スペイン不動産市場が最悪水準 CDSも危険水域に突入

金融危機前まで、スペイン経済を引っ張ってきた不動産市場が同国
の統計開始以来、最悪水準まで落ちてきている。


土地や建物といった住宅の売買件数が、2004年以降で最も少なく
なったというのだ。
今年第2・四半期に行なわれた不動産物件売買件数は90746件。
昨年同時期と比較すると約41%ものダウンという。


また7月の住宅販売も前年同月比34.8%も減。


そして不動産価格自体もここへきて急激に下落し、今年の第2・四半
期は2009年のバブル崩壊時期に次ぐ下落幅。
詳細な部分でいえば、住宅ローン件数は1995年以来の最低値だっ
たという。


一方でユーロ安から輸出が増加し、1月から7月までの貿易赤字
15.8%も減少。
しかしこれでも貿易黒字まで転換できていない。
あくまで赤字幅が減ったということだけ。
日本が急激な円高でも貿易黒字を維持していると比べて、スペイン
のモノ作りは競争力を含め、非常に乏しいといえる。
不動産と観光業でしか取り柄がないということか。
経済的な問題もあり、同国では夫婦の離婚率が4年ぶりに上昇した
という。


スペインの5年ものCDSスプレッドも上昇してきている。
9月22日には432bpまで上昇。
リーマンショック後の水準の2.5倍近くまで達しているのだ。
ユーロ域内最大の経済大国ドイツの指標を基準に表しているのだが、
ドイツのスプレッドもぐんぐん上がってきていることから、まさに欧州全
体で危機が急拡大している。


いよいよ10月中には、ギリシャが完全な資金不足に陥るらしい。
しかしドイツやフランスも安心はできない。
ギリシャ問題だけでなく、12月には自分たちも年度末決算を迎える
ことになるからだ。
スイスやオランダ、ベルギーも同じ。
とにかく9月いっぱいは、米国の企業決算時期と重なることもあって、
来週も息が抜けない一週間になるだろう。



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