京都市立芸大の卒展:新平誠洙さん

京都市立芸大、油画院1回の新平誠洙さんの作品。これ、パッと見ただけでは何がなんだかよくわかんないと思うのですが、じーっと見てください。

8枚組になっていて、8枚全体の図柄とは別に、1枚1枚に心霊写真みたいに別の図柄が描かれてるの、おわかりいただけるでしょうか。しかもよく見ると3層の図柄が見えるんですが……。わかりにくいと思うので、一部分を拡大してご説明しましょう。下の画像を見てください。

頭に包帯を巻いた女性の顔ははっきり見えてると思うのですが、これとは別にプールに飛び込もうとしてる太った中年男性の姿が見えるの、気がつきましたか。それと、その男の頭のうしろに、お釈迦様の頭にある輪っかみたいなのが見えると思うんですが、これが実はテニスのラケットなんですよ。もう一回全体像を見てください。

ラケットを持ってたぶんボールに飛びつこうとしてると思われる人物の姿、わかりますかね。フィルムカメラ二重写し多重露光の要領で、3層の図柄が描きこまれた絵画なんですよ。で、テニスとか水泳とかいった健康的な場面に二重写しのように、下の画像みたいなちょっと薄気味悪いものが写り込んでいる。

カーテン越しにこっちを覗いているこの女性は一体なんなんでしょう。「健康/病気」というイメージがグラグラしてくるような不気味さを持った作品で、印象としてはちょっと地味なのですが、ものすごく気になる作品です。タッチとかは全然違うのですが、ちょっとフランシス・ベーコンを思い出しちゃう。一体何を考えてるのか、機会があればお伺いしてみたい気がします。