Vermilion::text 50F テラス「夏の幻影、風の薫り。」

アオイソラ、シロイタイヨウ。72と1の柱のこのフロアから見える景色は夏そのもの。白いつばの広い帽子に白いワンピースとあまりにもその風景に合い過ぎたいでたちの少女。深く深く深呼吸。広げた両手が風を受ける。たなびくワンピースと帽子のリボン、少女の髪の毛。まるで風をうけ飛ぶ鳥の翼のよう。風に命を吹き込まれた帽子がひらと少女から離れ行く。あわてて帽子を追いかける少女。その先には初老の男。足元にやってくる帽子をとらえ駆け寄る少女の手へ。ありがとうございます。会釈する少女。風が強いから気をつけなさい。やさしく微笑む男。再び帽子をかぶり72の柱へ近づく少女。視線は遠く雲海。思い描くはなつかしの思い出。たなびく雲とともにやってくるはなつかしの記憶。待ち続けるは彼方への願い。

たぶんそろそろ。きっとあえる。