highriseの日記

自転車に乗ったり、外れ馬券を買ったりしている。

ツール・ド・フランスが始まる前に上半期のレースを振り返っておく

ここらで書いておかないとタイミングがなくなる。主にモニュメント。
ミラノ〜サンレモファルネーゼヴィーニ所属で、去年の日本チャンピオン宮澤選手が出場。モニュメントレースに日本チャンピオンの姿があることになった。レース前のセレモニーで日本国旗が掲げられ、宮澤選手が涙を流すシーンもあった。
序盤に決まった逃げに宮澤選手が乗り、約200kmに渡って逃げ続けた。これだけでも熱い展開だったのだけど、残り100kmぐらいで宮澤選手が逃げから脱落、後続集団に吸収された後も、ヴィスコンティを従えて集団を引く姿にはさらに胸が熱くなった。震災のすぐ後という時期で、いろいろとスポーツでも震災へ向けてというシーンがあったけど、日本チャンピオンがミラノ〜サンレモで集団を引くシーンが一番胸が熱くなるシーンだったように思う。宮澤選手は集団をペースアップさせてお仕事終わり。
レースは先頭集団にカンチェラーラなどの有力選手がいる展開、後続集団は集団落車があって追走するもなかなかペースが上がらない。後続集団にはカヴェンディッシュフースホフトフレイレといった有力どころが取り残されてしまった。その中でスカルポーニがたった一人で先頭集団を追いかけるシーンもあって、単独での追走なのに先頭集団に追いつくという根性の走りを披露したのだった。普通あれ追いつけないよね。ミラノ〜サンレモで熱いシーンその2といったところ。
決着はスプリント勝負で。さすがにあのメンバーでスプリント勝負をすればゴスが勝つよねって感じではあったが、カンチェラーラが最後の峠を越えたところで、早めのスパートから先頭集団をサバイバルレースに持ち込んだ戦略は見応えがあったし、順々に脱落していくレースでエキサイトした。ゴスは道中は存在感がなかったけど、スプリントなら負けない。スカルポーニもスプリントに参加していたように思うけど、この人は先頭集団に追いついただけですごい。
ほいで、ロンド・ファン・フラーンデレンパリ〜ルーベの北のクラシックへ。前哨戦のドワルス・ドール・フラーンデレンはナイエンスが勝利、ヘント〜ウェヴェルヘムではボーネンが復活の勝利、E3プライス・フラーンデレンではカンチェラーラが圧倒的な力の差を見せつけての勝利という感じ。
そして本番、ロンド・ファン・フラーンデレンシャヴァネルが逃げることになったところで、カンチェラーラシャヴァネルボーネンを擁するクイックステップ勢の争いという空気に。それでもさすが宇宙人カンチェラーラボーネン達を振り切ってただ一人、逃げるシャヴァネルを追走し、あっさり追いついてしまった。しかしシャヴァネルも追いつかれてからは付き位置で追走、このままローテーションせずにカンチェラーラに先頭を引かせて後続が追いつくのを待つ走り。こうなってもカンチェラーラならシャヴァネルを置き去りにしていくかなと思ったのだけど今いちペースが上がらず、カペルミュールの途中で後続集団が一気に襲いかかってレースは振り出しに。そこからはジルベールの早仕掛け→タレるの様式美や、バッランはなぜそこでアタックなど、思い思いに動き、最終的にアタックして抜け出したのはまたカンチェラーラ。これにシャヴァネルとナイエンスが反応して、最終的には3人でのスプリントとなり、ナイエンスが勝利。カンチェラーラディフェンディングチャンピオンとして受けて立つ走りではあったが、補給に失敗したか、脚を気にする場面もあって残念ながら敗戦。レース後には脚が攣っていたとか言ってたっけ。それでも負けて強し、次週のパリ〜ルーベでも断然の優勝候補ということに。
で、パリ〜ルーベ。今度はカンチェラーラフースホフトやファンスーメレンを擁するガーミン・サーヴェロの展開に。終盤ではカンチェラーラフースホフトやバッランといった新旧の世界チャンピオンを引き連れてアタックするも、フースホフトやバッランは追走だけで手一杯、しかしその間にも先頭ではフースホフトのチームメイトであるファンスーメレンが一人抜け出して独走へ。カンチェラーラの出方を巡って後続ではお見合い状態が続いて、ファンスーメレンがタイヤをパンクさせながらも逃げ切って驚きの勝利。ガーミン・サーヴェロ的にはチームの勝利ということになった。仮に追いついてフースホフトカンチェラーラのスプリント勝負になったとしたら、おそらくフースホフトに分があったのだろうけど、そういう展開でフースホフトが勝っても酷評されるだけだろう。ファンスーメレンが勝ってゴール後に恋人にプロポーズするというリア充すぎる話でよかったのかもしれない。ボーネンはアランベールでメカトラがあって早々に終了、アシストもおらず、再び走り出すまでの時間はどれほどの長さに感じただろうか。クイックステップ勢はシャヴァネルも奮闘していたけど、この人は落車落車でレースどころではなく傷だらけになりながらの完走。
カンチェラーラはどちらも勝てなかったけど、前哨戦で圧倒的な強さを見せてしまったことで、周りのマークがきつくなりすぎてしまったのが敗因か。どちらのレースも負けて強し、一番強かったのはカンチェラーラで間違いない。
そして、北のクラシックが終わるとアルデンヌクラシックの季節。
アムステルゴールドレースフレッシュ・ワロンヌを危な気なく勝ったジルベールアルデンヌクラシック三連勝をかけてリエージュ〜バストーニュ〜リエージュへ。対するはレオパード・トレックのシュレク兄弟。終盤、ジルベールとシュレク兄弟が三人で抜け出して、勝負はこの三人に絞られた。こうなった時点で、シュレク兄弟が交互にアタックを仕掛けていけば数の勝負で圧倒的に有利に運べたと思うのだけど、この兄弟、人がいいのかもしれない。決定的となるようなアタックは仕掛けられず、最後にジルベールが二人を振り切ってアルデンヌ三連勝。アップダウンがあって最後にきつい登りがあるようなコースでは今のジルベールは手がつけられない。ジルベールが早仕掛けからタレるというのは一種の様式美なわけだけど、キツい登りでの鋭いアタックは超一級品で、こういうコースでは今のジルベールに隙はない。あと、終盤でも自分から動いて追走集団を引く姿はかっこいい。
んで、5月のジロ・デ・イタリアツアー・オブ・カリフォルニア、6月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ、ツール・ド・スイスなどがあり、先週末の各国の国内選手権を経て、今日からのツール・ド・フランスへというわけですね。モニュメントを中心に振り返ったのでステージレースはガン無視ですが、とりあえずツール・ド・フランスの一週目はクラシックライダーのみなさまが活躍する期間ですし。
ちなみに、各国選手権はというとカンチェラーラジルベールシャヴァネルなど、順当に強い人がタイトル獲ったよねという感じ。特にシャヴァネルさんがフランスチャンピオンとは胸が熱い。北のクラシックやアルデンヌクラシックでいい走りを見せたジルベールシャヴァネルがそれぞれにナショナルチャンピオンジャージを獲得してツール・ド・フランスに参戦するわけで、総合争いとは別にこの二人が一週目にどういう走りを見せるのかというのは楽しみなところ。
また、ツール・ド・フランスのチームプレゼンテーションでナショナルチャンピオンジャージが披露されたけども、カンチェラーラレオパード・トレック仕様スイスチャンピオンジャージはあまりかっこよくなかった。サクソバンク時代の方が断然かっこいいスイスチャンピオンジャージなのでは……
チームプレゼンテーションでは、他にもトール・フースホフト (Thor Hushovd) さんがトールハンマー (Thor's Hammer) を持って登場するというコスプレもありましたが、
Photo gallery: the Tour de France team presentation | Cyclingnews.com
ツール・ド・フランスの沿道にいるコスプレイヤートールハンマーを持って登場するのを期待しております。