Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

米グーグル、日本大学に情報共有ソフト

high190です。
私の出身大学では、在学時のメールアドレスを卒業後にも使えるようなシステムを導入しています。このように、最近は各大学で学生一人当たりにメールアドレスを与えるのが当たり前となっています。
非常に便利なサービスですが、メリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • 個々の学生と連絡が付けやすい
  • 連絡先確認が不要
  • 重要な情報を個人別にメールで知らせることができる

【デメリット】

  • サーバーの運用・管理に関する負担が大きい

サーバーの管理には、サーバー室の設置や温度管理、管理者の雇用・外部運営委託など様々な費用が伴います。こうした問題は学生サービス向上の対価として大学の負担になっています。そうした問題を解決する事例が日本大学でありました。

米グーグルは日本大学に無料の情報共有ソフトを提供する契約を結んだ。グーグルは4月から、日本大学の3万人の学生に同社のメール、スケジュール管理、文書作成ソフトなどをインターネットを通じて提供する。日本大学は10万人の全学生や、さらに卒業生も含めた50万人へも提供する予定。費用削減につながるため、他大学にも同様の動きが広がる可能性がある。
同ソフトを使うことで研究室やサークル内の連絡、休講などの案内、リポートの作成・共有などができる。グーグルが随時ソフトの機能を向上させて、同社サーバーにメールや文書などのデータを保管するため、日本大学はコンピューターにかける費用や運用の手間を軽減できる。日本大学はメール運用に年間2億円程度かかっていたという。

日本大学は、Googleが提供するWebアプリケーションサービス「Google Apps Education Edition」を採用した。
Google Apps Education Editionは、Googleが2月に発表したWebベースのアプリケーションサービス「Google Apps」の教育機関向けバージョン。Webブラウザ上から電子メールの「Gmail」のほか、スケジュール管理、ワープロおよび表計算メッセンジャーといった機能を利用できる。
運用は日本大学独自のドメインで行い、「NU-MailG」というシステム名称で提供される。また、スタートページを学生それぞれの「マイポータル」として利用し、既存システムと連携する計画だ。例えばスケジュール管理の「Google Calendar」を通じて、奨学金の締め切り日や授業科目の変更に関する情報などを把握できるようにするといった利用法が考えられている。
日本大学では当初、7学部約3万人の学生を対象にGoogle Apps Education Editionを提供。最終的には全学部の学生、約10万人に適用する計画という。将来的には、卒業生も含めた約50万人を対象としたコミュニティのベースとして、Google Appsを活用したサービス提供も計画しているという。

Google Appsとは、Googleが提供する「Gmail」「Google Talk」「Google Calendar」「Google Docs & Spreadsheets」などを統合したアプリケーションです。今まで大学が個々で採用していた教学システムの一部をアウトソーシングすることで費用削減を狙う試みですね。大学が自前で教学システムを構築している例はたくさんあると思いますし、その維持管理コストも財政面で負担になっています。今後、このようなシステムを活用することでTCO削減を行う大学はますます増えるものと思われます。

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