2009-11-22
米国がビザンティン帝国に学ぶこと
社会 |
Foreign Policy誌にエドワード・ルトワックが、米国はローマ帝国ではなくビザンティン帝国を範とすべし、と書いている(The Big Picture経由)*1。
ルトワックに言わせれば、ローマ帝国の容赦無い拡張主義や外国人支配や全面戦争の手法を米国が真似たら、却って没落を早める、むしろローマ帝国よりも8世紀長続きしたビザンティン帝国の方を手本にすべし、とのことである。また、ローマ帝国はあまり戦術・戦略に関して文献を残さなかったが、ビザンティン帝国はすべて書き残しているという。ルトワックは過去20年間にそれらの文献を渉猟して、以下の7つの米国への教訓を引き出したとの由。
- 戦争は可能な限り避けよ。ただし、いついかなる時にも戦争が始められるかのように行動せよ。訓練を怠ってはならず、常に戦闘準備態勢にあるべきだが、戦争を望んではならない。戦争準備の最大の目的は、戦争を余儀なくされる確率を減らすことにある。
- 敵の情報を心理面も含めて収集せよ。また、敵の行動を継続的に監視せよ。それは生産的活動ではないかもしれないが、無駄になることはまずない。
- 攻撃・防衛両面で軍事活動を活発に行なえ。ただし、戦闘、特に大規模な戦闘は、よほど有利な状況で無い限り避けよ。説得を武力のおまけと考えたローマ帝国のように考えてはならない。武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、説得に応じない者を弱める助けになる。
- 消耗戦や他国の占領ではなく、機動戦を実施せよ。電撃戦や奇襲で敵をかき乱し、素早く撤退せよ。目的は敵を壊滅させることではない。彼らは明日の味方になるかもしれない。敵が複数いる場合、お互いを攻撃させるように仕向けられれば、単一の敵よりもかえって脅威は小さくなる。
- 同盟国を得て力の均衡を変えることにより戦争を成功裏に終結させることに傾注せよ。外交は平時よりも戦時においてこそ重要である。銃が口を開けば外交官は黙るという馬鹿げた慣用句は、ビザンティンがそうしたように否定せよ。最も有用な同盟国は、敵に最も近い国である。彼らは敵との戦い方を最も熟知している。
- 政権転覆は勝利への最も安上がりな方法である。戦争の費用とリスクに比べれば実に安上がりなので、不倶戴天の敵に対しても実行を試みるべきである。宗教的狂信者でさえ買収可能であることは銘記すべき。そのことはビザンティンがいち早く気付いていた。狂信者は自分の大義に背く行動の正当化に長けているものなのだ(「イスラムの最終的な勝利はいずれにせよ明らかなのだから」云々)。
- 外交と政権転覆では目的を達成できず、戦争が不可避となった場合には、敵の弱点を衝く手法と戦術を適用せよ。消耗戦は避け、辛抱強く徐々に相手を弱体化させよ。これは時間が掛かるかもしれないが、急ぐ必要は無い。というのは、ある敵がいなくなったら、代わりの敵が必ず現れるからだ。支配者と国家は興亡を繰り返すが、帝国は永遠である。自ら自分を弱体化させなければ、だが。
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孫子が一番正しいし、リデルハートの間接戦略が正しい。
日本は中国にこの点で著しく劣っている
ただし、帝国のどこかに真善美を保つ場所を維持し続けなければならない
そうしないと本当に中国のようなでたらめでダメな国になる。
クラウゼッツのように考え、リデルハートや孫子のように行動する
タイムリーなことに「経済学で読み解く軍事史」という新刊が出ました。
Castles, Battles, and Bombs: How Economics Explains Military History
Jurgen Brauer (著), Hubert Van Tuyll (著)
http://www.press.uchicago.edu/presssite/metadata.epl?mode=synopsis&bookkey=261287
http://www.press.uchicago.edu/Misc/Chicago/071633.html
http://www.amazon.co.jp/Castles-Battles-Bombs-Economics-Explains/dp/0226071634
背表紙にはトマス・シェリングの推薦文があります。
経済理論と軍事理論の融合が進みつつあるようです。