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2006-03-18

自分の能力を固定的に考える人と成長し続けると考える人

人間は2つのタイプに分けられるという。自分の能力は固定して変わらないと考える人(fixed mindset=固定思考)と、ずっと成長し続けると考える人(growth mindset=成長思考)である。スタンフォード大学の心理学の教授で「Mindset -- The New Psychology of Success」の著者のキャロル・ドウェック(Carol Dweck)の発言である。ラジオ番組Tech Nationでのドウェックへのインタビューの最初でそう述べている。リンク先ではインタビューのMP3ファイルがダウンロードできる。このブログ記事はそのインタビューの内容紹介である。

能力を固定的に考えている固定思考の人にとって、人生とは失敗を犯さず、知的に見えるように振る舞い、自我を誇示することを通じて自分の存在を証明することであり、成長は関係がない。成長し続けると考える成長思考の人にとっては、成長こそが人生であり、失敗によって自分の価値が決まってしまうことはないので、失敗を恐れない。

ある人が固定思考・成長思考のどちらを持つかを判断するには次の命題を考えてもらえばよい。「知能は人の土台をなすもので変えることはできない。新しいものごとを覚えることはできるが、賢さを変えることはできない。」これに同意する人は固定思考の持ち主であり、同意しない人は成長思考の持ち主である。

ドウェックはもともとは固定思考を持っていたが、成長思考に改めた。どちらの考え方をするかは人格の基本を成すのではあるが、あくまで考え方であり、変えることはできる。

成長思考の例として、サンフランシスコ・フォーティナイナーズのフットボール選手ジム・マーシャル(Jim Marshall)が、ある試合で取った行動が挙げられる。マーシャルは試合の前半で敵方にタッチダウンして点数を与えるという大失態を演じてしまった。しかし、ハーフタイム中に失態を跳ね返す決意をし、試合の後半で選手生活中屈指のすばらしい働きをしチームを勝利に導いた。試合後マーシャルは失態からの立ち直りを助けるための社会活動をするようになった。

固定思考の持ち主は自分に対して甘い評価をする。自分の否定的要因は自尊心に対してマイナスなので無視する。自分より劣った人と比べて自尊心を保つ。その結果、自分自身に対する正しい評価がくだせない。

いっぽう、成長思考の持ち主は自分に対して正確な評価を持つ必要がある。そうでないと、いかにして成長するか正しく定められないからである。自分の足りない点を把握する必要がある。

固定思考・成長思考の研究の中で、子供の褒め方の比較をした。1つのグループの子供達についてはよい結果を出した場合にその結果を褒めた。そうやって褒められた子供は困難に出会うと簡単にあきらめてしまった。固定思考を持ってしまい、成長しようとしなくなってしまった。別のグループの子供たちについては頑張った場合やうまいやり方を考え出した場合に、頑張りややり方を褒めた。そうやって褒められた子供が困難に出会うと、前にもまして頑張ろうとしたり、うまりやり方を考えようとした。成長思考を持つようになったのである。

また別の実験では、算数のテストの前に数学の天才の話を聞かせたグループと、数学が好きになり努力して数学者になった人の話を聞かせたグループとの間でテスト結果を比較した。後者のグループのほうが良い成績を収めた。

2006-03-23追記

固定思考か成長思考かを判断するための質問は実際にどう言っているのだろうと疑問を持っている人がいたので、その部分を書いておく。

Answer these questions about intelligence.

Your intelligence is something very basic about you that you can't really change. You can learn new things. But you can't change how smart you are.

Do you agree with those statements? Do you disagree with those statements? If you agree, that's a fixed mindset. If you disagree, that's a growth mindset.

番組のMP3ファイルの最初から3分15秒の時点での発言である。

2006-03-26追記

成長思考の人は自分に正しい評価を下すということに関して実際にどう言っているのかとの声もあったので、その部分も書いておく。

But in the growth mindset, you need accurate information in order to learn and grow properly.

You need to know if you're bad at this or you're ascending people or you're going down the completely wrong road.

You need to know that now, not 10 years in the future when it's too late.

So you really stay in touch with your liabilities and take steps to remedy them.

開始から10分24秒の部分である。

2006-03-30追記

今週のIT Conversations Newsで、このインタビューは先々週配信された内容の中でリスナーの評価が最も高かった(5が最高で4.4)と発表された。

みちみち 2006/03/21 00:15 初めまして。みちといいます。
たまたま読んだこのブログに、何かを教えられた気がしてコメントを書かずにはいられませんでした。
ワタシは、おそらく成長思考を持っていると思います。やはり命題には同意できませんでした。
人は、いかようにも変われる。賢さだって、何だって、変えられる。
とワタシは思います。
これは、自分の意志次第で、という条件付きだとは思いますが。ただし、それに加えて、変化は環境にも左右される、ということは否定できないとも思います。ワタシは成長思考だと言えるけれど、正確な評価ができるかどうかと言ったら自信を持ってウンとは言えません。このことを、このブログに気づかされました。正確な評価のできる、成長思考の人間を目指して日々生活していきたいです。
このように考えさせてくださってありがとうございました。

ゆたかゆたか 2006/03/21 19:12 >みちさま
>変化は環境にも左右される

 その通りだと思います。
 でも、その環境すら努力で変えることができるんじゃないかと、
 最近は思うようになりました。

 私自身、恵まれた環境に育ったわけではないですが、
 自分の目標に向かって着実ににじり寄っている最中です。

 本エントリーはたいへん参考になりました。
 ありがとうございます!

nagwikinagwiki 2006/03/22 00:02 う〜む。命題の答えからすると、私は「固定思考」ですねぇ。自分自身がどうかはともかく、他人に対しては、そういう考えを持っていて、「成長する気のない人」に対しては、とかく冷たい態度を取りがちですね。

出張ぎらい出張ぎらい 2006/03/22 05:40 自分はどっちかなあ。ただ思うのは、どんな思考形態の人でも「自分に対して正確な評価を持つ」なんてこと実際に出来るんか?と思ったりします。英語ではなんといってるんでしょうか?

adminadmin 2006/03/22 09:59 前向きな人と後ろ向きな人では当然前向きな人の方が先を見ているから成長はしやすいとは思うけれど、必ずしも固定的かどうかで決まる話ではないような気がする。
元々初期能力が高く、周囲からそう言う目で見られてきた人は固定的であっても、自分の能力を高い位置で固定的に捉えるためにその位地を確立し続けるために努力する場合もある。
要するに成長的な人の「頑張ればもっと出来るようになる」ではなく、「これくらいのことは自分になら出来るはず」の位置が他の人の比べて高い場合。
失敗を恐れるが故に、失敗しないように確固とした安全圏へ自分を持っていくために頑張る人もいるだろうし。
成長し続ける思考といっても、単に楽観的で「次頑張ればいいや」と考えるだけの人には何も出来ない。

結局は人それぞれって事でしかないような気がする。

通りすがり通りすがり 2006/03/22 11:00 ↑固定思考の持ち主とみた。

adminadmin 2006/03/22 16:39 ↑違うと思いますが・・・・。
必ずしもどちらかに分けられるとは思わないんで2つ↑の方と同意ですね。
どっち寄りってのは分けれても完璧にどっちだ!!とは言えないと思いますので。ケースバイケースでしょ。

himazubloghimazublog 2006/03/22 17:07 >みちさん
コメントありがとうございます。インタビューの中で「賢さは変えられない」という命題を聞いたときに私は同意できないと思いましたが、そう思っている面も多少ありました。みちさんは私よりずっと成長思考が強かったことになりますね。このインタビューを聞いて私も「一応成長思考」から脱して「正真正銘成長思考」に成ろうと思いました。このコメントは2006/03/21 07:24に書いたのですがちゃんと表示されなかったので再入力したものです。

himazubloghimazublog 2006/03/22 17:24 >コメントを下さっている皆さん
インタビューの中では、論点を明確にするために、いろいろな点で話を単純化していると思います。実際には固定思考か成長思考の白か黒かではなく、いろいろな濃さのグレーなのだと思います。また、固定思考・成長思考には幾かの面があり、ある人はある面では非常に固定思考的だが別の面ではそれほどでもない、ということがあるでしょう。
固定思考の人が自己評価が甘く、成長思考の人が正確というのもそういう傾向かが見られるということで、固定思考が強い割りには自己評価が正確だとか、その逆も中にはあると思います。

通りすがり 通りすがり 2006/03/23 02:39 賢さって例えばどうかわるですか?変えようがあるんですか?

みちみち 2006/03/23 23:59 >ゆたかさん
環境を努力で変えられるってのは納得です。
私自身は、これまで自分のおかれた環境に不満を抱くことはなかなかなかったので、凄く良い環境で育ててもらってきたと思います。こんなすばらしい環境におかれてなんて自分は幸せなんだっていつも思います。しかし世の中には、ゆたかさんのように厳しい環境の中で、努力の末、恵まれた環境にいる人以上に大きな成長を遂げられる方も多くおられるでしょう。その方達を見ていると、恵まれた環境の中いる私は、今の状態が最良であるはずがない、もっともっと成長できるはずだ、ということを気づかされます。

>himazublogさん
>いろいろな濃さのグレー
本当にその通りだと思います。成長思考か固定思考かは人それぞれで、かつ、1人のひとの中でも場面によって違うとおもいます。この命題においては、総合的に見て成長思考か固定思考かを問うているのではないでしょうか。

>通りすがりさん
気になったので、広辞苑で「賢い」を調べてみました。多少省略してあります。
【賢い】〆庸宗思慮・分別などが際だっている
    ∪犠錙性能が優れている
,琉嫐での賢さは、日々の学習の中で反復学習などにより成長できるのではないでしょうか。
例えば、理性で善悪を区別できる(つまり、分別できる)ようになるには、その方法を学んでからしか可能ではないと考えますし、それが一種の賢さの成長であり、変化であると思います。
△蓮∨寨菷わっている能力に関する意味なので変えようがないと思います。
つまり、変えることのできる賢さと、変えることのできない賢さがあるのではないでしょうか。

トミトミ 2006/03/24 01:10 初めまして、トミと言います。私が日々痛感していること、それは自分が賢くないことです。勉強はできる自信があります。でも勉強ができるのと、賢いが違うということを大学に入って、バイトをして気づきました。準備や段取り、不意の出来事に対する対処能力が全然自分にないのです。でもこんな自分でも賢さが変えられないとは思いません。変わるためには、まず自分を知る、自己覚知をする必要があり、そして自分がどうしたいかを決めなければいけないと思います。後は行動に移すだけ。でもある面では行動に移せてない面があります。自分の中に固定思考と成長思考があるのだと思います。そこが自分の弱い所だと日々痛感しています。

大川内 麻里大川内 麻里 2006/03/27 10:04 はじめまして、とても興味深い記事、拝読させていただきました。
命題に関しては、「知識」・「知恵」・「英知」の別を、そのひとがどうとらえているかにもよりそうですね。

himazubloghimazublog 2006/03/28 00:37 >大川内さん
トラックバックも戴きましてどうも。

確かに知能(intelligence)・賢さ(how smart you are)をどう考えるかで命題に対する答えは変わってきます。私は、分析力・思考力・経験・知識・記憶力などから成る総合的な知的能力と考えています。外から見えるのはある入力に対してどういう出力を出せるかであり、それは総合力の結果だと考えます。

このインタビューを聞いた結果、その総合力は一生向上させ続けることができるかも知れず、できると考えるほうが楽しいので、そう考えようと思うようになりました。

悩みおおき悩みおおき 2010/12/10 21:57 まぁ、経験上人の能力はずっと固定ですけどね。

みやこみやこ 2011/02/24 14:29 はじめまして、こんにちは。

クラスの宿題でこの本の一部を読んでいます、が、わからなくって日本語で検索したらここにたどり着きました!
とてもわかりやすいし、興味を持つことができました。
これから読み進めます。そのまえにインタビューのページを探します。

大学で教育の勉強をしている者です。
himazu blogさんに助けられました。
ありがとうございます!

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