つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

意味不明?「ヤバイ」の乱発はヤバイ

 大学で10代の学生に接していると、いろいろな新しい言葉に出会います。一回聞いただけでは忘れてしまいそうなものばかりなので、いちいちそれにコメントする気はありません。そんな中でも気になるのは「ヤバイ」という言葉の乱発。小生自身も時たま使っているので偉そうなことは言えませんが、発した後の感じ、聞いた印象からすると、やはり汚い言葉だなーと思うしかありません。
 もともとヤバイのヤバとは看守とか守衛を指す言葉で、彼らにとがめられるという意味があるそうです。つまり、悪事が露見した時に犯罪者が使う言葉で、「具合が悪い」「アンラッキー」「危ない」の意味です。それが昨今では、「うまい」「素晴らしい」「驚き」という意味でも使われています。特に、食べ物や日常使う道具、器具などに出会うとヤバイが発せられているようです。
 なんでそんな意味転換になるのか、小生、不思議でしょうがなかったのですが、ある人がそれについて説明してくれました。例えば、素晴らしい食べ物に巡り合った時にヤバイと言うのは、「これはうまい。ずっと食べたくなる、癖になりそう」と言う思いに陥ります。高い値段の食べ物であれば、それだけ金を消費しなければならないので、そういう意味では不都合です。
 あるいは素晴らしいゲーム、趣味に出会うと「常時やりたくなる」ので、多くの時間を浪費します。24時間しかない限られた時間の大部分を好きなことに使ってしまえば、ルーティーンの生活にかなりの影響が出ます。それは不都合であり、それでは困るというニュアンスからヤバイという言葉が使われているとのこと。それなら一応は理解できますが、きれいな女性を見て「あの娘、ヤバイね」というのはやはり乱用だと思うし、「このスケジュール、ヤバイね」というのも意味不明です。
 ついでに言えば、日本語はヤバイと同じように、使われ方、話し方によって諾否、是非がまったくの反対になる言葉も多いですね。例えば「結構です」「いいです」。「ビール、飲みませんか」の答えとして、ただの「結構です」では拒絶になるし、「結構ですね」と言えば同意です。つまり、「ね」が語尾に付くかつかないかで正反対になるし、言い方によっても変わってきます。これって日本語のいい加減さで、外国人との商談でいつも問題になる点です。
 商談と言えば、日本人が使う「その件は考えさせてください」「検討しておきます」は実質的に断りの表現なんですが、通訳者が「considering」と訳せば、外国人は大いに期待を膨らませることでしょう。訳し方が難しい。「君、……好き?」の質問に、若者言葉で「微妙」と返すと、これは「嫌い」と一緒の意思表示になります。でも、小生は当初これが分からず、学生とのやり取りで「微妙」を聞いて、好きとも嫌いとも言えない段階だと思っていました。若者言葉は”微妙”過ぎて分かりにくいですね。


 上の写真は、西表島の仲間川で見たマンゴローブ林。