Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

教員免許の新制度を文部科学省が検討へ

high190です。
現行の教員免許制度の改定について、文部科学省が検討を始めるようです。
検討案では教職大学院や教育学研究科の修士課程を修了した人には「一般免許」、学部卒業者は「基礎免許」と差別化を図ることを想定しています。


文部科学省は29日、大学4年間で単位を取得すれば教員免許が取れる現行制度を変更し、新卒者の免許を2種類に分け、正規教員として本格的に教壇に立つには教職大学院修了など修士課程レベルの免許取得を求める新制度の検討を始めた。
今後10年をめどに実現にこぎ着けたい考えで、30日の中教審特別部会に提示する。
構想によると、大卒者に与える免許は「基礎免許」とし、大学学部段階での教職課程修了を証明するという暫定的な資格にとどめる。取得者は教員にはなれるが、担任に就かず校務や授業を補助する役割とする。
一方、正規教員につながる「一般免許」を取得できるのは、教職大学院や、大学院の教育学研究科修士課程を履修した人を想定。
ただ、資格者を限定しないよう大学での基礎免許取得を大学院の入学要件とはしない方向で、教職課程を履修していない学生や、社会人も教員を目指せるようにする。制度の移行段階は、学部卒業者も正規教員として受け入れる考えだ。

移行段階では学部卒業者も分けずに免許を授与する方針のようです。
ちなみに教員養成課程の6年制移行については、昨年から文部科学省が検討してきたテーマです。

新制度の移行後に教員免許更新制と新免許制度をどのように連動させるかも焦点のひとつです。学部卒で現職の教員に対し、大学院修士課程での講義履修を求めるような対応が想定されますが、学位の授与を更新要件にするかどうかがポイントになりそうな感じがします。免許のあり方が変わる訳ですし、将来的には教育職員免許法の改正も視野に入れているでしょう。
ひとつ気になるのが、学部卒の基礎免許を持つ教員は校務と授業の補助を担当するということ。教員の校務負担を減らすために免許で担当業務を分けるようですが、校務を適切に処理する能力は学部レベルの教員養成課程で養成できるのでしょうか。校務の対応は、学校教員としてそれなりの経験を積むことが必要になる訳ですし、これこそ大学院レベルの教育が必要なのではないかと思います。一般免許保持者がクラス担任の仕事に専念できるよう、校務と授業の面で基礎免許保持者がサポートするという考え方は悪くないと思いますが、実効性という点でより検討を深める必要があるように感じますね。