主流派経済学者の不寛容

okemosさんが訳されたNick Roweのエントリに事寄せて、アーノルド・クリングが5/21エントリで次のように書いていた。

I too am struck by the rapid change in macroeconomic orthodoxy. A few years ago, pretty much everyone said that monetary policy could correct any aggregate demand shortfall coming from the collapse of a bubble. Now, pretty much no one, other than you know who, says so. The new consensus is that banks matter, and bailing out banks was a key policy move to prevent calamity.
The only thing I will add to Nick's post is that the exponents of the orthodox view were contemptuous of dissenters when they held their views of three years ago, and they are just as intolerant of dissenters to the new consensus.
(拙訳)
主流派マクロ経済学の急速な変化に私も驚いている。数年前は、ほとんどすべての人が、金融政策はバブル崩壊によるいかなる総需要不足に対応できると言っていた。今や、皆もご存知のあの人(=サムナー)を除けば、そう唱える人はほとんどいない。新たなコンセンサスは銀行が重要だということであり、銀行救済は危機を回避する重要政策だとのことである。
Nickのポストに付け加えることがあるならば、主流派経済学者の見解の解説者は、3年前には自分たちの掲げる見解に同意しない者を軽蔑していたが、新たなコンセンサスに同意しない者にもまた同じくらい不寛容である、ということである。


例。

(4)今次金融危機以前のグレート・モデレーション期には、標準的なNKモデルの結論に基づいて、物価の安定を図れば経済全体の安定も図れるという理解がコンセンサスとなっていた。バーナンキがかつてITを推奨していたのも、こうしたコンセンサスを共有していたからだとみられる。

池尾和人 on Twitter: "(4)今次金融危機以前のグレート・モデレーション期には、標準的なNKモデルの結論に基づいて、物価の安定を図れば経済全体の安定も図れるという理解がコンセンサスとなっていた。バーナンキがかつてITを推奨していたのも、こうしたコンセンサスを共有していたからだとみられる。"

(終)危機以後は、金融市場その他に関する摩擦要因も重要だという理解になり、そうした要因を考慮に入れるとITが最適金融政策ルールであるとは一般的にいえないという認識に変化してきている。にもかかわらず、大平穏期の頃のコンセンサスをいまだに世界標準だとかいっている人もいる。

池尾和人 on Twitter: "(終)危機以後は、金融市場その他に関する摩擦要因も重要だという理解になり、そうした要因を考慮に入れるとITが最適金融政策ルールであるとは一般的にいえないという認識に変化してきている。にもかかわらず、大平穏期の頃のコンセンサスをいまだに世界標準だとかいっている人もいる。"