は、歩兵10個連隊、砲兵4個連隊、沿岸砲兵52個中隊、工兵15個中隊で完成される。さらに四個飛行中隊が認可された。軍需局の補完部隊、衛生隊を加えて、常備軍は実際には14万7000人に増加する。この増加は、将校が現在4500人に対して、約7000人を必要とする。
  • 州兵および軍学校出身の士官候補生中隊の設立が認可された。各中隊100人よりなる。任官後それぞれ常備軍で一年服務し、その後、予備役となる。士官候補生中隊への任用は、大統領によってなされる。
  • ヘイ委員長は、同法案のもとで、合衆国は、10年以内に120万人の予備役を持つであろうと述べた。予備役規模は、入隊に対応する。委員会は、現役期間を三年に短縮し、現役後、四年間の予備役に入れるという試案を持っている。現行法下の予備役は、11月1日でおよそ1万人となろう。短期現役と州兵の予備役編入で、10年以内に100万かそれ以上からなる強力な予備軍を建設できるというのが、委員会の見解である。
  • ヘイ委員長は、法案の形を整えるのにさらに一週間以上必要であると述べた。法案には、補則としてマッケラー法案が含まれるであろう。同案は軍事訓練学校設立に際し、連邦政府との共同を規定する。
  • マッケラー法案は、各州年間最低4万ドルの支出、政府援助8万ドルで、軍事訓練学校を設けることを提案する。3年あるいは4年の課程が、陸軍長官を長とする運営当局によって指示され、陸軍士官がアシスタント、文民が書記官となる。学生は、各郡ごとに試験によって選抜される。卒業生は、予備士官に任用され、7年間、陸軍長官による召集に応じる義務を帯びる。また夏季に野営地での補足的な訓練を受ける義務もある。
  • 下院軍事委員会が陸軍法案で忙しい一方、上院同委員会は、チェンバレン法案を基礎に1912年の軍事学校計画を下に、常備軍を約20万とする提案の作業に取り掛かっている。委員会案は、平時戦力を16万から20万に再編するものと思われる。
  • 常備軍に関しては、両院の折衷案が議会の決定になるだろう。下院軍事委員会は、上院で州兵の連邦管理化が認可されれば、常備軍拡大計画を承認するであろう。

*1:「コンチ子ンタル、アーミー」のルビがふってある。

*2:「ナシヨナル、ガード」。

2011-01-14

[]ガリソン陸軍長官、大陸軍計画を推進

ガリソン陸軍長官は、チェンバレンと軍備増強の点で一致していたが、軍事訓練義務化については、現状では困難であるとしてその実現を悲観視していた。その代わりに、志願兵徴募による大陸軍計画を提案した。しかし大統領はその計画を支持していなかった。


New York Times - Jan 3, 1916 PRESIDENT TO PUSH FIGHT FOR DEFENSE

  • 多くの者が、状況は義務兵役によってのみ満たされると信じていることが明らかになってきた。この考え方は、政権とは一致しない。政権は、他のすべての手段によっても徴募が不足すると示されないかぎり、アメリカ人はどんな義務兵役の提案も容認しないと考えている。ガリソン陸軍長官は、例年報告でその問題に触れ、軍事的観点から考慮に値する多くの提案があるが、現在の状況下では、効果をなし得ないとする理由を示した。彼は、徴兵でも公立学校制度の国家的介入でも、憲法上の修正か、48州合同の立法によってはじめてなされ得るものであると述べた。
  • チェンバレン上院議員は、短期間軍での服務による義務的教育を規定する法案を示した。彼は、議論に十分な機会が与えられるよう議会や国家の注意をその問題へ引き付けたいと願っている。しかし、議会が訓練や兵役義務化の立法問題に関して、真剣に考慮していることを示すものはない。政権に関しては、その見解が、ガリソン長官の例年報告で、スイスやオーストリアの学校軍事訓練制度を採用することの様々な困難さ、なかでも連邦政府には公立学校制度に関する立法の権限がないことが示された。
  • 議会が義務兵役に関して深く考慮するとは考えにくいが、陸軍士官だけでなく、他の者の間でも、大陸軍をなすには、義務兵役が必要となるとの意見が優勢となっていることは否定できない。

Pittsburgh Press - Jan 22, 1916 Wilson Won’t Insist On Continental Army .

  • 大統領は、ガリソン長官提案による大陸軍の編制を主張しないであろう。大統領は、チェンバレン上院議員の軍事教育義務化案に反対しているとされる。大統領はもし、軍事委員会が大陸軍計画は実現可能ではないと判断したら、それに従うと述べている。軍事教育一般義務化に関しては、大統領は民主党指導者に、アメリカ人が準備できているとは思えないし、状況がそのような急進的な前進を切実に要求しているとは思えないと述べた。

Milwaukee Journal - Jan 22, 1916 Army Heads For Garrison Plan Scott And Bliss .

  • ガリソン陸軍長官の大陸軍計画が、スコット少将およびブリス少将、それぞれ陸軍参謀総長および次長によって上院軍事委員会に提出された。
  • スコット少将は、同計画により、緊急防衛構築の際、最低五ヶ月節約できるだろうと述べた。彼は、予備士官部隊が戦時に各部署に割り当てられると主張した。また、需品係や電信手、無線手、運転手、技術者、御者、鉄道技術者など各種技術関係の予備部隊創設を主張した。在郷軍人会の代表者は、この種の部隊に入隊希望する者、1万5000人を名簿化したと彼に述べたという。
  • 両少将は、一般兵役義務は軍を構築する唯一の理想的な民主主義的方法であるが、現在、国はその提案を容認しないだろうとした。ブリス少将は、それはただ陸軍士官によって学問的問題として議論されると述べた。彼は様々な法案のなかで、唯一、陸軍省提案だけが、明確な方針を立てた満足のいくものと述べた。
  • チェンバレン試案のような常備軍25万への増加案は、全く不適切である。ガリソン長官提案のように、14万以上の徴募は、増給など報奨が無い限り、不可能であると彼は述べた。

New York Times - Jan 22, 1916 MAY INDORSE PLAN TO TRAIN ALL YOUTH

  • 21日、議会への提案のため、前陸軍長官リューク・E・ライト会長、前国務長官ロバート・ベーコン副会長が主導する、国家安全協会の会合が決定された。委員は、一般軍事訓練への賛同を自由に表明した。
  • ニューヨーク市長ジョン・ミッチェルは、次のように述べた。スイスやオーストリア流の男子一般軍事訓練を支持する。アメリカ人は遅かれ早かれ、それを理解するし、しなければならない。国難後ではなく以前に、採用されることを祈る。私は軍国主義に反対する。しかし、民主主義における市民権は基本的な義務を伴うのであり、成年男子の毎年数週間という穏やかで短期な市民訓練を強く支持し、それは市民武装権の条件として最低限必要であると考える。
  • 続いてチェンバレン上院議員は、一般兵役義務が国防問題の唯一の解決策であると述べたが、彼は人々がまだその準備できていないことを理解している。彼は、ガリソン長官の大陸軍計画は、世界強国としての安全を保証し、パナマ運河を守り、ヨーロッパあるいは日本からのあり得べき侵略を防ぐ備えとしての軍隊をもたらすために有用であると述べた。

2011-01-12

[]第一次大戦期アメリカ年表

月日事項
1914Aug.4中立を宣言
1915May.7ルシタニア号、沈没
Sep.6ハイチを保護国化
Sep.18ドイツ、米国に配慮し潜水艦攻撃を制限
1916Mar.15米軍、メキシコ侵入(1917 Feb.5 まで)
Mar.24イギリス、徴兵制導入
Jul.1ソンムの戦い(Nov.18 まで)
Nov.7ウィルソン大統領再選
Nov.29海兵隊、ドミニカ上陸(1924まで)
Dec.12同盟国、連合国に和平提案
Dec.18ウィルソン大統領、交戦各国に「ピースノート」送付
Dec.30連合国、和平拒否
1917Jan.17デンマークからヴァージン諸島を購入
Jan.31ドイツ、無差別的潜水艦攻撃再開
Feb.3ドイツと国交断絶
Feb.5移民法可決
Mar.2ツィンメルマン電報公表
プエルトリコを米領に編入
Mar.12ロシア革命で、ニコライ2世退位
Apr.6ドイツへ宣戦布告
May.18選抜徴兵法施行
Jun.5第1回徴兵登録日
Jun.26米軍、フランス上陸
Jul.20第1回徴兵抽選
Nov.3米軍、最初の戦闘
Dec.7オーストリア=ハンガリーへ宣戦布告
1918Jan.8ウィルソン大統領、14か条平和原則を議会に提示
Feb.18ロシア、ドイツ間の戦闘再開
Mar.3ボルシェヴィキ、ドイツと講和
May.7ルーマニア、同盟軍に降伏
Jun.5第2回徴兵登録日
Jun.15-24イタリア、ピアーヴェ川の戦いでオーストリアを撃退
Jun.27第2回徴兵抽選
Jul.15-17ドイツ、最後の攻勢
Sep.3ドイツ軍、ヒンデンブルク・ラインに退却
Sep.5第3回徴兵登録日
Sep.29ブルガリア、休戦
Oct.1第3回徴兵抽選
Oct.14潜水艦攻撃の中止を要求
Oct.20ドイツ、潜水艦攻撃を中止
Oct.24イタリア、ヴィットリオ・ヴェネトの戦いでオースリアを破る
Oct.31トルコ、休戦
Nov.3オーストリア、講和に合意
Nov.4イタリア戦線で休戦
Nov.11西部戦線で休戦

(参照:The Routledge Companion to World History since 1914, Chris Cook and John Stevenson 2005)