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memorandum † 樋口ヒロユキ

サブカルチャー/美術評論家、
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2011-12-08

大阪の文化を根絶やしにしよう!

11:48

 大阪市の近代美術館をやめるという話が持ち上がってるけど、面白いね。大阪市在住の美術作家はどうするのかな。もうさ、いっそのこと大阪府や市の美術行事からは一切手を引くってのはどうだい。作家も学芸員ギャラリストも評論家も一斉スト。例の市長が助成金出さないといってる、文楽関係者やオーケストラもストをしたら良い。大体さ、文楽なんて落語を除けば、大阪が持ってる唯一の古典的文化資産だろ。歌舞伎東京に行っちゃったし。どうすんの? 文楽もみすみす東京に渡すか? 


 文化に税金は入れない、つまりは公のものとして認めないって言ってる首長の治める街なんだから、文化的な仕事に携わってると思う人は、いったん全員大阪から出て、文化を一日根絶やしにするくらいのことをした方が良いだろうね。大阪で文化に関わる人たちは一斉休業。物書き、編集者、出版社。電博以下の広告関係者すべて、カメラマン、デザイナーコピーライター。ファッションデザイナーもモデルもパタンナーも、建築事務所やインテリアメーカーもね。


 テレビやラジオも一日止めて、映画館もその日は休み。ゲーム関連やwebクリエーションの企業も、一斉休業したらいいよ。ライブハウスも芝居小屋も休み。ネイリストも美容院も全部休業。ついでに書店とかCDショップ、服屋も一斉に休業すると良い。あと学校は全部休校。特に私学。私学助成金出さないって言ってんだから。大学、専門学校、小中高。特に文化的なファッションやデザインを教えてる学校は一斉休業やったらどうだ? かなりのインパクトになると思うんだけどね。で、どこかで集中シンポジウムをやる。デモでも構わない。文化不毛の地ってのがどんな状態になるのか見せつけてやろうぜ。逆にそこから思わぬ交流やアイデアが出るかもしれないからね。


 しかしそんな都市、世界の先進国にあるか? ソフトの力を全否定するような都市がさ。だいたいね、大阪ってもともと商売の街で、農業の街では決してないし、工業の街というより興行の街、つまりはソフトで食ってる街なわけよ。そこで文化を否定してどうすんの? 大阪は何で食ってくの? そもそも為政者からこれだけ文化音痴、馬鹿扱いされて大阪人は嬉しいのか? 逆に今日に至る大阪の衰退は、こういう文化軽視に源があると私は思うんだがな。街は汚い、緑は少ない、文化芸術を大事にしない。タイガースと漫才とお好み焼きだけがあれば良い。そんな街に誰が住みたいと思う? 少なくとも私はイヤだ。


 実際、一部上場企業経営者や管理職って、どのくらい大阪府下に住んでるの? あるいは市役所や府の職員たち。かなりの部分が市外、あるいは県外に住んでるんじゃないの? 北摂とか阪神間の高級住宅街にさ。件の市長も確か北摂に住んでて大阪市内在住じゃないよね? で、大阪には税金を落とさず、汚い街のまま放置してきた。私も偉そうなことは言えない。大阪に10年近く住んで、犯罪の多さと町の汚さに耐えかねて、ついに県外に引っ越した。なにせ路上には不法投棄されたクルマが行列となって道を塞ぎ、月に数回露出狂や強姦が同じ町内に出没するのだ。そんなところに平然と住んでいられる方がどうかしている。自分みたいな脱出組は黙ってるだけで、かなりの多くに上ると思うよ。そこへ持ってきてこの文化音痴の首長だ。本当にもう呆れ果てたね。


 私は文化不要論者に聞きたいんだが、それじゃあそういう文化不毛の街から、たとえばiPadみたいなスマートなものが生まれますかね? このゼロ年代のビジネスをよくご覧なさいよ。結局のところアイデアとソフト、デザイン力と美意識が勝利してるじゃないですか。タイガースたこ焼きと漫才だけiPadできるか? 絶対できっこないに決まってんじゃん。大阪人、いい加減に目を覚ませよ。みんな持ち上げるフリして馬鹿にしてんだぜ? なにがお笑い百万票だよ。悔しくないのか、目を覚ませ!



【追記1】一部意図が誤解されているようなので、後日赤字部分を挿入しました。私自身阪神ファンですし、漫才もお好み焼きも好きですから。



【追記2】この美術館問題についてですが、まずは収蔵予定の作品を実際に見てもらう方が先決だと思うので、ご賛同の方は是非、 本日まで収蔵作品を展示中の、国立国際美術館中之島コレクションズ」で見てください。国立国際美術館は、地下鉄肥後橋駅から徒歩7-8分、阪神福島駅から徒歩5分です。入場料は同時開催の他の二つも含めて850円、この展覧会だけならわずか420円です。正直この展覧会の動員によって、大阪市立近代美術館の需要の説得力が決まると思います。あとから署名とか何とかいう話も当然出てくるとは思うのですが、まずは作品を見たい人がいることを示すのが最大の行動です。心ある方々のご賛同に期待しています。

国立国際美術館中之島コレクションズ」http://www:bit.ly/tLeRHl



【追記3】笑いというのは美術の対立概念ではありません。おかけんたさんのようにアート好きを公言しておられる漫才師の方、桂南光さんのように美術館問題に理解のある落語家の方もおられます。ただし「お笑いだけがあればいい」というのはやはり承服できかねます。「大阪は漫才だけあればいい」という言い草は、こうした美術に理解のある芸能関係の方をも貶めることにもなるでしょう。

グローバル化と「もの」

10:24

 さっきツイッターを覗いていたら、香港に行く美術作家、北京に行く美術作家、ジャカルタに行く小説家、オランダボスニアの作家と話している美術作家が、立て続けにTL上に並んでいた。そういえば自分も先週、ドイツ商社さんとスカイプでミーティングしたのだった。本当にグローバルな時代になったものだ。なんで美術評論家の私がドイツ商社さんとミーティングしてるのかというと、これはまだ内緒なのだけれど、ちょっとしたプロジェクトがいま進行していて、それ絡みの仕事なのです。勘の良い人は気づくかもしんないけど、いちおう現在のところはヒミツ。オープンになるのは来年かな。


 最近は美術文脈の仕事が中心だったのだけれど、これは久々にサブカル文脈での仕事で、出来上がりが今から楽しみ。いちおうものづくりに関わる仕事ですが、実際やってみて痛感するのは、国境を越えたものづくりってほんと大変で、こうしたことを日々当たり前にこなしてる日本のメーカーって、ホント凄いなということでした。日本のメーカーはいまどんどん生産拠点を海外に移してるし、売り先も海外にあるけど、海外とのコミュニケーションは本当に大変(たとえそれが日本語であっても)。潤沢な予算のある会社ならスカイプじゃなくて高精細のテレビ電話が使えるだろうけど、それでもたぶん大変だろうと思う。


 それというのも、ものづくりでは結局「もの」を扱う以上、どんな「もの」なのか把握することが、必要不可欠な仕事になってくる。ところがモノの質感や量感は、モニタの画像じゃ把握しにくい。こうした「もの」についての打ち合わせを、画像越し、モニタ越しにやるのは本当に大変な仕事なのだ。でもまあ大変なだけに仕上がりを見るのも楽しみなわけで、とにかく来年が今から待ち遠しい。海外向けの仕事は久々で、何年か前に某アーティストのDVDのライナーを書いて以来かな。どんな反応があるのか、ちょっとワクワク。ともあれ正式アナウンスまでお楽しみに。