Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

新しい憲法を大学で作る

high190です。
日本における最高法規である「憲法」。
現行の憲法は、第二次世界大戦後、大日本帝国憲法を改正して1946年に公布され、翌年から施行されました。

実は日本国憲法は制定から今まで1度も改正されたことがありません。
昨今の世論でも様々な議論が行われている「9条問題」もここに端を発しているのですね。

そんな中、関西学院大学の学生は何と!全くゼロから憲法を構築しなおすという作業を行っています。

憲法を自分たちでつくろう-。関西学院大学(西宮市)法学部・長岡徹教授ゼミの四年生が、日本の憲法を白紙から構築する作業に取り組んでいる。平和主義や天皇制、国会、人権など幅広く議論し、年内には完成させる。国民投票法が成立し、憲法改正論議が加速する中、憲法を「つくる」ことで、現行憲法の意義や改正の是非について考える機会になっている。(徳永恭子)
ゼミの女子学生が提案し、六月初め、ゼミ生十七人による自由な議論が始まった。
国民主権やめよう、っていう人いるかな」と長岡教授が問いかけると、「天皇とのかかわりは」「首相、大統領は存在させるのか」と論点がいくつも出てきた。立法についても「今の二院制って意味があるのか」「過半数で法案が成立するのでは与野党の構成ですべてが決まり、国民の興味は薄れる。法案成立のハードルを高くしては」などの意見が出た。
関心が集中しているのはやはり九条。安田生一さんは「軍隊を持ったとたんに戦争に参加しなければならなくなる。日本は武力とは違う形で世界を引っ張るべき」と改正には反対の立場。一方、足立潤さんは「自衛隊イラク派遣は、何をしに行ったのかあいまい。自衛隊の役割を憲法に明文化すべきだ」とする。
また、就職活動中の黒木いづみさんは、会社の育児休業制度が気になっている。「育児をしながら仕事を続けられる環境を整えることが、人権の尊重では」と思う。
学生らは「統治機構」「平和主義」「人権」の三グループに分かれて条文を作成。最終的には「前文」を書くことも検討している。
長岡教授は「憲法とはそもそも何のためにあるのか、憲法に書き入れることで現状がどう変わるのか、憲法の本質を真剣に検討する必要がある。私たちが憲法を選択する時が近い将来やってくるかもしれない。その時、一人一人が主権者として責任ある判断を下さなければならない」と話している。

現行法規を再構成しようとする試みで、学生たちは今の制度が本当に必要で現代に適合したものであるか、ということに考えを深めるでしょう。
と同時にこうした取り組みが実際の法整備に何らかの影響を及ぼしていけば面白いと思います。

憲法改正問題は、現在の日本にとって非常に大きな問題であると思います。
大学発の新鮮な議論が社会に影響を与えるようになれば、大学の社会的存在価値も高まるというものです。