Hatena::ブログ(Diary)

喫茶Arl -β館 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013-02-26

【Book】【書評】『自分のアタマで考えよう』を読む前に

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

  • 知っていると考えるは違う
  • 考えるとは、アウトプットすること

 このふたつの教えから始まる、『自分のアタマで考えよう』ですが、この本おそらく、すでに「考えることが好き」というのが前提にあるんですよね。これは、少しハードルが高い。というのも、世の中には、「考える」という行為自体を特権階級のものだと思ってる人が多く、また、「考えるってめんどくさい」と思ってる人も少なからずいるからです。

 ちきりんさんは、めんどくさがりだけど、自分の好きなことは(他人が努力と思うレベルでも)楽しく、とことんやるタイプの方で、「アタマがいい人はやっぱり、住んでる世界が違うんだよー」って思いを前提にしてる人がこれ読むと、普通に「それはそういうもの」として諦めてしまいそうで、たいへんもったいない。で、逆に、「既出の情報ばかり」とか、「フレームワークにいれることで思考を停止している」とか、そういう評価の仕方をしている人もいる。どちらも思考放棄に見えますね。

 つまり、考え方のフレームワークや、考えることそのものの必要性をわかっていない人には無用の長物となってしまう。では、「考えることが好き」になるため、もしくは、「考えることの必要性」を教えてくれる本はあるのか。

 回答からすると、それこそが、一般市場に出回っている思考本の正体だと私は思います。だから、ある水準まで来た人が、『自分のアタマで考えよう』を読んで、一部に納得したり、一部に批判的になったりするのが、この本の正しい利用のされ方なんですよ。

 というわけで、前半は、その考えることに向き合うための本(というか要素)を紹介したいと思います。

メモをとる

あなたを天才にするスマートノート

あなたを天才にするスマートノート

「スマートノート」とはTwitterである - 喫茶Arl -β館
 適当にいいまとめ記事がないか探したのですが、自分の感覚を言葉にしてるのは、自分の記事しかないのよねーと1年前の記事を引っ張ってきました。恥ずかしい。
 とはいえ、この記事自体がとても長いので、さっくり要約しますと、以下。

  • スマートノートっていうのは、何もアナログである必要はなく、「毎日メモや日記をとること」が重要事項。なので、TwitterでOK
  • あとは、自分がふと思ったこととか、感覚を言葉に当てはめていくパズル遊びをしてると、突然、それがリンクする感覚が出てくる
  • 5月に自分が言ってたことが、ふと思い出されて、10月の私の感覚パズル遊びのヒントのひとつになる。このときのネ申感と言ったら、まどかが契約するレベル。

 最終的に、(論理的とか、内容の濃淡は抜きに)基本3000字、情熱次第で1万字書けるようになったりします。あげた記事は1万字ぐらい書いてる。まぁ、ムダが多いのは確かなんですけど、今見返すと、わりといいこと書いてる。

「頭がいい」ってことは幸せだってことなんです。わかったときの快感や、言葉として理解していたことを体感したときの嬉しさというのは、人生に輝きをもたらすものなんです。
「スマートノート」とはTwitterである - 喫茶Arl -β館

 こういうこととかね。「考えることの必要性」とか、「アタマがいい人になる」とかではなくて、考えることそのものが幸せである。また、そういう思考になりやすい人が、スマートノートでいう「頭がいい人」にあたるわけです。ここまで来るとわかると思うんですけど、考えることが自然なことになってますよね。好きなものに対して、感じたことを好きなように言葉にしている。そういう状態です。

 で、始めるときのきっかけというか、継続するのにあったら、やりやすいなぁと思うのが、好きなことですね。スマートノートのいいところは、多分、やってるうちに好きなことが見つかったり、自分の傾向がわかりやすくなる点にあるんですけど、それを初めから自覚していて、そちらの方面から手を出すというのもいいと思います。

フィルターをつくる

1.比較フィルター

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

「超」文章法 (中公新書)

「超」文章法 (中公新書)

 文章術の類が書かれている本って、大体、志とか、書くための要素を見つけるみたいな話が書かれていることが多いのですが、上記の二冊にも載っています。

 『誰も教えてくれない人を動かす文章術』では、文章の中で独自な視点は、『異質であると思われる二つのものの間にある共通点』と『同質であると思われている複数のものの間に差異』である。それがあると、目の付けどころのいい文章になる。また、異質なAとBを繋げようとして出来る「無理」や「ゆがみ」が個性につながる。そして、イメージを膨らませ、繋げていくことが想像力豊かな文章になり、アイデアの連鎖が自身の世界観になる。というような内容があり、『「超」文章法』では、以下の対立概念の使いこなすことで、論述文の骨組をつくることができるとあります。

  • 一つは二つ…一見均質に見えるものが、もっと複雑であることを見出すこと
  • 二つは一つ…異なると思われているものが、じつは一つの理論で説明できること
  • 善悪や正邪を逆転させる…従来の善悪のイメージを逆転させること
  • 従来とは違う基準で二分する…「一つは二つ」と「二つは一つ」を組み合わせること
  • マトリックス法…二つの概念を持ち出して対比すること

 これは、『自分のアタマで考えよう』にも少し書いてあることですが、まず、大事なのは「比較すること」、そこから、「差異」と「同質」を見つけることが大事です。これも別に難しいことじゃなくて、キャラクターAとキャラクターBの同じところはキャラクターCに思いを寄せている、違うのはAは熱血で、Bはクールとか、そんなことでいいんですよね。そのうち、その人が比較してきた点が繋がると、人と違う着眼点ができる。それまでに色々と積み重ねるのが大事。

2.価値観フィルター
 オタクの方はわかりやすいと思うのですが、外側から見たときに、『あの花』と『とらドラ!』と『true tears』を繋げられるかみたいな話です。普通の方だと、アニメ作品が並んでるだけになりますが、オタクの方からすれば、「『true tears』だけ監督、キャラデザの人が違う」とか、「全部に女性のドロドロした描写がある」とか色々出てくると思うんですね。前者は長井龍雪田中将賀という存在を知っているし、後者は岡田麿里がシリーズ構成を手掛けた作品だというのを意識した発言です。アンテナの張り具合がほかの事項に比べて、明らかに高いですね。

 比較フィルターはわりと意識すれば使いこなせるのですが、こちらの価値観フィルターは常に意識を向けていなければならないところがあるので、好きなものに対するフィルターを身につけて、その感覚を他に応用していくのがいいと思います。幹の姿を意識して、枝葉を伸ばしていく感覚ですね。目の付け所みたいなのを知っておいて、他のものを見たときにも応用することはできます。

『自分のアタマで考えよう』を読む

 以下、気になったとこ箇条書きです。

序 「知っている」と「考える」はまったく別モノ
「知識」=過去の事実の積み重ね
「思考」=未来に通用する論理の到達点

1.最初に考えるべき「決めるプロセス」
意思決定プロセスをまず考える(明文化できるほど、はっきりと)
プロセスに合わせた情報収集を!
考えるとは、インプットをアウトプットにすること(≠作業)

2.「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
「なぜ?」で、データの背景(=現状)を考える
「だからなんなの?」で、データの解釈、対応すべきこと(=未来)を考える

3.あらゆる可能性を検討しよう
分解図をつくって、考えモレを無くす(=構成要素をあぶりだす)
構成要素の組み合わせを考える

4.縦と横に比べてみよう
縦=時系列比較=歴史的な観点で物事を見る
横=分野比較
※このときの分野は同じレベルであること。東京ならロンドン、日本ならイギリスと合わせないと意味なし
プロセス比較=物事を段階分けして、その都度比較するをしよう

5.判断基準はシンプルが一番
判断基準に優先順位をつける(欲張らない)
目標の姿から的確に判断基準を見つける
事態が複雑だからと、基準をいくつも設けるのはNG! 二つに絞って、物事の本質を見極めること

6.レベルをそろえて考えよう
議論には、「自分たちが今、どのレベルの話をしているのか?」の確認をすることが必要
判断基準もレベルをそろえる

7.情報ではなく「フィルター」が大事
フィルター=自分の好き嫌いや向き不向きを判断する基準
与えられたフィルターではなく、自分のフィルターをもって、物事を見てみよう

8.データはとことん追い詰めよう
ひとつの事実から複数の見識が出ること、その共有がひとりひとりの思考力を伸ばす
思考の結果と、それに至る思考の道筋をしっかり追い求めよう

9.グラフの使い方が「思考の生産性」を左右する
細部まで突き詰めて考えて初めて、図や絵で綺麗に表現できる
不明瞭だった思考部分を明瞭にするためにも、思考を視覚化してみよう

終 知識は「思考の棚」に整理しよう
個別の知識を意味を持ってつなげて、思考の棚に整理しよう
洞察=統合された知識から出てくる新しい意味
手に入れた知識を思考の棚に格納して、必要な時に取り出せるようにストックをつくっておく
整理された思考の棚の中身から知りたい情報を意識的に待っている

 読むと、上にあげた、比較フィルターと価値観フィルターの利用方法やフィルターを前提にしたグラフ分析法などが書かれています。

 「意思決定プロセス」を決定することの重要さから入って、グラフの分析や、分析上の注意の方法、最後は、そうやって考えた内容をどのようにアタマの中に留めていくかという構成で、とてもわかりやすいです。

 グラフや資料分析の方法がイマイチわかっていなかったので、この辺の記述はとても参考になりました。また、「レベルをそろえて考える」や「知識を繋げた意味を考えておくことで、新しい情報を待てる」、「判断基準はシンプルに」など、なんとなくわかっていたけれど、自分の中で明確になっていなかった面が提示されていて、とても面白かったです。

 わかっている人はわかっている、けれど、わかっていない人はわかっていない、ちょっとしたポイントに溢れている本だと思います。考えることが楽しいと思い始めた人必見です。

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう