2010-07-21
電子カルテ版 Before After
電子カルテ |
とある診療所の電子カルテ。それを使う一人の老医師。オープニング。「メニューで埋め尽くされたスクリーン」。いくつものウィンドウを開いた先に医師がみたかったものは!。みたいに始まるの。
そこに現れた一人のカリスマSE。老医師の話を丹念に聞く。そして、ついにリフォーム完成の日。老医師は初めて自分が夢にみた電子カルテと向き合う。「なんということでしょう!」
老医師がのぞき込んだスクリーンには、かつて手書きだった頃のカルテが全面に!「これからは手で書いてくださいね」満足げなカリスマSE。老医師は画面いっぱいに映しだされた手書きカルテをみて何度も何度もうなづいてました。
めでたし。めでたし。
2010-07-08 [指示受け] 指示受けには、監査と確認の2つがある
はじめに
指示受けについては、まだ、うまくモデル化できていませんが、一人で考えるより、いろんな意見を頂いた方がよいと思ったので、思いついたことをバラバラと書いておきます。読むと余計に混乱すると思いますが、似たようなことを考えている人にとっては何か参考になるのかもしれません。また、ここは考え方が違うということがあれば、ぜひ教えてください。
指示受けは監査
指示受けは、薬剤師の処方監査のようなもので、「指示を実施可能か」という判断が含まれます。もし、指示に疑問点があった場合は、指示受けナースの責任で医師に確認する必要があります。つまり、指示受けが完了していれば、看護師チームの誰かが実施可能と判断したということになります。
しかし、監査の意味の”指示受け”には法的な裏付けがあるわけではなく、省略される場合もありますし、誰がいつ行うかが厳密に決まっていないこともあります。また、監査の意味ではなく、未確認の指示を確認しただけの場合も、”指示受け”という扱いになっていることもあり、余計に混乱している気がします。
そこで、いつ・誰が指示受けということではなく、もう少し汎用的な仕組みがよいと思いました。
指示受けする人
医師が出した指示が患者に実施されるまでには、何人かの確認や承認が必要です。
指示受けはその中の1つで、看護師チームの誰かが初めて指示を確認するときのことを指していると考えることもできます。
ここで、看護師チームといったのは、看護師の誰が指示受けをするかは、その時々の状況が変わるからです。ただし、誰かが指示受けをしたら、その後、実施までの責任は看護師チームが負うことになります。指示受けというタイミングで、実施の責任が医師から看護師チーム移ると考えています(そうでない運用もあるかも)。
リーダ制をとっている病棟では、経験豊富なリーダナースが指示受けの判断を行い、スタッフナースはその責任を免除されていることがあります。リーダ制をとっていない病棟では、スタッフナースが直接指示受けを行ないます。この場合は、監査の意味と確認の意味の2つが区別なく一緒になっている気がします。
やるべき仕事リストと役割
監査の意味と確認の意味の2つを一緒に扱えないかと思い、「やるべき仕事リスト」というのを考えてみました。
ある看護師の仕事を考えてみます。
勤務開始前には、「やるべき仕事リスト」はからっぽです。そこに受持ち患者が決まるなど、役割が与えられます。すると、やるべき仕事が決まります。
最初は、どの仕事も未確認の状態です。仕事を確認すると確認済みの状態になります。すべての仕事が確認出来ている状態で仕事をスタートします。
勤務を続けていると、別の人から新たな仕事を依頼されることがあります。最初は、未確認状態ですが、これも確認をすることによって確認済みになります。すべての仕事が確認済みの状態が正常で、未確認のものがある場合には速やかに確認をする必要があります。
完了した仕事は、リストから消えていき、勤務終了時点でリストは空っぽになります。
このような「やるべき仕事リスト」は、役割ごとに管理されるべきです。看護師にも、受持ち業務、フリー業務、リーダー業務など役割があり、一人で2役を(リーダ+受持ち)こなすこともあるからです。
指示の処理
それぞれの役割の人は、次のような順序で指示を処理し、次の役割の人に指示を伝えていると考えます。
0.未確認の指示があることを通知される(未確認)
1.指示をみて、自分の役割が実施可能か判断します(確認中)
実施できない理由がある場合には(例えば、物品がない、指示が間違っている)、適切な処理を行います
この場合は、未確認ではなく、別のステータスになった方がよいと思います。(確認待ち)
2.実施可能な場合には確認済みとします(確認済)
3.実施(または許可)を行います(取り消し不可となります)(実施中)
4.実施完了しました(実施済み)
厳密な指示受けを行う運用では、「指示受け」という役割があり、新しい指示が出るたびに、その「指示受け」役割の「やるべき仕事リスト」に指示が入っていき、確認すると消えていくということになります。
しかし、最終的に指示を実施するナースの立場では、「指示受け」が完了していなくても実施しなければならない時もあります(「指示受け」が完了している指示は、別の誰かが実施可能と判断したサインという扱いです)。この場合、未確認の指示を確認したこと=自分の責任で指示の監査をしたという扱いになっていると思います。
指示フロー
一方、指示単位での流れを考えてみます。
指示者が指示を発行すると、その指示は他の人に伝えられていきます。リーダナースであったり、薬剤師であったり、物品倉庫の人などです。それぞれの人は、指示にそって何かを実施し、すべてのことが準備できてから最終実施者が患者に指示を実施します。この指示発行から実施までの指示情報の流れを「指示フロー」と呼ぶことにします。
「指示フロー」は、指示内容(処方、点滴、処置など)によって違いますし、病院・病棟(指導医の有無、リーダーナースの有無)などによっても違います。
もしこれをシステム化する際には、それぞれの指示は複数の「やるべき仕事リスト」に現れては消えていくというモデルがよいと思います。
実装について
オーダリングシステムによっては、指示伝票ごとに「指示受け済み」などのステータスを持っていることがあります。しかし、伝票単位の指示受け管理では、その中の一部の指示修正の指示受けは管理できません。さらに細かい指示単位での管理が必要です。(処方せんのように伝票単位の一括管理もできないといけませんが)。
また、指示システムの機能として指示受けを実装すると、「指示フロー」が違う運用ではそこに手を加えないといけません。例えば、ある病院の点滴指示のシステムにだけ特殊な指示受け機能を付け加えても、他の運用では役立ちませんし、どれだけ詳細に作り込んでも必ず例外運用が出てくると思います。管理しなくてはいけないのは、その指示はいくつの「やるべき仕事リスト」に現れるかだと思います。
また、指示フローに順序があるからといって、順番にしか指示が回らないようにするのも困ると思います。極端なことをいえば、患者の命に関する急変時はすべての指示フローは無視されて、指示が実施されます。それぞれの役割の人は、自分の「やるべき仕事リスト」に初期状態でどのように表示して欲しいかを決め、何かあったときは、どの「役割」がどの状態になっているかがわかるようになっていれば、細かなルールを決めなくて済むのではと思います。管理すべきは、「やるべき仕事リスト」がいくつあって、それぞれどういう状況なのかということです。
例えば、
- 物品倉庫の人は、物品発送という状態になった指示が表示され、発送済みになったらリストから消えるなど。
- リーダー業務は、担当チームの全患者を対象とした当日(翌日)の全指示が対象で、全ステータスのものを表示。
- 指示受け役割は、担当チームの全患者を対象とした、未来日の未指示受けを表示。
- 受持ち業務は、自分の受持ち患者の当日の全指示を表示。
- フリー業務は、担当チームの全患者を対象とした当日の一部の指示が対象。
また、看護の受け持ち業務についていえば、看護ワークシートに印刷した指示は、その時点ですべて確認済みにできるのが便利だと思います。
抽象的な考えはさておき、現実の運用に即して考えてみないと、これでいいのかどうかよくわかりません。また、全部をコンピュータで管理する必要もないので、実装はまた別のことを考えないといけないのかもしれません。
2010-07-07 [看護情報学] 価値のある情報とは何か?
臨床の方向けの研修で行っている話です。
まず、受講生同士お隣の方と2人でペアになってもらって、以下の問いを紙にまとめてもらいます。
- 「患者の疼痛に関して重要な情報は何でしょう。いくつか挙げてみてください」
- 「次に、それを重要と思う順番に並び替えてみてください。」
- 「どんな基準で重要かそうでないかを判断したのか考えてみてください。」
- 「重要な情報って何でしょう?」
次に、情報が使われるということについて話をします。
「今日はおいしい昼食を食べたいなと思って、ここら辺でおいしいと思うランチのお店を教えてもらったとします。この情報はものすごい影響力のある情報です。この情報だけで私のランチが決まってしまいますから(笑)。でも、明日、私が別の場所でこの情報を聞いても、私の行動は変わりません。今日、ここにいるからこそ大事な情報なので、別の場所や時間に聞いても影響はないのです。」
このように同じ情報でも、価値がある時とない時があります。価値が高い情報とはなんでしょうか?ここでは、次のように考えることにします。
「その人の行動や意志決定に影響を与える情報が価値のある情報」
影響を与えない情報というのは、あってもなくても変わらないわけですから、その人にとっての価値は低いわけです。どのぐらい影響を与えるかという基準で、先ほどの疼痛に関する情報を並び替えてみましょう。
どんな情報が意思決定に影響を与えているか?
最初は「痛みのレベル」「部位」「頻度」といった情報が並んでいますが、そのうちに「痛くて歩けないとか眠れないといった困っていること」や「痛みの原因」などがあがってきます。
「疼痛レベルが10段階中5」というよりも、「痛くて眠れない。寝返りがうてない」という方がより看護師の行動に影響を与えそうです。(10段階中5という情報も、時間順に並べて変化をみるときには役立ちますが)
また、医療職は、意識していなくても「痛みの原因」が明らかかどうかによって対応を変えてしまいます。「腰が痛くて歩けない」と訴える患者について、原因が不明なのか、がんの骨転移と分かっているかによって対応は違ってくると思います。(それがいいかどうかはまた別の問題ですが)
そんなことを考えてもらった後に、疼痛に関して重要な情報が今の看護記録できちんと伝達出来ているかどうか。それを考えてもらっています。きっと改善の余地があると思います。
情報は多ければ多いほどよいといった風潮は昔ほどではありませんが、それでも誰もが多すぎると感じるほどの情報が日々記録されています。大事な情報とそうでない情報を見分けることをしないと、大事な情報がそうでない情報に埋もれてしまい使われなくなってしまいます。自分の行動や意志決定に影響与えるかを考えることによって、どんな情報を扱うべきかを考える基準ができると思っています。
よくある質問
Q.影響を与えないとはいっても記録しておかなければならない情報もあります。裁判のためということで記録している情報もありますが。
その情報が大事かどうかは、人によっても変わります。
看護師同士に限らず、医師や薬剤師、看護補助者、病棟師長、病院管理者、過失があるかどうかを判断する裁判官など、その情報を使う可能性がある人はたくさんいます。ですから、一概に順序をつけることはできません。
ただ、どの情報も大事とか、いずれ役立つはずといっていると、いくらでも労力があってもたりません。情報を記録するのはタダではなく、コストがかかっているのです。そのうち役立つだろうといわれている情報が、実際に分析されたり使われたりする二次利用の可能性は限りなく低いのが現実です。一方で、確実に情報が使われる一次利用の情報がうまく伝達できていないこともあります。それぞれ、どの程度の労力を割くかは、バランスの問題として考えるべきだと思います。
Q.定期的なサーベイランスなどの情報は価値が低いのでしょうか。
もし異常なことが早期に発見できれば、大きく行動を変えることになるはずですから、それは大事な情報です。ただし、どんな異常が発見できるのか、どの程度の頻度で異常が起るのかは情報の価値に影響します。
その調査結果を誰が受け、どんな意志決定を行うのかが決まっていないサーベイランスがあったとします。会議で報告しても誰も責任を負っていない場合などです。そのような情報の価値が低いと思います。
もし、今後、サーベイランスを計画したり見直したりするのであれば、誰の意志決定に影響を与えたいのかを考え、それに適した項目や頻度で調査をすることが大事だと思います。
2010-07-06
デザイナーの仕事と論文指導
教育 |
著名なデザイナーの仕事ぶりをテレビでみた。毎回、毎回、これまでにない新しいデザインを作り上げる。素人目でよくアイディアがつきないなあと思ってたら、アィディアは顧客からもらっているらしい。その商品の本当のウリは何か、制作者は何を大切に思っているか。それを見える形にするのがデザイナーの仕事ということらしい。
仕事がら学生に論文指導をする。私はテーマを決めるまでにかなりの時間を使う。研究計画がまとまりそうな段階でも学生がやる気を失っていたら別のテーマでやり直す。やる気が出ないテーマをまとめるのは、非生産的でつまらない上、時間の浪費と思えるからだ。
ところが、学生は楽できそうな研究テーマをよく持ってくる。「本当にこのテーマでいい?これをまとめるためだったら徹夜してもいいと思える?」と尋ねる。「どうしてこれをやろうと思ったのかなぁ?」「最初のきっかけは何だったの?」とナゼを繰り返す。本人だけの体験が聞けたら合格となる。
そうでなければ、一緒にテーマをさがす。最後の方は人生相談に近くなってくる。「何でこの分野に進もうと思ったの?」「今、その気持ちはどうなの?」「将来はどうなりたい?」「本当にやりたいことは何だろう?」その中で他人とは違う本人だけのものを見つける。それが研究のタネになる。
タネがみつかったらそれを「かくあるべし」という主張か、「これってなんだろう」の疑問の形にしてもらう。後はそれを事実を元に述べるだけだ。
学生は、未知のものを調べるのが研究と思っていたりするので、最初から「かくあるべし」と結論があってはいけないと思ってる。そうではない。それをいかに客観的に論理立てて主張するかが研究なのだ。そのためには様々な研究手法や分析方法を学ばないといけない。
一方で、ぼんやりした疑問を明らかにしたいというテーマもある。ただこれはヘタをすると、何がやりたいのか分からない論文になりがちだ。その裏には、やはり何かの主張があった方がいいと思っている。
私は「かくあるべし」の論文の方が好きだ。そんな論文は読んだ後、著者の主張が伝わってくる。「魂がこもった論文」と名づけている。
2010-07-01
看護における情報学の教育について
看護情報学 |
先日の学会で、看護情報学として何を教えたらいいのかという話がありました。
コンピュータの使い方から、コンピュータ技術の知識、システム開発から病院のマネジメントまで、全部が看護情報学というと広すぎると感じます。
変なたとえ話で恐縮ですが、人においしいものを食べさせたいという人がいたとすると、何を教えたらいいでしょうか。
- 調理道具の使い方
- 調理道具を使った料理の作り方
- 献立の作り方
- 新しい料理レシピの作り方
- おいしいレストランの探し方
- 相手にとっておいしいものが何かを見いだす力
- 普遍的なおいしさとは何かを探求する力
目的は同じでも、その人のおかれている状況によって教えることは違ってきます。
看護情報学においても同じことで、よい電子カルテを導入するのが目的であれば、無理にコンピュータ技術を身につける必要はないと思います。もちろん身につけても構いませんが、中途半端な知識はかえって正しい判断を妨げることもあります。
看護情報学として教える内容を決めるのであれば、何が看護情報学かではなく、教える相手がどんな技術を必要としているかを考えぶべきです。例えば、電子カルテ導入の意志決定を行う立場と、電子カルテの開発に関わる立場、電子カルテ導入を支援する立場、電子カルテを使う立場とでは、かなりの違いがあります。
世の中に役立つことばかりを追求するのは学問ではないという立場もありますが、教育ということを考えると、教える内容と世の中とのつながりを意識することが大事だと思います。
指示受けの件で当院の考え方ですが・・・
いちいちカルテを見て確認する業務がもう時間のロスとよく看護部さんから言われるので各病棟にオーダリング進捗情報画面をテレビモニターに映しだし、処方、注射、生理、画像、本日の入院患者、退院患者、コメント指示オーダといったブラウザーを7個立ち上げ30秒自動更新で確認できるようにしました。実施済みになったデータは自動的にリストから削除されます。このモニターがあるおかげてリーダの仕事は飛躍的に改善したといわれていますが。。。