やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

写真も撮らなかったけど・・・

 昨日の出来事。

 この家に引っ越してきてから一週間。

 やっとインターネットも開通し、ハンガリーからの荷物もあと10日ほどで届くことになったので、あれやこれやをしまうための棚なんかをぼちぼち揃えていかないとなあ・・・などと思っていた5月26日(金)の午後8時頃、だったかな。まだまだ日没までは1時間以上あるので普通に明るい午後って雰囲気のときでした。


 リビングの窓からふと外を見ると、家の前の、明らかに“我が家の敷地”と思われる場所に数人の見知らぬ人が。

セールス・・・?にしては、この家族チックな人たち、何やら我が家をバックに写真を撮ったりしているだけのようだし、これって、いったい何してるわけ?



 これは別の日に、家の中から家の前をあたりを撮ったものですが、この作業服を着てヘルメットをかぶっている人よりも、ずっと我が家よりの場所・・・ちょうど家庭菜園用の四角いスペースのあたりで、なんだかわいわいと賑やかな雰囲気。


 昨日も書いたけれど、我が家は、わざわざ背景にして写真を撮りたくなるような可愛い外見の家では決してない


 一緒に写真を撮りたくなるようなラブリーな家は、あっちにもこっちにも、もうそれこそ数え切れないほどご近所にたっくさんあるのに。


 もしかして、【FOR RENT】の看板を頼りに、住む家を探してる?
で、
 「ここなんてどう? 良さそうじゃない?」って感じで、とりあえず記録として写真におさめて・・・

 いやいや、でも、外見だけで気に入るような物件では決してない・・・・。



 なーんて思いながら見ている私の視線に気づいたらしく、

 その中の一人、年配の女性が、ニコニコしながら玄関の方へ。


 なので、私も玄関へ。

 集団の強盗とかでもなさそうなので、ドアを開けると


「ごめんなさいね。勝手にお邪魔して。実はね、私たち・・・・以前、この家に住んでいたものだから。」


「えぇ? そうなんですかぁ?」

・・・・・え?ほんと?ほんとにそれだけの理由でここで記念撮影?・・・なーんて、ちょっと思いながらも、そう言ったのと、

「そうなの。もう35年も前のことだけど。そう。35年以上前よ❢ ほとんど変わってなくて!! もうなんだか嬉しくって!!」

と、文字通り、頬を紅潮させながら彼女が答えたのがほぼ同時でした。


35年前!!

 それはちょっとすごくないですか!?

「35年前? その頃、この家に住んでいたんですか?」

 
 つい、同じことを繰り返しながら、ちらりと彼女の後ろにいる人たちに目をやると、


 「おいおい、ご迷惑じゃないか・・・」的な顔で苦笑いしている年配の男性と、

 「いいじゃん、好きにさせてやれよ。」という感じで、これまた苦笑いしながら女性のことを優しく見ているちょっと若めの男性。


 ・・・怪しい人たち、って感じじゃなさそう。

ってか、わざわざ、そういう嘘ついて、この家に何かしよう・・・という魂胆がある人たちには見えない、と思ったので、


 「私たちはほんの数日前に越してきたばかりなんです。だから、ソファとか家具もほとんどないし。でも、床はきれいでしょう? リフォームしたばかりみたいで。」

と、“どうぞ、ご覧くださいな” 的な仕草で彼女に言うと、


「ほんと・・・こんなにきれいだなんて! あぁ、なんだか本当に懐かしい。すごくきれいだけど、でも形はそのまんまよ。」と、胸がいっぱいの様子。


 わかるなぁ・・・その気持ち。


 自分がかつて住んでいた家って、その後のこと、気になるもんなぁ・・・

 久しぶりに懐かしい家の前に行ってみても、誰か全く知らない人が住んでいることだけを確認して、そのまま帰ってきた、という記憶がある私は、この人の気持ちがものすごくよくわかってしまって・・・・



あ、そうだ!

「こんな穴、その当時からもあったんですか?」

と、キッチンの横の壁にある、こんな小窓のような部分を彼女に見せて聞きました。



「あったわよ〜!。ここには電話を置いていたわ。」


「同じですね。でも、今は、ケイタイの充電場所ってことなんですけどね。ほら、ここにUSBがさせるようになっていて。」



 今、私たちが使っているUSB差込口の下の方には、彼女たちが昔、使っていた電話線のモジュラージャックがまだしっかりと残っています。


 ついでに、リフォーム済みできれいになっているキッチンも見せてあげたら、

「床だけじゃなくて、この壁のタイルも新しいわ。でも配置は同じ。懐かしい!」


 ついでに、地下室もご案内し・・・このだだっ広い部屋をどうやって使っていたのか聞いてみたところ、大人数で住んでいたのでここも部屋としてしっかり使っていたそう。

リビングのようにもしていたけどベッドも置いていたそうな。

 
 さすがにプライベート・エリアである2階まではご案内せず、

 でも彼女の方も、そのへんは心得ていたのか、2階への階段の前を通っても上に行きたそうな素振りは見せずにすぐに玄関の方へ。


 「中を見せてもらっちゃったわ❤」 と、興奮気味に話す彼女を取り囲む4〜5人の人たち。

 今は東海岸の方に住んでいるご一家で、休暇を利用して(・・・今って休暇??)エドモントンまで車でやって来て、今日着いたところだろか。


 「よかったら皆さん全員一緒にこの家の前で写真、どうですか? 私、撮りますよ。」


 ということで、ご主人の持っていたカメラで、2枚ほどパチリ。


 そして、

「ありがとう!カナダでの生活、楽しんでね!!」という言葉を残して、一家は去っていきました。


 もちろん、一番若く見えた女の子(さっきの女性のお子さん)にとっては、この家は初めて見る家だったそうです。

 どう見ても10代という感じでしたから、35年前なんて生まれているはずもなく。

 でも、かつてお母さんが住んでいた家を家族と一緒に訪ねる、というのも、なんだか面白い体験だったんじゃないかなぁ・・・。


 私よりもちょっと年上に見えたあの女性は、もしかしたら近所のアルバータ大学の学生さんだったのかも。

 なんだかもっと色々話が聞きたかったな。


 っていうか、一緒に写真撮らせてもらえばよかった。

 彼女たち家族の写真も1枚ほしかった〜。ここにペタッと貼り付けさせてほしかった〜(笑)
 
 
 
 35年ぶりにこの家を訪ねる機会を得た彼女(・・・・・名前、聞いたのに、忘れてるし(TдT)💦)
が、私たちがまだここに住んでいるうちにまたここを訪ねてくれる可能性はものすごく低いと思うけど、

でも、もし、また来てくれたら、

その時は、きっと我が家もちゃんと家らしくなってると思うから、我が家のリビングで、あるいは裏庭で、あるいは家のすぐ裏にある広い公園で、一緒にお茶でも・・・

名前は忘れちゃったけど、顔はもう一度見れば必ず思い出せる気がするし。


そしてその時は、今度は一緒に写真撮らせてもらおう。