Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

一橋大が雑誌「メルク」創刊 教授や学生が取材、執筆

high190です。
学生時代に他大学の紀要をよく読んでいました。私のいた大学では学生で紀要を読む人はほとんどいませんでしたが、色々な知の刺激を受けられるので結構活用していました。ただ、内容が高度であるため理解しにくい、研究内容が一般の人に分かりにくい、と感じました。

大学で行われている先進の研究にもっと多くの人が触れやすいようにすれば、研究内容を広めることもできるのではないでしょうか?

そんな問題意識から一橋大学では論集を廃止し、新たにリニューアルした雑誌「メルク」を発刊しました。

一橋大学(東京都国立市)は学内の教授らによる学術誌の一つを廃止して、今月、雑誌「メルク」(merc)を創刊した。教授や在校生、卒業生が取材と執筆に当たり、一般にも親しみやすい形で「開かれた知の発信」を目指す。志願者と入学者がほぼ同数になる「大学全入時代」を迎え、岐路に立つ大学が差別化を図る戦略の一環といえそうだ。
同大は昨夏、学術誌「一橋論叢(ろんそう)」の廃刊に踏み切った。内容が極端に専門的になった結果、教員でさえ読まなくなり、「大学の顔」として学外まで読者層を広げることができなくなったという判断からだ。
代わって誕生した「メルク」創刊号は、3万5000部印刷され、無料で卒業生や上場企業などに送付された。国際、経済、経営を毎号の特集の3本柱とし、各分野を専門とする教授らが編集に当たる。
光沢紙を使い、カラー写真もふんだんに取り入れており、海外の衣食住や芸術紹介、卒業生の海外報告など盛りだくさん。お堅い論文が並ぶ研究発表誌とは大きく異なり、市販の雑誌を思わせる仕上がりだ。編集長の内藤正典・一橋大大学院教授(イスラム地域研究)は「大学によるこうした雑誌の刊行は国内外でも珍しいのでは」と話す。
創刊号の特集は、内藤教授と教授のゼミの学生が昨年12月、ドイツとトルコで行ったフィールドワークの報告が中心で、トルコのギュル外相との教授や学生の質疑応答も詳しく紹介されている。
取材と執筆に参加した社会学部4年、高見暁(あき)さんは、「面会したい政治家などの人選から申し込みまで、すべて学生がやった。『学生でもここまでできるんだ』ということを気づかせてくれた」と話す。
内藤教授も、「最先端の事柄を分かりやすく説明できないと一般の人には読んでもらえないから、学生にとっても勉強になると思う」と創刊の意義を語る。今年は第2号まで刊行し、来年からは年3回のペースでの刊行を目指している。

最近はOpenCourseWare等で、大学の知の開放が進んでいます。
こうした紙媒体の雑誌で、大学の研究を分かりやすく伝えるという取り組みはまだどこもやっていないのではないでしょうか?
特筆する点は、教員の研究を学生が取りまとめて発表しているということです。
こういったことは学生を信頼していないとなかなかできないことですよね。(もちろん、教職員の指導があって実現可能なことだと思いますが)

大学にとって教員の研究実績は知的資産です。今後も各大学で大いに発表し、研究力を高めていくべきだと考えます。