通勤の電車でちびちびと読み進めていて先日読み終わった。最初、この話はアンドレイ・ボルコンスキイ公爵が主役なんだと思ってたら、途中で負傷して死んでしまって、あれっ?と思ったが、どうやらピエールが主人公らしい。登場人物が多くて誰が誰だかわからなくなるけど、ポイントとなる人だけ押さえておけばいいというのをどっかで読んだので、それに従った。
節々にトルストイの歴史解釈が挟まれていたが、エピローグでその意味がわかった。この話を通して書きたかったことは、権力とは何かということだ。権力というものは、一人の権力者の意思によって発現するものではなく、その他の大勢の意思の影響を受けた結果であり、権力者といえども大きな社会のうねりの一部に過ぎないというのがトルストイの考え。歴史を学ぶときに「権力者の誰某がこれこれこういうことをした」というのはわかりやすい歴史ではあるが、実際は権力者だって周囲の人や社会の潮流の影響を受けた上での決断であろうし、物事の実行は社会を動かすことなのだから、「権力者の誰某がこれこれこういうことをした」というのはわかりやすい一方で真実ではないのだ。権力者があれこれ政策を決めているのは社会の流れを受けたもので、権力者は社会の鏡なんだということ。となると、今の世の中でもいろいろと時の政権に対してあーだこーだ不満をぶちまけている現象についても考えるところがあるなと思うし、社会を変えるには権力者を変えることではないのでは?とも思う。
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